巨人の投手コーチは難しいけど、やりがいありそう。
私が独自に作成した先発投手編成表を使って、2019年のプロ野球12球団の投手編成についてお話していきます。
それぞれの数字や役割の意味は、「先発ローテは六人じゃ足りない?プロ野球で年間必要な先発投手の人数と先発投手陣の考え方」の記事で解説しておりますので、そちらの方でご確認ください。
音声で聴きたい方は、YouTubeのラジオ動画でご覧ください。
【読売ジャイアンツ(巨人)編】2019年12球団の開幕ローテ予想と先発投手編成分析【野球ラジオ】
※2019年3月2日時点の情報をもとにしています。
【読売ジャイアンツ(巨人)編】12球団の開幕ローテ予想と先発投手編成分析【2019年】
過去5年間の読売ジャイアンツ(巨人)の先発投手事情
年度 |
先発投球回数 | 先発起用人数 | 規定投球回数到達者数 | 規定投球回数到達者 |
2014 | 861.6 | 13 | 3 | 菅野、杉内、内海 |
2015 | 879.3 | 9 | 4 | 菅野、高木勇、ポレダ、マイコラス |
2016 | 865.6 | 13 | 2 | 菅野、田口 |
2017 | 865.6 | 14 | 3 | 菅野、マイコラス、田口 |
2018 | 884.0 | 12 | 2 | 菅野、山口俊 |
平均 | 871.0 | 12.2 | 2.6 | - |
過去5年間の先発投手陣の平均投球回数は、約871回。
毎年先発投手陣の投球回数がNPB平均の840回より多く、過去5年間毎年840回以上を投げている先発投手陣は12球団でも巨人だけ。先発起用人数も12、3人と理想的な人数で推移しています。規定投球回数到達者数も毎年複数人輩出しており、NPB平均の2人を上回る年もあり、先発投手事情はかなり充実しています。
原動力は何と言っても菅野投手。6年連続規定投球回数超えで、2014年以降は毎年投球回数を増やしています。2018年は自身初の202回を投げるなど、まさに大黒柱。
気になるのはその他の先発投手陣。過去5年間の規定投球回数到達者のうち、杉内、内海、高木勇人、マイコラス、ポレダは既に退団。山口俊、田口は残っていますが、鍬原、畠、桜井といった近年のドラフト上位組が先発に定着してこないとそろそろキツイです。
2018年の先発のチーム成績は、FIP3位、K%3位、BB%1位と質の面は平均よりやや上。量の投球回数と総合的に見ても、先発投手陣はかなり優秀です。一点気になるとしたら、リーグワーストのFB%。本拠地の東京ドームは本塁打が出やすい球場なので、フライボールを打たれるのはリスクが高くなります。現状は平均的なK%と高めのFB%となっているので、K%とFB%を改善出来れば、より優秀な投手陣になっていくでしょう。
グループ別評価
※投手の利き手はあくまで理想です。各評価の意味は、一番右に記載しております。
菅野、山口俊、メルセデス、ヤングマンまでは確定。残す2枠を若手左腕、ベテラン中堅右腕たちが争う形です。
中継ぎ陣は桜井、大江らが成長し、守護神候補として新外国人クックが加入。開幕ローテーションは菅野、山口、メルセデス、ヤングマンの4人は確定しているが、残る2枠は田口、今村、新人高橋らが争い、流動的な状況だ。
【2019年】12球団の開幕投手とローテ予想と先発投手編成分析記事、動画一覧
三本柱
- エース:菅野 智之
- 準エース:山口 俊
- 三番手:メルセデス
三本柱の評価はSです。球界ナンバーワン投手の菅野を擁し、他球団でもローテをはれる山口俊、メルセデスと、非常に強力な三枚を揃えています。ヤクルト編でもお伝えしましたが、三本柱の合計WARは12球団トップの13.7です。
エース格は何と言っても菅野投手。3年連続で180回WAR6.8以上と、質、量、安定感などどれをとっても超一流。年齢的にも今年30歳とまだまだ衰える年齢ではないので、引き続きエース級の活躍をしてくれるでしょう。12球団でも数少ないエース級の成績を見込める投手です。
準エース格は、山口俊投手。2018年は途中抑え転向もありましたが、30登板で154イニングを投げました。四死球の多さ、GB%やFIPの低さなど、質の面で気になる点は多いですが、高いK%とイニングを消化出来る力は魅力。怪我も多く、安定感の面はやや心配ですが、山口投手がやってくれるとかなり先発投手の運用が楽になります。
三番手格は、外国人左腕のメルセデス投手。2018年は13登板で92回と量の面は少ないですが、FIP3.55、BB%4.5、GB%60.1と質の面では好成績をマーク。今年は一年通した活躍が期待され、通年働いた時にどんな数字を残すのか楽しみな存在。外国人の絡みで登録抹消される期間もあるでしょうが、逆にその間にリフレッシュ休暇を取れるので、コンディション良く年間戦えると予想します。このメルセデス投手のおかげで三連戦の勝ち越しを作れるようだと、巨人はかなり手強いチームになっていくでしょう。
先発二群
- イニングイーター:ヤングマン(アダメス)
- 先発五番手:田口 麗斗(高橋)
- 先発六番手:今村 信貴
先発二群の評価はBです。他球団でもローテを争える投手が多く、頭数はある程度います。コンディション面でやや心配ですが、潜在能力を高く評価しました。
四番手格は、ヤングマン投手。2018年は外国人枠と怪我の影響もあり4登板26回に終わりましたが、K%23.4、FIP3.52とクオリティは抜群。ファームでも別格の投球を見せており、日本で十分通用することを証明した1年。年間通してどこまでやれるかは未知数ですが、バックアップのアダメス投手、三番手格のメルセデス投手と三人合わせてローテ3、4番手分の活躍をしてくれれば十分。非常に贅沢な外国人先発投手事情になっています。
五番手以降からバックアップメンバーの競争は熾烈。実績を考慮して田口投手を据えましたが、ルーキーの髙橋投手が食い込む可能性も秘めています。田口投手は2016、2017年に2年連続規定投球回数到達。ただ、2018年は16登板86回1/3に終わり、FIPも5.16と散々な一年。K%は年々低下傾向で、GB%も下がり、FB%が増加。結果的に被本塁打率も高くなり、指標上は好材料を探すのが難しいです。鍵になるのは、フォーシームの改善。Pitch Valueでみると、2017年に21.3だった数字が、-8.1に悪化。平均球速はむしろ上がっているのですが、結果が伴いませんでした。全投球の49.7%を占めるボールなので、力強いストレートを取り戻して欲しいところです。
六番手格は、左腕の今村投手。2018年は13登板77回を投げて、FIP4.67。5.05→5.40と続いていましたが、2018年は平均までもう少しというところまでFIPを改善させました。GB%は55.7と高水準で、BB%も7.9と平均より少し良いくらいと、質の面で成長が見られるので、25歳の今年どこまでやれるかが楽しみな存在。
田口、高橋、今村の3人の左腕の競争、成長が、今年の巨人の先発投手陣のキーマンになるでしょう。
開幕ローテの残り2枠を田口、今村、先発復帰の沢村らと争う。宮崎キャンプで「(高橋は)ローテーションの『ロー』まで来た」と話した宮本コーチ。この日は『テー』とも『ション』とも口にせず「ローテの近いところまで来ているのでは」と評価した。高橋も「勝負事なので、勝っていければ」と意気込んだ
バックアップ
- 谷間要員:岩隈 久志(澤村)
- 谷間要員:畠 世周
- 谷間要員:野上 亮磨(大竹)
バックアップの評価はCです。コンディショニングが心配な投手は多いですが、谷間などのスポット起用なら十分やってくれるであろう面々が名を連ねています。
調整に少し時間がかかりそうな岩隈、澤村、ベテランFA組の野上、大竹などは、若手投手がバテ始める6月や夏場に出て来てくれればと首脳陣は見ているでしょう。開幕ローテ組は若手や外国人投手などが多いので、上手く先発投手12.3人で1年を乗り切りたいところ。
それでも原監督は「思ったよりも投げられるな、という印象。ただ開幕までとかそういう部分でいくなら、少しまだ彼には時間が必要」と開幕ローテ入りの考えがないことを示した。キャンプ打ち上げのあす28日に帰京後、2軍に合流予定。宮本投手総合コーチも「5月に来てくれれば」と先々を見据える。17年秋に右肩を手術し、昨季はメジャーで登板がなかった。世界を知る右腕が、8年ぶりの日本のマウンドへ、慎重に歩みを進める。
巨人の場合はリリーフがやや不安なので、このバックアップ組が好調なら、リリーフに回したり、先発組を勝ちパターンに回したりなど、運用面の柔軟性が出てきます。単に先発投手陣だけのみならず、チーム投手陣の起用方針にも影響してくるので、地味にこのバックアップ組のコンディションがチームの命運を左右します。
また、個人的に期待している畠投手のコンディション、起用法も気になるところ。本来なら先発ローテに入れたい、入らなければいけない投手ですが、いかんせん怪我が多い投手なので...。いずれにせよ、先発ローテ、もしくは勝ちパターンで起用したいほどの実力は既に有している投手です。
育成枠
- 中堅お試し枠(右):鍬原 拓也(桜井)
- 中堅お試し枠(左):高橋 優貴(中川)
- 若手お試し枠(右):高田 萌生(坂本工)
- 若手お試し枠(左):大江 竜聖
育成枠の評価はBです。潜在能力の高い投手が非常に多く、ファームの投手事情はかなり明るいです。ただ、お気づきの方もいるでしょうが、2019年には一軍リリーフ枠の投手が入っています。勝ちパターン入りが期待される大卒2年目のドライチ鍬原、セットアッパー候補の高卒3年目左腕の大江、育成枠から支配下登録枠を勝ち取った坂本工宜(さかもとこうき)など...。
2019年に限ってはリリーフでの起用が濃厚ですが、将来的には先発ローテ入りも期待できるだけのポテンシャルを秘めています。リリーフで一軍を経験し、先発に転向する例も多いので、彼らが一軍でどこまでやれるのかが楽しみ。今年はそれぞれの投手の適性を見極める年でもあるので、将来有望な投手がどんな適応力を見せるのか、見ものです。
まとめ
- 表ローテはリーグ屈指
- バックアップ組の状態がチーム運用の大きな鍵を握る
- 若手有望株の適性検査が楽しみ
大型補強ばかりが話題にされがちですが、投打共にファームに有望株を抱える巨人。原監督はこうした若手をふるいにかける術と経験をもった監督なので、どう起用していくのかが楽しみ。リリーフが課題のチームながら、まずは先発に人材を集める方法が、果たして上手くいくのか。12球団の中でも一番投手運用方法が難しくもあり、やりがいのあるチームなので、巨人首脳陣の運用がどうなるのか、非常に注目しています。
【読売ジャイアンツ編】12球団別キャンプ&オープン戦の編成注目ポイント、期待の選手【野球ラジオ】
【野球ラジオ】プロ野球2018~12球団の冬の通信簿~ 読売ジャイアンツ(巨人軍)編【ドラフト、補強、若手育成、人事】
12球団の開幕ローテ予想と先発投手編成分析一覧
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