久里はもっと評価されて良い。
私が独自に作成した先発投手編成表を使って、2019年のプロ野球12球団の投手編成についてお話していきます。
それぞれの数字や役割の意味は、「先発ローテは六人じゃ足りない?プロ野球で年間必要な先発投手の人数と先発投手陣の考え方」の記事で解説しておりますので、そちらの方でご確認ください。
音声で聴きたい方は、YouTube動画をご利用ください。
※訂正版【広島東洋カープ編】2019年12球団の開幕ローテ予想と先発投手編成分析【野球ラジオ】
※2019年2月26日時点の情報をもとにしています。
【広島東洋カープ編】12球団の開幕ローテ予想と先発投手編成分析【2019年】
過去5年間の広島東洋カープの先発投手事情
年度 | 先発投球回数 | 先発起用人数 | 規定投球回数到達者数 | 規定投球回数到達者 |
2014 | 830.6 | 10 | 2 | 前田、大瀬良 |
2015 | 911.3 | 12 | 3 | ジョンソン、前田、黒田 |
2016 | 848.3 | 13 | 3 | ジョンソン、野村、黒田 |
2017 | 852.0 | 12 | 2 | 大瀬良、野村 |
2018 | 826.3 | 13 | 2 | 大瀬良、ジョンソン |
平均 | 853.6 | 12.0 | 2.4 | - |
過去5年間の先発投手陣の平均投球回数は、853回2/3。
年度によって先発投球回数にばらつきはありますが、NPB平均以上の先発投球回数を消化しています。前田、黒田といった規定投球回数超える複数回のエース級投手の退団はありますが、野村、ジョンソン、大瀬良といった替りのエース級投手が複数人存在。その結果、常に安定して先発投手がイニングを消化出来ています。
大瀬良、野村はまだまだ20代半ばから30代手間で、今後も数年間は働いてくれるでしょう。ジョンソンの34歳は気がかりですが、技巧派左腕なので、外国人選手特有の契約の絡みがない限り、2~3年はやれる見込み。その間に次期エース候補たちを育てたいところ。
2018年の先発のチーム成績は、FIP3位、K%4位と平均的。その他の指標を見ても、目立って悪い項目はなく、明確な弱点はありません。これという修正ポイントはありませんが、全体的な質のアップが求められる投手事情になっています。
グループ別評価
※投手の利き手はあくまで理想です。各評価の意味は、一番右に記載しております。
よほど、オープン戦で状態が上がらない、怪我がない限り、開幕ローテは大瀬良、ジョンソン、野村、久里、岡田、床田の六人でいくでしょう。
オープン戦の状態を見る限り、岡田と床田投手の序列を替えても良いでしょうが、床田投手はトミージョン手術明け。一軍での実績も考慮して、床田投手を六番手に位置づけています。
三本柱
- エース:大瀬良 大地
- 準エース:ジョンソン
- 三番手:野村 祐輔
三本柱の評価はAです。野村投手の復調度合いによっては、Sに変わる可能性もあります。
エース格は、2018年に最多勝、最高勝率に輝いた大瀬良投手。27試合で182回を投げており、量の面でもエースに相応しい貢献。プロ入り5年間で3度の規定投球回数超えを記録するなど、実績の面も十分。2018年が出来過ぎな点と、DER.747がやや気になるので、多少成績を落とすかもしれませんが、引き続きエース格として引っ張ってくれるでしょう。
準エース格は、来日4年間で3度の規定投球回数超えをしているジョンソン投手。2018年は24登板で144回2/3を記録。FIP、K%、BB%、GB%など、質の面ではチームトップクラスの左腕。年齢やここ2年を比べると160回は厳しいかもしれませんが、チームの先発のクオリティをグッと高めてくれる貴重な左腕です。
そして、三番手格は復活を期すかつての最多勝・野村投手。2018年は20登板119回1/3イニングと、不本意な成績。2年連続規定投球回数超え、通算でも4度の規定投球回数到達を記録するなど、チームではトップクラスの実績を誇る投手。ジョンソン投手が想定160回は厳しいかもしれないので、その分を野村投手にカバーして欲しいところ。課題はK%の復活。いくら打たせて取るのが持ち味とはいえ、2018年のK%11.7はかなり危険水準。良い時は16%を記録しているので、空振りを奪う力を取り戻せば、V字回復も望めます。
先発二群
- イニングイーター:九里 亜蓮
- 先発五番手:岡田 明丈(ローレンス)
- 先発六番手:床田 寛樹(レグナルト)
先発二群の評価はBです。床田投手の部分が未知数ではありますが、イニングイーターとして優秀な久里、岡田投手の存在を評価して、Bとしました。
四番手のイニングイーター格は、久里投手。ここ2年間は116回1/3→120回1/3と、きっちりイニングを消化してくれています。質の面では、リーグ上位クラスだった2017年と比べると、FIP、K%、GB%などが軒並み低下してるのは気になるところ。2017年に記録した、WAR2.9、K%19.6、FIP3.70、GB%58.5を取り戻せれば、先発投手力はグッと高まります。
五番手格は、次期エース候補ながらなかなか殻を破りきれない岡田投手。ここ2年間は141回2/3→138回と量の貢献は十分。ただ、BB%、FIPなどは年々悪化傾向。特にBB%が2年連続で10%台と、制球力は大きな課題になっています。Pitch Valueで見ても、年々フォーシームの質が悪化しており、それに比例するようにフォーシームの投球比率も減少。制球力とフォーシームの質が改善されるかが、一つの注目ポイントです。
六番手格は、トミージョン手術からの復活を目指す床田投手。一軍の実績は乏しいですが、キャンプ、オープン戦と順調ぶりをアピール。佐々岡投手コーチは床田について「結果、内容といいものを見せてくれている」と評価するなど、首脳陣の評価もうなぎのぼり。前述の通り、トミージョン手術明けなので絶対に無理をさせたくないので、序列は六番手にしています。ジョンソン投手の次の左のエース候補として、今年はきっかけを掴む一年にして欲しいです。
佐々岡投手コーチは床田について「結果、内容といいものを見せてくれている」と評価し、中村祐については「キレも質も高めてほしい」と求めた。与えられた機会は無駄にできない。それぞれが課題をクリアし、限られた枠をつかみ取る。
引用:床田と中村祐アピール合戦!鯉投開幕ローテ譲れない!ともに3回無失点 /広島カープ/野球/デイリースポーツ online
バックアップ
- 谷間要員:ローレンス(レグナルト)
- 谷間要員:薮田 和樹(アドゥワ)
- 谷間要員:中村 祐太
バックアップの評価はDです。実績のある薮田、新外国人のローレンス、レグナルト、アピールを続ける中村祐太、トレード移籍の菊池などが候補ですが、現状ではバックアップとしてはやや心許ない印象。
本来なら2017年最高勝率投手の薮田に復活をして欲しいですが、2018年の成績やキャンプの内容を見る限り、まだまだ復活には時間がかかりそう。期待の新外国人投手のローレンス、レグナルトがローテ五、六番手に食い込んで欲しいところですが、現状はそこまでアピール出来ていません。まだまだ調整段階で、色々試している最中のはずなので、今後の日本野球への順応に期待です。特にローレンス投手はかつて在籍したバリントン投手のようになってくれると理想なのですが...。
バックアップ組の中で、首脳陣が期待が高いのが、アドゥワ投手。2018年はリリーフで53試合67回1/3とフル回転した高卒3年目の投手。緒方監督が、「昨季は中継ぎで頑張ってくれたけど、今季は先発を含めて考えています。彼が岡田、床田以上のものを見せてくれるなら4番手、5番手にも入ってくる。それぐらい力をつけていると感じています。」と評価するなど、成長著しい20歳。現時点では起用法は未定ですが、昨年はやや無理をさせ過ぎた面もあるので、いずれにせよ大事に扱って欲しいところです。
緒方 1人がアドゥワです。昨季は中継ぎで頑張ってくれたけど、今季は先発を含めて考えています。彼が岡田、床田以上のものを見せてくれるなら4番手、5番手にも入ってくる。それぐらい力をつけていると感じています。
引用:広島・緒方監督 岡田、床田ともう一人アドゥワに先発の期待「力をつけていると感じています」― スポニチ Sponichi Annex 野球
育成枠
- 中堅お試し枠(右):菊池 保則
- 中堅お試し枠(左):戸田 隆矢(塹江)
- 若手お試し枠(右):島内 颯太郎(山口、遠藤)
- 若手お試し枠(左):高橋 樹也
育成枠の評価はCです。現状目立ったトッププロスペクトはいませんが、ドラフト2位ルーキーの大型右腕島内、期待の高卒組の山口、遠藤と楽しみな素材がファームにいます。残念ながらトミージョン手術をすることになった、高橋昂也投手が順調なら、BかAを付けてもよかったのですが...。
個人的には、高卒5年目左腕の塹江投手に期待しています。2016年以来一軍のマウンドからは遠ざかっていますが、2018年はファームで23試合52回1/3を投げて45奪三振と徐々に球の力を付けてきています。三振を奪える力はあるので、リリーフ左腕不足の広島なら、中継ぎ転向も面白そうな素材。序列的に決して起用優先順位は高くありませんが、少ないチャンスをモノにして欲しいところです。
広島・塹江敦哉投手が27日、宮崎県日南市内で行われている先乗り自主トレに参加し、坂道ダッシュで気合を入れた。
外野のポール間走と連日交互に繰り返しており、スタミナ面については「不安はないけど伸びしろはあると思う」とうなずく。続けて「できるからいいやじゃなくて、やっていかないといけない」と力を込めた。
昨季まで2年連続で1軍出場なしの5年目左腕。春季キャンプ1軍スタートで、生き残りを果たす思いは強く「実戦で結果を残すのが一番のアピール」と闘志を燃やした。
まとめ
- 実績抜群の開幕ローテ
- バックアップメンバーはやや不安
- ファームの素材型投手の成長が楽しみ
よほど主力投手に故障が出ない限り、先発投手が大きな弱点になることはないでしょう。ただ、冒頭述べた通り、クオリティの部分では突出しているわけではないので、全体的に底上げが必要なのは事実。野村、久里、岡田らの復活、成長がないと、明確な強みにまではなりません。また、開幕ローテ候補たちと比べると、バックアップ組の心許なさは不安なところ。大型連戦や主力の故障、不調は必ずあるので、バックアップ組の成長・順応に是非期待したいところです。
【広島編】12球団別キャンプ&オープン戦の編成注目ポイント、期待の選手【野球ラジオ】
【野球ラジオ】プロ野球2018~12球団の冬の通信簿~ 広島東洋カープ編【ドラフト、補強、若手育成、人事】
12球団の開幕ローテ予想と先発投手編成分析一覧
パ・リーグ
埼玉西武ライオンズ
福岡ソフトバンクホークス
北海道日本ハムファイターズ
オリックスバファローズ
千葉ロッテマリーンズ
東北楽天ゴールデンイーグルス
セ・リーグ
広島東洋カープ
東京ヤクルトスワローズ
読売ジャイアンツ(巨人)
横浜DeNAベイスターズ
中日ドラゴンズ
阪神タイガース
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