エース候補のドラフト上位組次第。
私が独自に作成した先発投手編成表を使って、2019年のプロ野球12球団の投手編成についてお話していきます。
それぞれの数字や役割の意味は、「先発ローテは六人じゃ足りない?プロ野球で年間必要な先発投手の人数と先発投手陣の考え方」の記事で解説しておりますので、そちらの方でご確認ください。
音声で聴きたい方は、YouTubeのラジオ動画でご覧下さい。
【東北楽天ゴールデンイーグルス編】2019年12球団の開幕ローテ予想と先発投手編成分析【野球ラジオ】
※2019年2月24日時点の情報をもとにしています。
【東北楽天ゴールデンイーグルス編】12球団の開幕ローテ予想と先発投手編成分析【2019年】
過去5年間の東北楽天ゴールデンイーグルスの先発投手事情
年度 | 先発投球回数 | 先発起用人数 | 規定投球回数到達者数 | 規定投球回数到達者 |
2014 | 849.0 | 14 | 2 | 則本、辛島 |
2015 | 826.6 | 11 | 1 | 則本 |
2016 | 863.3 | 12 | 3 | 則本、塩見、美馬 |
2017 | 877.0 | 12 | 3 | 則本、岸、美馬 |
2018 | 857.6 | 13 | 2 | 則本、岸 |
平均 | 854.6 | 12.4 | 2.2 | - |
過去5年間の先発投手陣の平均投球回数は、約854回。
2015年を除くと、毎年NPB平均以上の先発投球回数を超えており、先発投手でイニング数を消化できています。原動力は、エース則本の存在。毎年180回以上のイニングを投げており、その安定感は12球団でもトップクラス。加えて毎年則本以外にも規定投球回数到達者を輩出。先発起用人数も極端に多くなく、先発投手はチームの大きなストロングポイントです
気になるのは岸が今年34歳、則本にメジャー挑戦の可能性があること。安樂、森、藤平、近藤など、ドラフト上位投手の育成が順調にいっていないため、次期エース候補が台頭してこないと、強みを失う可能性があります。
2018年の先発のチーム成績は、FIP2位、K%1位と優秀そのもの。量の面だけでなく、質の面でもリーグトップクラス。あえて気になる点をあげるなら、GB%が最下位なこと。楽天生命パーク宮城のパークファクターは本塁打が出やすい球場なので、もう少しGB%が高まってくると、更に盤石になるのですが...。
グループ別評価
※投手の利き手はあくまで理想です。各評価の意味は、一番右に記載しております。
則本、岸は盤石なのですが、それに次ぐ投手は故障や伸び悩みもあり、確定とまでは言えない状況です。実は藤平投手をローテ五番手あたりで考えていたのですが、ちょっと怪しくなってきたので、序列を下げています。若手先発候補の状態があまり良くなく、開幕ローテはやや不安な状況です。
2番手近藤も理想の投球には程遠かった。五回2死一、二塁で松本への2球目のカーブが甘く入り左中間への3ランに。「低めに制球できていれば結果は違った」と悔しがった。
六回2死二塁ではフォークボールが抜けて郡に左翼線への適時打を許した。試合後、見かねた平石監督から「最低限打たれないコースを突かないといけない」とグラウンドで直接指導を受けた。
20日の日本ハムとの練習試合では新人の先発弓削(SUBARU)が2回4失点、2番手の3年目西口も3回4失点と結果を残せなかった。先発として期待される藤平、古川もフォーム固めに苦労している。
森山コーチは「次に投げる時があれば最後のチャンスという覚悟を持って臨んでほしい」と若手を一喝した。
三本柱
- エース:則本 昂大
- 準エース:岸 孝之
- 三番手:辛島 航
三本柱の評価はSです。他球団でもエースになれる球界最高のWエース則本、岸がいる点を評価しました。
エース格は、2年連続6度目の開幕投手を務める則本。2014年の202回2/3からは年々イニング数が減少しているとはいえ、入団以来6年連続規定投球回数超えで、最低イニング数は一年目の170回。怪我がなければほぼ間違いなく180イニングを消化してくれるでしょう。質の面でも、毎年K%、BB%、FIPはリーグトップクラスなので、何の心配もありません。
新人から6年連続2桁勝利をマークしている楽天・則本昂大投手(28)が、3月29日に行われるロッテ戦(ZOZOマリン)で2年連続6度目の開幕投手を務めることが23日、分かった。
準エース格は、他球団ならエースをはれる岸。プロ入り後12年連続で投球回数100超え、規定投球回数超え8回。楽天移籍後も176回1/3→159回を投げているので、こちらも怪我さえなければ想定イニングを消化してくれるでしょう。則本同様に毎年K%、BB%、FIPはリーグトップクラスなので、クオリティの面も問題ありません。
迷ったのは、先発三番手格。本来配置したい美馬は右肘手術明け、塩見は腰の故障で開幕は微妙。ですので、辛島投手を配置しました。過小評価されがちですが、投球回数100超えが5回、規定投球回数到達も1回。ここ2年も103回→117回2/3と、ある程度イニングを投げてくれます。力量的には辛島投手が一つ序列を下げて、イニングイーターとして回せるくらいが本来理想ではあるのですが....。
先発二群
- イニングイーター:美馬 学(福井)
- 先発五番手:塩見 貴洋(森)
- 先発六番手:古川 侑利
先発二群の評価は、”現時点では”C。美馬、塩見のコンディション次第ではBやAに変わる可能性もあります。
四番手格は、右肘手術から復活を目指す美馬。状態さえ良ければ他球団でも三本柱の一角を務められる存在。2018年こそ怪我の影響で14登板79回のみに終わりましたが、2016年は155回でWAR2.8、2017年は171回1/3でWAR4.3。キャンプやオープン戦でも回復ぶりをアピールしており、期待は出来そう。ただ今年32歳の手術明けであることを考えると、過度な期待は禁物だと見ています。
楽天の美馬学投手が、今季初実戦で好投した。24日のヤクルト戦(浦添)で先発。2回を投げ無安打無失点と好投した。
昨年8月に右肘のクリーニング手術を受け、久しぶりの実戦だったが「ストライク先行で、自分が投げたい球を投げられた。こうやってマウンドに立てて、普通に投げられていることが幸せ」と復帰の喜びをかみ締めていた。岸、則本昂に続く先発投手が確立できていないだけに、開幕ローテーション入りに向けて一歩前進した。
引用:楽天・美馬 今季初実戦で2回無安打無失点 右肘手術から復活投「普通に投げられることが幸せ」(スポニチアネックス) - Yahoo!ニュース
五番手格は、貴重な先発左腕の塩見投手。ここ2年間は43回1/3→68回1/3と、満足にシーズンを戦えていません。しかし、四死球の少なさ、GB%の高さ、FIPなど、クオリティの部分では非常にハイレベル。腰のコンディション不良ではありますが、塩見投手が70~100回を投げてくれると、先発投手の質はかなり高まります。
六番手格は、高卒6年目の古川投手。少しずつではありますが、毎年着実に力を付けている投手。2018年には投球回数98を記録。塩見、美馬のコンディションが万全ではないので、古川投手に隠れイニングイーターとしてイニングを消化して欲しいところ。年々球速も上がり、スライダーの質も向上しているので、今年はもうワンランク上の段階にステップアップして欲しいところです。
バックアップ
- 谷間要員:藤平 尚真
- 谷間要員:近藤 弘樹
- 谷間要員:池田 隆英
バックアップの評価はDです。ポテンシャルは高いのですが、伸び悩み気味の投手が多く、評価を下げました。
藤平、近藤、安樂、森、池田と、エースになれるポテンシャルをもったドラフト上位組がいますが、現段階では評価が上がってきません。森、藤平はオープン戦で結果を残しましたが、内容的にはまだまだ。
楽天森雄大投手(24)が、スクランブル先発で3回を4安打1失点とまずまずの好投を見せた。先発予定だったエース則本昂が首を寝違えて登板を緊急回避するアクシデントにも冷静だった。
「もともと2番手の予定だったので、気負いすぎず、1イニングずつと思っていきました。ゲームをつくれたことはよかったし、右打者へのチェンジアップは昨年まではなかった引き出し。今後も使っていければ」。毎回、先頭打者に安打を許す苦しい内容も要所を締め、納得の表情だった。
特に藤平投手は高卒1年目に8登板43回1/3を投げて、K%25.0、FIP3.08という驚異的な成績を残しただけに、2018年の落ち込みは痛かったです。現在も投球フォームが定まらずに苦戦しており、開幕ローテ入りは微妙なところ。
投手陣も先発ローテーションの一角に期待する3年目の藤平尚真投手(20)が3回3失点とピリッとしない内容。平石監督は「昨年フォームを崩し、オフとキャンプに取り戻そうとしてきた。一番悪かった時と比べたらいい方向に向かっている」とした一方で、「実戦のマウンドで(フォームを)気にしてたら勝負にならない。もう少し打者と勝負する姿勢がほしかった」と、悩めるエース候補に奮起をうながしていた。
引用:【楽天】ルーキーのソロだけでロッテに完敗 平石監督は「冷静に狙い球を絞らないと…」(スポーツ報知) - Yahoo!ニュース
仮に先発ローテ投手に故障や不調が出たり、大型連戦が続く際にやや心許ない状況です。塩見投手が開幕厳しそうな状況なので、どの道誰かが投げなければいきません。由規や福井などがスポット要員としては有力ですが、前述した通り、次期エース候補の誰が成長しないと、将来的にも厳しいです。
育成枠
- 中堅お試し枠(右):安樂 智大(由規)
- 中堅お試し枠(左):森 雄大(渡辺)
- 若手お試し枠(右):西口 直人
- 若手お試し枠(左):鈴木 翔天(弓削)
育成枠の評価はCです。現時点での戦力度合いは微妙ですが、将来性や年齢構成、バラエティー豊かな投手タイプなど、将来性は豊か。先発投手事情的にはこの育成枠の選手たち全員に先発登板機会の可能性はあります。
楽天の渡辺佑樹投手(23)が16日、ロッテとの練習試合(金武)で3回を2安打無失点と好投した。走者を背負った場面で併殺を2つ奪うなど、落ち着いたマウンドさばきを見せた2年目左腕。2軍でもわずか5試合の登板に終わった昨年の悔しさをバネに、虎視眈々と1軍公式戦デビューを狙う。
安樂、西口投手あたりは同い年の大卒ルーキーたちの加入を受けて、刺激と危機感を覚えて欲しいところなのですが...。
まとめ
- 盤石のWエースは心配なし
- 美馬、塩見のコンディションがキーポイント
- エースポテンシャルの若手のうち誰か1人は出てこないと厳しい
毎年投手力はリーグトップクラスの楽天。則本、岸が万全で、美馬、塩見といったアラサー組の怪我が癒えれば、引き続き投手力がチームの長所になるでしょう。
その一方で、ドラフト上位で指名し続けてきたエースポテンシャルを持つ投手陣の育成が上手くいっていないのは気になるところ。まだまだ若いので成長する可能性は秘めていますが、そろそろドラフトで高いコストをかけた分を回収しないと、チームの投手事情は先々苦しくなるでしょう。
【東北楽天ゴールデンイーグルス編】12球団別キャンプ&オープン戦の編成注目ポイント、期待の選手【野球ラジオ】
【野球ラジオ】プロ野球2018~12球団の冬の通信簿~ 東北楽天ゴールデンイーグルス編【ドラフト、補強、若手育成、人事】
12球団の開幕ローテ予想と先発投手編成分析一覧
パ・リーグ
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