仮に山岡、山本、田嶋が同時に覚醒したらとんでもない三本柱。
私が独自に作成した先発投手編成表を使って、2019年のプロ野球12球団の投手編成についてお話していきます。
それぞれの数字や役割の意味は、「先発ローテは六人じゃ足りない?プロ野球で年間必要な先発投手の人数と先発投手陣の考え方」の記事で解説しておりますので、そちらの方でご確認ください。
※2019年2月22日時点の情報をもとにしています。
音声で聴きたい方は、ラジオ動画をご利用ください。
【オリックス・バファローズ編】2019年12球団の開幕ローテ予想と先発投手編成分析【野球ラジオ】
【オリックス・バファローズ編】12球団の開幕ローテ予想と先発投手編成分析【2019年】
過去5年間のオリックス・バファローズの先発投手事情
年度 | 先発投球回数 | 先発起用人数 | 規定投球回数到達者数 | 規定投球回数到達者 |
2014 | 845.3 | 12 | 3 | 金子、西、ディクソン |
2015 | 823.3 | 12 | 2 | 西、東明 |
2016 | 846.0 | 12 | 3 | 金子、西、ディクソン |
2017 | 836.0 | 13 | 3 | 金子、西、山岡 |
2018 | 828.0 | 12 | 2 | 西、山岡 |
平均 | 835.6 | 12.2 | 2.6 | - |
過去5年間の先発投手陣の平均投球回数は約835回。
年度別のリーグ平均と同等もしくは、若干少ないくらいで、先発がイニング数を消化出来ずに困っていたわけではありません。また、ここ数年はリリーフ陣が安定していたこともあり、早めに継投出来たことも、イニング数がやや少なくなった要因です。
また、特筆すべきなのは、先発起用人数が12〜13人で安定していること。極端に少ない人数に負荷がかかる運用をしておらず、かといって先発不足で数多くの投手陣が先発せざるを得ない状況になったわけでもありません。ほぼ毎年複数人投手が規定投球回数に到達しており、先発は安定していたここ5年間です。
2018年の先発のチーム成績は、K%3位、BB%2位と平均以上で、tRAはリーグ1位と好成績。先発陣も非常に優秀でした。ただ、オフには西、金子が退団で、アルバース、田嶋が故障の影響で開幕に黄色信号が灯るなど、不安要素が山積み。優秀なリリーフ陣やファームから人材を一軍の先発に移す必要があります。けが人の復調具合、配置転換、若手の成長など、ローテ再編が求められるオリックスです。
グループ別評価
※投手の利き手はあくまで理想です。各評価の意味は、一番右に記載しております。
怪我人や開幕までの調整状況が不透明な選手もいますが、年間通して考えた時の理想のメンバーで編成しました。田嶋、アルバースの回復が遅れるようだと、やや苦しい印象です。
三本柱
- エース:山岡 泰輔
- 準エース:アルバース(ディクソン)
- 三番手:山本 由伸
三本柱の評価はCです。優秀な投手は多いですが、エース級としては後一歩足りない投手が多く、想定イニングを消化出来る計算が見込みづらいため、C評価としました。怪我人が完璧であれば、Bでも良いのですが...。
西、金子と長年ローテを支えてきた投手が退団したエース格は、山岡投手。ルーキーイヤーから2年連続で規定投球回数超え。2年目はK%(21.5→19.5)、HR/9(0.48→1.29)、FIP(3.24→4.54)低下と、苦しみましたが、BB%とGB%は良化させるなど、進化の跡も見えました。年齢的に今年23歳とまだまだ若く伸び代があり、成績を良化させる可能性を秘めています。実力的にも実績的にもチーム屈指の投手なので、今年は一皮むける活躍に期待です。ただ、正直180イニングは高いハードルなので、現実は良くて160回程度と予想しています。
プロ3年目で初のシーズン開幕投手への道筋も見えてきた。23日の登板から、3月2日の楽天戦(SOKKEN)を経て、同9日の侍ジャパン強化試合(メキシコ戦、京セラD)に登板予定。その後も同29日の日本ハムとの開幕戦(札幌D)を想定した逆算ローテが組まれているもようだ。
「開幕投手を誰にするかはまだ。キャンプ中に本人に伝えることができれば」と指揮官。明言は避けたものの、山岡が順調な姿を示せば、最有力であることは揺るぎない。
引用:【オリックス】山岡、開幕逆算ローテ 西村監督「投手陣を引っ張ってほしい」(スポーツ報知) - Yahoo!ニュース
二番手は、2018年に前半戦だけで9勝をあげたアルバース。心配された腰の状態は思ったよりも重症ではなさそうで、ギリギリ開幕に間に合う可能性も出てきました。質の部分は間違いない投手なので、一年間無理なく運用させたいところ。一応二番手に置きましたが、怪我の状態次第では、ディクソンと役割が入れ替わる可能性もあります。
三番手投手は、リリーフから先発に転向する山本由伸投手。高卒2年目の2018年はセットアッパーとして54試合に登板。K%21.6、GB%58.4、FIP3.43と質の面も高水準。エースになれるポテンシャルを秘めた若き高卒3年目投手です。気になるのは、体力と故障。昨年も春先は手がつけられないほどの投球をしていたものの、連投や故障の影響から、月が経過するごとに、パフォーマンスを下降させました。チーム事情的には山本投手に大車輪の活躍を見込みたいところですが、個人的には無理のない範囲で起用して欲しいです。
2019年の西武とオリックスの先発三本柱はどちらが優秀ですかね?
— はろーぐっばい@マイクラ球場建築中 (@jubenonz) February 22, 2019
・西武:多和田、榎田、今井
・オリ:山岡、アルバース、山本
※人によって三本柱のメンツは異なると思います。
2018のWARだけで比較すると、西武7.3(4.4+1.9+1.0)、オリ7.2(2.7+2.9+1.6)。#seibulions #Bs2019 #プロ野球 #ORIX
先発二群
- イニングイーター:ディクソン
- 先発五番手:田嶋 大樹(竹安)
- 先発六番手:松葉 貴大(成瀬)
先発二群の評価はBです。ローテ4番手以降としては申し分ない投手が控えており、投手陣の層の厚さを感じさせられる面々が名を連ねています。懸念点は怪我を抱える田嶋の肘の回復状態がまだはっきりとしない点です。
四番手のイニングイーターはディクソン投手。来日6年間の平均年間投球回数は約136回。130回超え5回で、規定投球回数超えも2回と、イニングを消化する安定感は抜群。K%、BB%は標準以上で、FIPとGB%は高水準と、クオリティの部分でも先発投手としてはトップクラス。今季もローテを支える存在になると期待です。一点気になるのは、年齢と怪我。2018年は内容こそ良かったものの、途中故障離脱もあり、投球回数は来日してワーストの99回。チームに欠かせない存在ですが、年齢も34歳になり、過度な期待は禁物。
五番手投手は、左のエース候補・田嶋投手。一年目の2018年は、肘の故障もあり68回2/3に留まりましたが、6勝を挙げ、先発としては驚異のK%23.7を記録。FIPやGB%など、まだまだ物足りない部分もありますが、大器の片鱗をみせました。田嶋投手の飛躍に期待したいところですが、この田嶋投手も肘の故障で開幕ローテは黄色信号。ただ、思った以上の回復が早く、2月8日に約半年ぶりに捕手を立たせた投球練習を再開。アルバース投手同様に無理は禁物ですが、戻ってくれば大きな戦力。ひとまずの目標を年間100投球回に定めて、飛躍のきっかけを掴む一年にして欲しいです。
左肘の故障でリハビリ中のオリックス田嶋大樹投手が11日、捕手を座らせての本格的な投球を再開した。
8日、約半年ぶりに捕手を立たせた投球練習を再開。10日にも立ち投げでのブルペンを挟み、「特に問題もなく順調だったので」とこの日は捕手を立たせ31球、座らせて17球投げ込んだ。カーブも確認程度で数球投げた。「焦りはない。自分のペースでやれていると思います」。西村徳文監督は「チームにとってはすごく大きなこと」と期待の左腕の状態にほっとした表情を見せた。
六番手は悩みましたが、松葉投手を挙げます。怪我がなければ、山岡、山本、田嶋、アルバース、ディクソンは確定として、この六番手枠はオリックスファンの間でも、かなり意見が分かれるところでしょう。松葉投手は2018年は8登板で36回1/3と、不本意な成績に終わりました。しかし、それ以外の5年間では3度の投球回数100回超え。2014年はWAR2.4、2016年には2.3、2017年は1.9を記録するなど、先発六番手にいてくれれば申し分ない存在。キャンプでの投球を見る限りかなり状態は良さそうで、成瀬投手の故障があったとはいえ、オープン戦の開幕投手を任されるなど、首脳陣の中でも序列はそこまで低くなさそう。ローテ格の投手陣に故障者が多いので、松葉投手が隠れイニングイーターとして、投球回数を消化してくれるとありがたいところです。
バックアップ
- 谷間要員:エップラー
- 谷間要員:東明 大貴
- 谷間要員:竹安 大知(黒木)
バックアップの評価はBです。潜在能力の高い投手が多く、十分ローテ枠にくい込む可能性が高いです。
新外国人のエップラー、実績のある東明、成長著しい竹安、K-鈴木、榊原、左の先発候補の山崎、富山...。ローテ有力枠に怪我人も多く、先発六番手枠も確定ではないので、バックアップメンバーの中からも、先発登板機会を与えられる投手は多いでしょう。
その中でも、首脳陣としては一番活躍を見込みたいのが、新外国人のエップラー投手。196cmの長身から投げ下ろすカットボールやシンカーが武器で、基本的には打たせて取るタイプの投手。オリックスは安達、福田の二遊間を中心に、内野守備はリーグトップクラス。ディクソン投手のようにグラウンドボーラーとして順応出来れば、日本での活躍も見込めるでしょう。野手はロメロ、メネセス、マレーロ、投手はアルバース、ディクソンと外国人枠の兼ね合いはありますが、うまく谷間要員としてハマってくれるとありがたい存在。
メジャー経験こそないが、昨季は3Aで28試合に登板(25先発)し、自己最多となる13勝6敗、防御率3.59、153イニングを投げて118奪三振、39四球の成績を残していた。身長196センチ、体重104キロの長身右腕で先発として期待される。
マイナー通算では通算111試合登板(100先発)で39勝29敗、防御率3.82。3Aでは2シーズンで通算55試合に登板(46先発)し、21勝15敗、防御率4.20、289回1/3で214奪三振、72四球の成績を残している。
引用:オリックスが前パイレーツのエップラー獲得を発表 昨季3Aで13勝の長身右腕 | Full-count | フルカウント ―野球・MLBの総合コラムサイト―
それ以外にも楽しみな投手は多いので、チーム全体で高いクオリティを維持しながら、先発投球回数を消化する可能性は高いです。田嶋、アルバースの復帰が遅れ過ぎるとキツイですが、開幕数週間なら凌げるだけの層はあります。
育成枠
- 中堅お試し枠(右):榊原 翼(K-鈴木)
- 中堅お試し枠(左):山﨑 福也
- 若手お試し枠(右):山﨑 颯一郎
- 若手お試し枠(左):左沢 優(富山)
育成枠の評価はAです。活きの良い若手投手陣が数多くいて、一軍だけではなく、ファームでの活躍、成長が楽しみな投手が数多くいます。
「【オリックス編】12球団別キャンプ&オープン戦の編成注目ポイント、期待の選手【2019年】」の記事でも話しましたが、個人的に注目しているのは榊原投手。キャンプではうまくアピール出来てないようですが、過去2年間の投球内容は他球団の高卒3年目投手の中でも上位クラス。元々まだ二軍ですら年間とおして活躍したことがなかったので、今年は二軍で一年間ローテを回るのもありだと思います。もちろん一軍での活躍も見たいので、一二軍両方合わせて100イニング投げてくれることに期待です。
【オリックス編】12球団別キャンプ&オープン戦の編成注目ポイント、期待の選手【野球ラジオ】
【オリックス編】12球団別キャンプ&オープン戦の編成注目ポイント、期待の選手【2019年】
その他だと、K-鈴木、山崎の2人は一軍戦力として見込みたいところですし、ある程度やってくれないと困る存在です。
まとめ
- 故障、退団者は多いものの、質と層は優秀
- 山岡、山本、田嶋のエース候補がどこまで覚醒するか
- 熾烈なローテ六番手争いにも注目
球界屈指のエースはいませんが、層、質共に12球団トップクラスのオリックス。
あとは、山岡、山本、田嶋らのエースポテンシャルを秘めた逸材たちが覚醒すれば、12球団でもトップクラスの先発投手陣になります。若手、中堅どころにも楽しみな人材が豊富で、引き続き投手力はリーグ内でも強みになる可能性を秘めています。
ただ、完全には目処が立っていない部分も多く、さすがにローテ級投手の故障が長引くとキツイです。投手運用の面ではやや拙さもある球団なので、故障者の見切り発車だけは避けて欲しいと、切に願っています。
【野球ラジオ】プロ野球2018~12球団の冬の通信簿~ オリックス・バファローズ編【ドラフト、補強、若手育成、人事】
12球団の開幕ローテ予想と先発投手編成分析一覧
パ・リーグ
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