バーベイトがキーマン。
私が独自に作成した先発投手編成表を使って、2019年のプロ野球12球団の投手編成についてお話していきます。
それぞれの数字や役割の意味は、「先発ローテは六人じゃ足りない?プロ野球で年間必要な先発投手の人数と先発投手陣の考え方」の記事で解説しておりますので、そちらの方でご確認ください。
※2019年2月16日時点の情報をもとにしています。
【北海道日本ハムファイターズ編】12球団の開幕ローテ予想と先発投手編成分析【2019年】
過去5年間の北海道日本ハムファイターズの先発投手事情
年度 | 先発投球回数 | 先発起用人数 | 規定投球回数到達者数 | 規定投球回数到達者 |
2014 | 829.6 | 10 | 2 | 大谷、メンドーサ |
2015 | 824.6 | 12 | 3 | 大谷、メンドーサ、吉川 |
2016 | 849.3 | 12 | 1 | 有原 |
2017 | 809.6 | 17 | 1 | 有原 |
2018 | 847.3 | 15 | 2 | 上沢、マルティネス |
平均 | 832.0 | 13.2 | 1.8 | - |
過去5年間の先発投手陣の平均投球回数は、約832回。
先発投球回数はリーグ平均を下回っていますが、特徴的なのは先発投手の起用人数。開幕早々に優勝争いから離脱し、様々な投手をテストした2017年の17人起用は突出して多いのは仕方ないとしても、投手起用人数が多い年と少ない年がはっきりしています。
2018年の先発のチーム成績は、tRA、FIP共にリーグ2位と好成績。特徴としては、K%は低めですが、BB%はリーグ最高の値で、GB%もリーグ1位タイ。奪三振を奪えるわけではありませんが、少ない四球とゴロを打たせることで、失点抑止出来る投手陣を集めています。実際、上沢、マルティネス、有原、加藤、村田と、グラウンドボーラーが多く、チームのスカウティング方針がはっきりしています。
オフは一時退団の噂も出たマルティネスが一転残留で、更にオリックスから金子を獲得。ドラフトでも将来性豊かな吉田輝星を獲得するなど、バランスよく補強を行っております。質、層共に優秀で、引き続きリーグ屈指の先発陣を形成することでしょう。
グループ別評価
※投手の利き手はあくまで理想です。各評価の意味は、一番右に記載しております。
堀、上原、杉浦、斎藤と若手中堅の先発候補もキャンプで好結果を残しており、ローテ争いは熾烈を極めています。
三本柱
- エース:上沢 直之
- 準エース:マルティネス
- 三番手:バーベイト(ロドリゲス)
三本柱の評価はAです。リーグ屈指の二枚看板である、上沢、マルティネスの存在を高く評価しました。
エース格は、2018年にキャリアハイの165回1/3を投げて、11勝をあげた上沢投手。年齢もまだ25歳と若く、今期も期待出来そう。ただ、エースと呼ばれるには、もうワンランク上に成長しなければいけないのも事実。K%、BB%、tRAなど、クオリティの部分は既にリーグトップクラスなので、あとは量的貢献をどれだけ増やせるのか。エースに求められる180イニングを消化出来るのか、見ものです。
準エース格は、2018年に161回2/3を投げて、10勝をあげたマルティネス投手。K%の低さは気になりますが、抜群の制球力でゴロを量産する、打たせてとる投球が持ち味。GB率57.0%はリーグ2位、BB%5.9はリーグ4位と、指標上でもその凄さは表れています。引き続きローテの柱としての活躍が期待出来るでしょう。
問題は3番手のところ。個人的には2019年の日本ハム投手陣の最大の鍵を握る部分だと思っています。日本ハムは、4番手以降に、有原、金子、加藤、村田とイニングを安定して消化出来る投手がいるのが魅力。ただ、その一方で、3番手として表ローテできっちり勝てる存在は不在。ここがしっかりするかどうかで、チームが優勝争いに食い込めるかどうかが変わってくるでしょう。
有力候補は新外国人投手のバーベイト。日本人が苦手とする、スラッターやスプリットなどの速い変化球を駆使しながら、打たせてとるタイプ。3Aでは威力不足だったストレートも、日本の打者と広い札幌ドームの恩恵を受ければ、解消される可能性を秘めています。バックアップ要員のロドリゲス投手と共に、二人で130回を消化してくれると、日本ハムの優勝がグッと近づきます。
先発二群
- イニングイーター:金子 弌大
- 先発五番手:加藤 貴之(堀)
- 先発六番手:有原 航平
先発二群の評価はBとしました。層は厚く、イニングは消化してくれるでしょうが、クオリティの部分を減点して、Bとしました。
四番手のイニングイーターは金子投手を据えました。年々成績は下降傾向ですが、投球回数は162、184/1、100回とイニングイーターとしては十分。K%やFIPも低下傾向ですが、tRAは平均以上で、衰えの曲線は緩やか。既に開幕第二戦の先発も決定しており、オープナー起用の可能性も示唆されるなど、球団や首脳陣の期待は高いです。
「重大な発表です。少し早いけど開幕から(先発を)2人いっぺんに発表します。1戦目は上沢、相手はオリックスなので2戦目は金子弌大でいきます」
「1」と「2」が並ぶ現地12日の12時12分。かつて15年2月20日の11時11分に背番号11だった大谷(現エンゼルス)に開幕投手を任せたことを明かした指揮官が、再びサプライズ発表だ。昨季チームトップ11勝の上沢の開幕投手指名は順当だが、第2戦の先発に通算120勝ながら移籍1年目の金子を抜てき。さまざまな思いを込めた。
五番手投手は、左腕の加藤投手。毎年WAR2.0、投球回数100前後を消化してくれる、貴重な先発左腕。K%やBB%も平均以上で、FIPやtRAは優秀。ローテ3番手だとも足りないですが、五番手にいてくれると非常に助かる存在。あまり目立つことはありませんが、かなり優秀なスターターです。
六番手は有原投手。プロ4年間で全て年間100イニング以上登板しており、2度の規定投球回超え。質の部分はイマイチですが、K%やBB%を年々良化させており、進化の跡は見えます。2年名以降は常にGB%が50%を超えるなど、打たせてとる投球術を兼ね備えています。DERをみると、やや不運な4年間でもあるので、今年はその揺り戻しがくるのではと予想。
バックアップ
- 谷間要員:村田 透
- 谷間要員:杉浦 稔大(斎藤)
- 谷間要員:上原 健太
バックアップの評価はBです。
谷間要員として信頼できるのは、33歳の村田投手。NPB復帰後2年間の投球回数は、52、77回と優秀。二年ともGB%は50%を超えており、2018年はBB%12.0から5.6%に良化させたことで、FIPやtRAも向上。年間通しての活躍を望むのは厳しいですが、先発投手陣の故障や連戦などでスポット的に登板させるには十分過ぎる存在。
後は上原、堀、杉浦などの中堅、若手どころがどこまで成長するかが鍵。ポテンシャル的には先発二群に配置した投手を脅かせるだけのものは持っているので、期待したいところ。個人的には、大卒4年目の上原投手が年々成績や指標を向上させているので、結構面白い存在になるのではと密かに期待しています。ローテ候補の左は現状加藤投手しかいないので、堀、福田、藤岡投手らと争って欲しいです。
育成枠
- 中堅お試し枠(右):堀 瑞輝(福田)
- 中堅お試し枠(左):立田 将太(藤岡)
- 若手お試し枠(右):吉田 輝星(柿木,)
- 若手お試し枠(左):北浦 竜次
育成枠の評価は、Aをつけました。
堀、北浦といった高卒左腕が順調に力をつけており、大卒2年目右腕の鈴木も面白い存在で、そこにドラフトで福田、トッププロスペクトの吉田を加え、ライバル候補に柿木を据える形。一軍ローテがしっかりしているので、堀以外は基本的に二軍でしっかりローテを回ることになるでしょうが、チームがチームなので、吉田輝星は今シーズン中に一度は一軍昇格もあるでしょう。二軍の育成も楽しみなくらい、先発投手陣は結構充実しています。まずは高卒3年目の堀が一軍に巣立って、後輩の育成に余裕を持たせて欲しいです。
まとめ
-
先発三番手にバーベイトがハマるか
-
上原、堀、杉浦が一軍ローテを脅かせるか
-
若手先発候補の二軍での成長、活躍も楽しみ
ベテラン、中堅、若手、右左、投手のタイプと、非常にバランスの良い日本ハム投手陣。2019年と同様に、引続き投手力は高いところで保つことが見込まれます。ただ、一点気になるのは何度も言っている通り、三番手投手。マルティネス投手は昨年のオフにギリギリまで契約延長交渉をしての末に残留と、来年以降は不透明。ベテランの金子投手もそう長くはないことを考えると、将来を考えても今年あたり上原か堀に伸びてきて欲しいところ。三番手投手さえハマれば、リーグ1の先発投手陣になる可能性を秘めています。
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12球団の開幕ローテ予想と先発投手編成分析一覧
パ・リーグ
埼玉西武ライオンズ
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北海道日本ハムファイターズ
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東北楽天ゴールデンイーグルス
セ・リーグ
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横浜DeNAベイスターズ
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阪神タイガース
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