千賀が年々指標悪くなってるのは気になる。
私が独自に作成した先発投手編成表を使って、2019年のプロ野球12球団の投手編成についてお話していきます。
それぞれの数字や役割の意味は、「先発ローテは六人じゃ足りない?プロ野球で年間必要な先発投手の人数と先発投手陣の考え方」の記事で解説しておりますので、そちらの方でご確認ください。
【福岡ソフトバンクホークス編】12球団の開幕ローテ予想と先発投手編成分析【2019年】
過去5年間のソフトバンクの先発投手事情
年度 | 先発投球回数 | 先発起用人数 | 規定投球回数到達者数 | 規定投球回数到達者 |
2014 | 853.6 | 14 | 2 | スタンリッジ、中田 |
2015 | 911.3 | 12 | 3 | 武田、中田、スタンリッジ |
2016 | 913.6 | 10 | 3 | 武田、千賀、和田 |
2017 | 833.3 | 12 | 3 | 東浜、バンデンハーク、千賀 |
2018 | 827.6 | 12 | 0 | なし |
平均 | 867.6 | 12 | 2.2 | - |
過去5年間の先発投手陣の平均投球回数は、約867回2/3。
2015、16シーズンにはチーム先発投球回数が900回を超えており、これは過去5年間のプロ野球で、2015広島含めて3例しかありません。それだけ先発が強力だったソフトバンク。ただ、ここ2年間は先発投手の投球回数が減少しており、2018年は規定投球回数到達者0。けが人続出とはいえ、BB%、FIPはリーグワーストで、質の面でも昨年は苦労しました。
とはいえ、千賀、東浜、武田と主力投手は20代で、質の高い外国人投手、成長著しい若手、谷間先発が期待出来るベテランと、V字回復に期待出来る投手は多数います。ですので、そこまで悲観する状況ではありません。一つの懸念点としては、故障持ちの選手が多く、年間通した活躍が見込み辛い点です。
グループ別評価
※投手の利き手はあくまで理想です。各評価の意味は、一番右に記載しております。
正直候補が多すぎて13人の枠に収めるのが難しいくらい、頭数はいました。岩嵜、サファテ、加治屋、外国人枠の兼ね合いなどで、何名かはシーズン中にリリーフに回る可能性も高いです。
三本柱
- エース:千賀 滉大
- 準エース:東浜 巨
- 三番手:バンデンハーク
三本柱の総合評価はAです。
エース格は、先発転向以来3年連続二桁勝利で、26歳とまだまだ若い千賀。首脳陣も東浜投手との開幕投手争いを示唆するなど、エースと期待される存在です。気になるのは、2016年以降質の部分で成績を下降させていること。
【千賀投手の2016~2018年の投球指標】
年度 | 試合数 | 投球回数 | K% | BB% | HR/9 | tRA | GB% |
2016 | 25 | 169 | 26.6 | 7.8 | 0.85 | 3.19 | 51.8 |
2017 | 22 | 143 | 26.4 | 8.0 | 0.94 | 3.27 | 50.7 |
2018 | 22 | 141 | 27.9 | 9.9 | 1.34 | 4.27 | 45.0 |
K%はリーグトップクラスの数字を維持し続けていますが、BB%、被本塁打率、FIP、tRAは年々悪化傾向で、リーグ平均に近づいています。年齢的にまだまだ衰える投手ではないので、期待していますが、怪我も多いタイプの投手なので、投球回数180超えはやや厳しいかもしれないと予想しています。
※2月25日、千賀投手が2年連続で開幕投手を務めることが明かされました。
ソフトバンク工藤公康監督が25日、今季の開幕投手を千賀滉大投手(26)に決めたことを明かした。26日から3試合の練習試合を残すが、この日で宮崎キャンプはいったん打ち上げとなり「本人には伝えました。千賀くんです」と話した。前日24日の試合中止後にチーム宿舎で伝えた。
千賀は昨年に続き2年連続の大役。工藤監督は「1年間しっかりローテーションを守って、チームの投手陣を引っ張ってほしいという思いを伝えさせてもらった。持っているものも力もチームで一番持っているピッチャー。今年はお前に託す、と伝えさせてもらった」と期待した。
引用:ソフトバンク開幕投手は千賀 工藤監督「託す」 - プロ野球 : 日刊スポーツ
準エース格は、2017年の最多勝投手東浜。2018年は17登板103回に終わりましたが、K%やBB%、tRAは少し悪化した程度で、十分リーグ平均以上。2017年には160回を投げていますので、成績をV字回復させられれば、想定投球回数は消化出来る見込み。ソフトバンクの場合は三番柱以外にも、イニングを消化出来る先発候補もいるので、三本柱が想定投球回数を食えなくても、他で賄える可能性は高いです。
三番手は武田投手と悩みましたが、来日4年間で勝率.696と毎年安定して勝ってくれるバンデンハーク投手を据えました。ここ2年間のイニング数も153→138と消化しており、その安定感も評価しました。ただ、バンデンハーク投手は今年33歳で、衰えが出てきてもおかしくない投手。実際腰の張りを訴えており、調整が遅れているとの報道もあります。状況次第によっては、後述するミランダ投手の序列が入れ替わる可能性もあります。
同コーチは「全体的に底上げしている。長いイニングも投げられると思う」と、先発候補として期待を寄せる。千賀、東浜、ミランダのローテ入りは確実だが、バンデンハークは腰の張りで調整が遅れている。武田、高橋礼、大竹、中田、ドラフト4位の板東湧梧投手(23=JR東日本)らと残り3枠を争う状況。「今年ダメなら期待されなくなる。インパクトを残さないと厳しい」と話す田中が、まずは紅白戦でインパクトを残した。
外国人選手枠の兼ね合いもあるので、理想論で言えば、4番手以降に配置出来るとなお良しです。
先発二群
- イニングイーター:武田 翔太
- 先発五番手:石川 柊太
- 先発六番手:ミランダ(スアレス)
先発二群の評価はSです。ソフトバンクの場合は層が厚すぎて、バックアップ、育成要員も十分開幕ローテに食い込んでくる可能性があります。
そんな中でも、ローテ入り確実と見込んでいるのが武田投手。2018年は4勝9敗で、防御率4.48。年々K%が低下(23.2→23.8→18.7→19.0→16.7)しているのは気になりますが、実はFIPやtRAで見るとリーグ平均以上で、言われるほど悪くない2018年でした。途中リリーフもあったとはいえ、27試合で投球回数124回2/3。年齢的にも25歳と若く、リーグ4番手としては贅沢な投手です。
五番手には、リリーフの可能性もありますが、石川投手を配置。この石川投手を先発に固定せずとも良いのが、ソフトバンクの強み。投球回数は98回1/3→127回1/3と順調に伸ばしており、三本柱が消化出来なかったイニングを補ってくれると想定。気になるのは、イメージほどFIPやtRAが良くなく、2018年のtRAは90イニング投げた投手の中ではリーグワーストということ。クオリティの部分でやや課題があるので、レベルアップに期待したいところ。
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六番手はミランダ投手。外国人投手の兼ね合いがあるので、序列を下げています。ただ、2018年のソフトバンクは、先発左腕がミランダ、大竹しかおらず、ベテラン和田投手のリハビリの状態次第では、2019年も先発左腕不足が懸念されます。加えてミランダ投手は2018年に8試合47回2/3とはいえ、6勝1敗tRA3.29と、抜群のクオリティを発揮。大竹投手や他の左腕の成長次第ではありますが、貴重な左腕先発候補のミランダ投手が、ローテ入りする可能性は高いです。
※2019/2/17時点の首脳陣のコメントを見る限り、ミランダ投手ローテ入り確実。
バックアップ
- 谷間要員:中田 賢一
- 谷間要員:大竹 耕太郎(和田)
- 谷間要員:高橋 礼(板東)
バックアップメンバーの評価はSです。
スアレス、大竹、中田賢一、高橋礼だけでも豊富なのに、田中、和田、杉山、奥村、坂東、笠谷と、他球団ならローテ5、6番手に名を連ねてもおかしくない面々がいます。恐らく何名かはリリーフに回り、何名かは二軍のローテで調整することになるでしょう。
特に中田投手は、ここ3年間の投球回数が89回2/3→86回2/3→91回2/3と、谷間要員としては贅沢過ぎるほどのイニングイーターぶり。2018年に一軍で結果を残した大竹、高橋礼の大卒2年目組も開幕ローテ入りの可能性を残しており、非常に贅沢な面々がバックアップ組に名を連ねています。
中でも一番鍵を握るのは、ベテラン左腕の和田投手の復活があるかどうか。問題なく投げられるなら十分戦力ですが、はたしてどこまで復活出来るのか。和田投手が年間10登板前後してくれるようになると、先発投手陣のクオリティはぐっと高まるのですが...。
育成枠
- 中堅お試し枠(右):田中 正義(松本、高橋)
- 中堅お試し枠(左):和田 毅(渡邉)
- 若手お試し枠(右):杉山一樹(奥村、泉)
- 若手お試し枠(左):笠谷 俊介
育成枠の評価はAです。Sでも良かったのですが、ドライチトリオの松本、高橋純平らの育成が順調にいっていない点を考慮してAにしました。ただ、ドラフトでは将来性の高い杉山を獲得し、二軍にも好素材は多いソフトバンク。一軍の先発に余裕がある分、高卒社会人組の杉山投手を焦らずじっくり育成出来るのは、他にはない強みです。
また、層の厚さから田中投手を配置していますが、立場的には開幕ローテ候補の一人。キャンプや紅白戦では仕上がりの早さを見せており、今年にかける意気込みは相当。バンデンハーク投手の状態次第では、今年ある程度出番を与えられる可能性もあります。石川投手はどうやらリリーフ想定のようなので、田中投手がローテに定着してくれるとありがたいところ。
まとめ
-
質、量共に12球団屈指
-
実績組の復活と若手の成長に期待
-
注目は石川の起用法と田中の成長
2018年こそ先発に苦しみましたが、抱えている投手のクオリティはさすが。2018年に主力投手の故障や不調があったことで、ミランダ獲得、大竹、高橋礼の成長にもつながり、結果的に2019年は層が厚くなっています。とはいえ、欠かせないのは不調に終わった千賀、東浜、武田の復調。特に千賀はポスティングでのメジャー挑戦を球団に直訴しているので、今年にかける思いは強いでしょう。よほど主力に大きな故障が続かない限り、リーグ内でもトップクラスの先発投手陣になると予想します。
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12球団の開幕ローテ予想と先発投手編成分析一覧
パ・リーグ
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