ストーブリーグが盛り上がりを見せる11月。
大物選手の去就を巡って、12球団のファンが様々憶測に、一喜一憂する季節です。
埼玉西武ライオンズファンの私は、これまで様々な主力選手のFA移籍を経験してきました。
FA制度が1993年のオフに導入されてから、これまで12球団最多の16人が他球団に移籍。
FAで退団した選手の人数
— ふくださん (@fukudasun) 2018年11月5日
(1)西武=16
(2)日本ハム=14
(3)オリックス、ソフトバンク=11
(5)阪神=10
(6)中日、DeNA=9
(8)ヤクルト、巨人、広島=8
(11)ロッテ=7
(12)楽天=3
※日刊スポーツ
海外に夢を追ったもの、球団と喧嘩割れしたもの、故郷に錦を飾ろうとしたもの...
これまでに悲しいFA移籍を幾度となく経験した西武ファンの私が、FA移籍する理由をまとめてみました。
自贔屓球団の選手がFAするのかどうか、自贔屓に来て欲しい選手がFA移籍するかに注目している方は是非ご覧ください。
プロ野球選手がFAする理由
お金(年俸、契約年数)
大抵の選手は金銭ありきでFAします。
日本社会ではあまり良い顔はされませんが、個人事業主のプロ野球選手にとっては金額を求めるのは当然のこと。
いつ衰えるかも、引退に追いやられるかもわからないスポーツ選手ですので、稼げるうちに稼ぎたいというのは当然。
「誠意は金」という有名な言葉もありますが、やはりお金は積んでくれるのはそれだけ評価している(来て欲しい)という証拠。
FA移籍後の起用法などは契約でいくらか縛れるとはいえ、予想していないことが起きる可能性もあります(監督交代やチームメイトの怪我など)。
その点、金額は移籍する時点で決まるものなので、変動要素が少ないです。
目に見える確かな形で支払われるお金こそ、FA移籍をする上で非常に重要なのです。
加えて、契約年数も重要なポイント。
契約年数=自分が活躍すると思われている期間ですので、契約年数が長ければ長いほど信頼されている証。
平均的にFA取得した時点の選手の年齢は30歳前後。
傾向的には成績が落ち始める年齢です。
選手としては契約満了=引退の危機にもなり得るので、何歳まで自分を雇用してくれるのかは非情に重要な点。
特に年齢が30後半に近づいている選手は、年俸はもちろん契約年数を重視する傾向にあります。
起用法(出場機会、役割)
起用法も重要なポイント。
投手なら先発なのかリリーフなのか、野手なら打順や打順、出場機会など。
過去にライオンズから流出した選手だと、涌井秀章(ロッテ)投手は先発起用を直訴、細川亨捕手は(ソフトバンク→楽天)は炭谷優先の球団方針もあって、FA退団する流れになりました。
これもよく耳にする「他球団の評価を聞いてみたい」という言葉には、金額はもちろん起用方法も含まれています。
現状のチームでは控え捕手なのに、「なぜ君が二番手捕手なのかわからない。球界最高の捕手が座るのはベンチじゃなくて、スタメンの椅子だよ」などと口説かれれば、選手としてはこれ以上ない幸せ。
起用法は選手のモチベーションにも直結しますし、出場機会が増えればそれだけ年俸も上がりやすくなります。
契約にも盛り込める部分もあるので、選手としては環境を変える上で大切なポイントです。
移籍希望球団・リーグがある(海外移籍、地元凱旋、憧れの球団)
やや大きなくくりですが、移籍先の希望があるパターンもFA移籍理由のよくある理由。
過去の西武の選手に当てはめると、下記の通り。
- 海外移籍→松井稼頭央、中島裕之
- 地元凱旋→和田一浩、岸孝之、帆足和幸
- 憧れの球団→清原和博、片岡治大
地元凱旋の場合は、両親や家族(奥さんの実家)、友人知人が住んでいることが移籍理由になるケースです。
プロ野球選手も一人の人間。
野球の面以外にも重要視する点があり、家族のことや今までお世話になった人に恩返ししたいなどを理由に、FA移籍することがあります。
また、清原和博氏のように大阪生まれ大阪育ちだが、 憧れの巨人に移籍するケースや、片岡氏のように憧れの原監督の元でプレイしたいという理由で移籍するケースも。
※片岡選手の場合は環境面なども影響しています。
また、球団ではありませんが、落合博満氏のように「長嶋監督を男にしたい」という理由で移籍するパターンもあります。
優勝出来る球団にいきたい
キャリア晩年になって、一度も優勝していない選手がどうしても優勝したいという理由で移籍するケースがあります。
優勝経験は引退後の箔も付きますし、何より選手のモチベーションにも繋がるもの。
元の球団のファンからは反感を買いやすいですが、FA移籍の理由になりやすい部分です。
環境を変えたい(人生経験、子どもの教育環境、施設)
このケースはかなり多岐に渡りますが、選手にとっては結構大切なポイント。
石井一久氏はヤクルトから西武に移籍した際に、「友達を作るためにFAした」と発言しました。
選手によっては、同じ球団、土地、環境でプレイすることにマンネリを覚えることもあり、自分を成長させるために新しい環境(球団、土地)に飛び込むこともあります。
その他にも子どもを関東で教育したいや、お子さんの病気を診療出来る病院が関東にしかないなどの理由で、在京球団を希望するケースも希にあることも。
あとは球場やトレーニングルームなどの、施設面が理由になることもあります。
選手にとっては身体は資本。
野球選手として長く活躍するために、移動距離の少ない球団や練習環境の良い球団を選ぶケースもあります。
また、前述した落合氏の件とも被りますが、一緒にプレイしたい監督やコーチ、選手がいるという理由で移籍することも。
若手時代にお世話になったコーチが他球団で監督をされていたり、仲の良い選手がいたり。
球団との不和(フロントや監督、チームメイトとの関係)
前述した起用法と被る部分もありますが、球団との関係が悪化した場合も、FA移籍という手段を取るケースがあります。
実際のところは部外者の私にはわかりませんが、岸孝之や涌井秀章、工藤公康、野上亮磨などは、球団との関係悪化が移籍の要因になったとか。
また、西武で聞いたことはないですが、監督やチームメイトとの不和も移籍の理由になりえます。
練習方法や起用法、私生活でのトラブルなど、考えの違いや人間関係が移籍理由になるケースもあるのです。
FA移籍する理由は一つじゃない
ここまでFA移籍する理由を挙げてきましたが、実際に移籍する際は様々な要素が絡んで移籍にいたります。
十分な金額と起用法を憧れの球団が提示してくれて、家族も環境に満足しているし、嫌いなフロントとも顔を合わせなくて済む。
と、ここまで完璧な条件が揃うことは稀ですが、理由は一つだけじゃないことがほとんど。
報道されていることが全てではありませんが、選手の発言から様々なことが推し量れるのも、FAの面白い点です。
まとめ
FA移籍では契約総額が報道されやすく、ともすれば金で動いた守銭奴のような印象を抱かせるものです。
もちろん金銭面も重要な点ですし、プロ野球選手にとって大事な問題。
ただ、金銭だけが移籍の理由ではありません。
様々な要因が絡み合ってFA移籍は成立しますので、FA移籍=金とはせず、多角的な目線でFAを見ると、更にプロ野球の味方が面白くなるでしょう。
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