どうも、はろーぐっばい(@jubenonz)です。
本日は、ピッチャーの変化球を種類別に簡単にを解説します。
「【初観戦向け】初心者が最低限知っておきたい野球ルールと理解する方法5選」でもお話した通り、本ブログでは野球のことが全くわからない初心者さん向けに野球ルールを解説しております。
今回のテーマは変化球。
野球の投手は速い速球(ストーレート)だけではなく、ボールが大きく変化するボールや、変則的な軌道で向かってくるボールを投げて、打者を翻弄します。
野球が出来た当初はストレートとカーブくらいが主流だったのですが、今では厳密に分類すれば20~30種ほどの変化球があります。
投手によりますが、投球の30~50%の割合で変化球を投げるのが最近の傾向。
ですので、ストレートだけを知っていては野球を楽しむことができません。
そこで、今回は現在の野球でよく用いられる変化球を簡単に解説していきます。
上級者や科学(特に物理学)が好きな方は、空気抵抗や揚力、回転数などと難しい言葉を使いがち。
はっきり言って難しくわかりづらいです。
そのため、このページではなるべく専門用語は使わず、初心者でもわかる言葉を使って変化球について解説していきます。
野球解説を聞いていてもイマイチちんぷんかんぷん、野球場でストレート以外どの球種を投げているのかよくわからない方に参考にしていただきたいです。
【野球初心者向け】変化球を投げる目的と狙い、効果
変化球を投げる目的は打者の目先を変えるため、次に何を投げるかを絞らせないなどの狙いがあります。
バッティングセンターを想像してもらうとわかりやすいのですが、同じリズム、同じ速度、同じ球種が続くと、人はだんだん目とスイングする感覚が慣れてくるのです。
そうすると、少々速いボールがきても、しっかりバットに当てることができます。
ましてや、プロ野球選手にもなると、簡単に打ち返すことが可能。
そのため、投手はストレートとは軌道の異なる変化球を投げることで、打者を打ちにくくしているのです。
変化系とストレートが大きく異なる部分は下記の2点。
【ストレートと変化系の異なる部分】
- 軌道
- 球速
横に変化したり、縦に変化したりするので、バッターは変化する位置を予測して振らなければなりません。
変化球の場合は、ストライクのところからボールゾーンに変化したり、逆にボールゾーンからストライクに変化するので、打者は予測が難しいです。
また、ほとんどの変化球がストレートとはスピードが異なる(大抵は遅い)ので、タイミングを外されます。
野球のバッティングはタイミングが重要とも言われており、タイミングよくバットとボールが当たれば、遠くにボールが飛びます。
逆にタイミングが悪いと、どんなに怪力の選手でもなかなか遠くに飛ばすことは難しいです。
ですので、ピッチャーはいかにバットにボールを当てさせないか、またはタイミングよく振らせないために、変化球を投げて打者がタイミングを取るのを外そうとします。
必ずストレートが来るとわかっているのか、変化球が来る”かも”しれないのかでは、バッターの対応に迷いが生じるのです。
二択だけでも迷うのに、変化球を3つも4つも持っていれば、打者はその分迷います。
単純な話ですが、選択肢が多ければ多いほど、予測を当てるのも困難です。
ストレート、フォーク、スライダー、カーブ、シンカー....
より多くの変化球を投げ分けられれば、それだけ投手は打者に対して、有利に立てるのです。
変化球を投げるデメリットとしては、握力が落ちやすい(スタミナ切れ)ことと、読まれると長打を浴びやすいこと、制球が難しいことが挙げられます。
ストレートと比べると変則的な握りをするため、手に負担がかかりやすいです。
また、来るとわかっていればボール球になるのを見切られたり、長打を浴びやすい傾向にあります。
いかにタイミングを外して、相手の裏をかくのかが、変化球を投げる際の大きなポイントです。
ピッチャーの変化球を種類別に簡単に解説
ピッチャーの変化球は大きく分けると4種に分類できます。
【変化球の分類】
- 横・斜め変化系
- 縦変化系
- ムービング・ファスト系
- 魔球系(オリジナル)
どれが良くて、どれが悪いなどの優劣はなく、球種の組み合わせや打者の得意不得意によって、有効なボールは変わります。
ほとんどの投手は本当に得意と言える変化球は1つか2つ。
あとはあくまで打者を惑わせる選択肢の一つとして、いくつかの種類のボールを投げるのが一般的です。
ちなみに変化球の分類に明確な定義はありません。
本人はフォークボールだと思っていても、メディアからスプリットだと言われることもあれば、明らかにフォークボールの軌道なのに、ツーシームと言い張る投手もいます。
解説者の人でも、分類を間違える(投げてる本人の申告と異なる)こともありますしね。
あくまで自己申告です。
横・斜め変化系
最も取り組みやすい変化球。
日本では子どもたちが最初に覚えようとするのが、横・斜め変化系です。
比較的肘や握力面の負担が低いため、プロ野球選手でも扱う投手が多い球種。
スライダー、スラーブ、高速スライダー
利き腕の逆方向に横変化する球種。
厳密に真横に曲がるというよりは、若干斜めに沈みながら変化することが多いです。
ストレートと球速差が20キロ前後なので、打者はストレートと見間違えやすく、見極めが難しいボールです。
ストレートとの球速差が10キロ前後の「高速スライダー」、縦に変化する「縦のスライダー」というものもあります。
【スライダーの代表的な使い手】
- 現役⇒ダルビッシュ有、岩瀬仁紀、菅野 智之、前田健太
- レジェンド(OB選手)⇒伊藤智仁、稲尾和久
ダルビッシュ有 凄ぇ奪三振まとめ! 打てないスライダー MLB ドジャース Los Angeles Dodgers Yu Darvish 2017
カーブ、スローカーブ、ドロップ、ナックルカーブ
利き腕の逆方向に斜めに変化する球種。
スライダーと並んで習得しやすく、投げる投手が多いボールです。
ストレートとの球速差が30キロ前後で、一瞬浮き上がるようにして落ちてくるため、高低差を利用する場合にも用いられます。
【カーブの代表的な使い手】
- 現役⇒岸孝之、武田翔太
- レジェンド(OB選手)⇒江川卓、堀内恒夫、三浦大輔、工藤公康、星野伸之
シュート
利き腕方向に横変化する球種。
一般的には打者の内角に投じて、ゴロを打たせるために使われます。
スライダーやカーブとは反対方向に曲がるため、打者としては組み合わせられると厄介なボール。
ストレートとの球速差も10キロ前後なので、打者はストレートとの見極めが難しいです。
※ちなみに巨人の西村健太朗投手は、ストレートよりシュートの方が球速が速いです。
【シュートの代表的な使い手】
- 現役⇒西村健太朗
- レジェンド(OB選手)⇒平松政次、西本聖、川崎憲次郎、小野慎吾
シンカー(スクリュー)
利き腕方向に斜めに変化する球種。
斜め系変化の代表的なボールで、よく”沈む”という表現をされるボールです。
内角に喰い込ませてゴロを打たせたり、外に逃げる軌道で空振りを取ったりと、様々な用途で使用可能。
シュートほどではありませんが、ストレートとの球速差が20キロ前後なので、打者としてはついバットを出してしまうボールです。
スライダーやカーブほど使う投手は多くないので、一度覚えると武器になるボール。
高校レベルでシンカーをうまく使う投手はかなりレアです。
【シンカーの代表的な使い手】
- 現役⇒攝津正
- レジェンド(OB選手)⇒山田久志、潮崎哲也、高津臣吾、山本昌
【野球】メジャーのすごいシンカー集【エグい変化球】MLB Sinker balls
縦変化系
現代の魔球とも言えるのが、縦変化。
横・斜め変化以上に空振りを奪える球種が多いため、いわゆる決め球(ウイニングショット)として用いられることが多いです。
習得はやや難しく、その分覚えた時のメリットが多い球種。
フォーク、スプリット
縦に鋭く落ちる変化球。
ストレートとの球速差が10キロ前後で、変化量がフォークと比べてやや少ないスプリットというものもあります。
決まれば高い確率で空振りが取れるため、ウイニングショットとして利用する投手が多いです。
ただ、球が無回転の分、当たればボールが飛びやすいので、失投にもなりかねません。
コントロールすることが難しく、ワンバウンドで叩きつけてしまい、ワイルドピッチになる可能性もあり、リスクも高いボールです。
また、指を挟んで投げるため、握力への負担が大きい球種でもあります。
【フォークの代表的な使い手】
- 現役⇒田中将大、大谷翔平、岩隈久志、上原浩治
- レジェンド(OB選手)⇒村田兆治、杉下茂、佐々木主浩
チェンジアップ
球速が遅くて、かつ落ちたり、沈んだりするボール。
大抵の投手はストレートと同じ腕の振りで遅いボールを投げるため、打者がタイミングを取りにくいです。
空振りを奪ったり、ゴロを打たせたり、見逃しを奪ったりなど、非常に使い勝手の良いボール。
また、ストレートと球速差があるため、チェンジアップの後にストレートを投げて、ストレートをより早く見せる効果が他の球種よりも高いです。
フォークと比べて握力負担が大きくないため、アメリカでは多くの投手が最初に習得するボールでもあります。
【チェンジアップの代表的な使い手】
- 現役⇒杉内俊哉、井川慶、松井裕樹、金子千尋、和田毅
- レジェンド(OB選手)⇒
《THE FEATURE PLAYER》21歳で通算100Sへ!! E松井裕の魔球・チェンジアップまとめ
パームボール
チェンジアップ同様、球速が遅くて、かつ落ちたり沈んだりするボール。
手のひらで押し出すように投げることから、英語で「手のひら」の意味をする「パーム」と名付けられています。
チェンジアップと比べると、変化が不規則かつ急で、ややコントロールしづらいボール。
そのため、覚えれば武器になる一方で、扱える投手が少ない、あまり習得する選手は多くないです。
【パームボールの代表的な使い手】
- 現役⇒浅尾拓也、近藤大亮
- レジェンド(OB選手)⇒小山正明、帆足和幸、石井丈裕
ナックルボール
無回転で不規則に揺れながら落ちる、魔球。
投げている本人もどこにいくのかわからないため、捕る捕手ですら捕球が困難なボール。
日米でも投げる投手はかなり珍しく、歴史的に見ても名手と言われる投手が少ない幻に近い球種です。
【ナックルボールの代表的な使い手】
- 現役⇒山崎康晃、吉田えり、R・A・ディッキー
- レジェンド(OB選手)⇒ティム・ウェイクフィールド
ムービング・ファスト系(手元で微妙に変化)
21世紀になって、一気に主流となった球種。
ストレートとほとんど球速差がなく、打者の手元で小さく変化するボールです。
打者はストレートとの見極めが困難で、ボールとバットが当たるギリギリで変化するため、バットの芯を外してゴロアウトになりやすい球種。
空振りを奪うより、見逃しやゴロを打たせるためによく用いられます。
日本ではまだまだ投げる投手が少なく、逆にアメリカにはムービング系の使い手が数多く存在。
そのため、国際舞台では日本の弱点的な球種になっており、WBCなどでは苦戦され続けているボールです。
ツーシーム・ワンシーム
ストレートに近い球速で利き手方向横変化、もしくは沈む球。
変化が小さくて速い”シンカー”として説明されることもあります。
シームとは縫い目のこと。
一般的に日本で言われるストレートは、ボールが一回転する際に縫い目が4回規則的に見えるため、フォーシームといいます。
対して、ツーシーム・ワンシームはボールが一回転する際に縫い目が1、2回だけ不規則に見えるため、空気抵抗を受けやすく、微妙にボールが変化するのです。
ストレートとの球速差が5~10キロ前後のため、打者はストレートとの識別がしづらいのが特徴。
ゴロを打たせる際に用いられることが多いです。
【ツーシーム・ワンシームの代表的な使い手】
- 現役⇒ダルビッシュ有、菅野智之、東浜巨、沢村栄純(漫画)
- レジェンド(OB選手)⇒黒田博樹
【プロ野球、ピッチング集 #10】黒田博樹2015 カープ復帰1年目のピッチング!メジャーでも無双してきたツーシーム「フロントドア」
カット・ファストボール(カットボール)
利き腕の逆方向に小さく横変化する球種。
変化が小さくて速い”スライダー”として説明されることもあります。
ムービング系の代表的なボールでもあり、アメリカではカッターともいわれます。
ボールからストライクゾーンに入れて見逃しを奪ったり(フロントドア・バックドア)など、ゴロを打たせる以外にも使い道があるボール。
【カット・ファストボール(カットボール)の代表的な使い手】
- 現役⇒藤浪晋太郎
- レジェンド(OB選手)⇒マリアノ・リベラ、川上憲伸、武田一浩
魔球系(オリジナル)
一人の投手か投げられない、オリジナルの変化球を持った投手が極稀に現れます。
まるで漫画のような話ですが、数十年に一人は現れます。
命名したもん勝ちのようなところはありますが、『実況パワフルプロ野球(パワプロ)』でもオリジナル変化球として登録された球種です。
【オリジナル変化球一覧】
- シェイク(元ロッテ・小宮山悟)
- バニッシュボール(元ホークス、ヤクルト・新垣渚)
- マジカルフォーク(元中日・岩田慎司)
- イーファスピッチ(元日本ハム・多田野数人)
【凄すぎて二度見】ロッテ小宮山悟の魔球「シェイク」で連続三振
まとめ
- ストレートと変化球の組み合わせで投手は勝負する
- 変化球はストレートと異なる軌道と球速を投げて打者を翻弄するために投げる
- ほとんどの投手は得意な変化球を最低1、2つ持っている
- それぞれの変化球には長所と短所があり、状況によって使い分けが大事
ウイニングショット(決め球)を持っている投手を見るのは非常に楽しいです。
いつ決め球を投げるのか、打者は決め球を打ち返せるのか。
ストレートで真っ向勝負も面白いですが、選手の高い技術と読み合いが見られる変化球勝負も、野球の醍醐味の一つです。
人によっては、好きな変化球や見ていて楽しい変化球など、特定の変化球にフェティシズムを感じる人もいます。
初心者の方も、今後は変化球に注目しながら野球を観てみてはいかがでしょうか。
それでは、さようなら!
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