どうも、はろーぐっばい(@jubenonz)です。
本日は、これだけは知っておきたい野球のセオリー攻撃戦術7選を解説します。
「【初観戦向け】初心者が最低限知っておきたい野球ルールと理解する方法5選」でもお話した通り、本ブログでは野球のことが全くわからない初心者さん向けに野球ルールを解説しております。
今回は具体的な攻撃戦術のお話です。
点を取れないと当然試合には勝てません。
野球では、基本的に1人で点を取るには本塁打(ホームラン)を打つしか方法がないです。
しかし、本塁打を打つのは誰でもできることではありませんし、期待するには確率が低いプレイ。
本塁打をよく打つホームランバッターと言われる選手でも、10~15回打って1回本塁打を打つペース。
【2017年本塁打率ランキング】※20本塁打以上【2017年本塁打率ランキング】※20本塁打以上
1位(10.52):山川穂高(西武) 242打数23本塁打
2位(12.74):エルドレッド(広島) 344打数27本塁打
3位(13.40):ゲレーロ(中日) 469打数35本塁打
4位(13.66):デスパイネ(ソフトバンク)478打数35本塁打
5位(13.91):バレンティン(ヤクルト) 445打数32本塁打
6位(14.15):マレーロ(オリックス) 283打数20本塁打
7位(14.45):柳田悠岐(ソフトバンク) 448打数31本塁打
8位(15.00):ロメロ(オリックス) 390打数26本塁打
9位(15.37):中村剛也(西武) 415打数27本塁打
10位(15.72):レアード(日本ハム) 503打数32本塁打
野球は通常1試合で4~5回打つので、単純計算では3~4試合に1本しか本塁打は打てないです。
そもそも本塁打を打てないという人もいます。
そのため、大切になってくるのが攻撃戦術。
1人だけではなく、2人、3人、4人と複数の選手が協力することで、得点を取ることができます。
そこで今回は、野球の超基本となるセオリーの攻撃戦術をご紹介。
ディレードスチールや、ランナー1・3塁でスクイズを偽装して1塁ランナーの盗塁をアシストするなどといった高等戦術はありません。
野球観戦に行ったら必ず見かけると言っていい、基礎の基礎となる戦術のみをピックアップ。
それぞれの戦術の目的、メリット・デメリット、よく使用される状況もご紹介しますので、野球観戦の際にお役立てください。
これだけは知っておきたい野球のセオリー攻撃戦術7選
セーフティバント
作戦の狙い
バントとは、バットを通常のようにスイングするのではなく、バットを寝かせてボールに当てて転がし、ボールが転がっている間に先の塁を狙う作戦です。
普通にヒットを打てるにこしたことはないのですが、なかなかそう簡単にはヒットを打てません。
そうした場合、足の速い選手などが自分の脚力を活かして、バントで塁に出るのを狙うことが多いです。
ドラッグバントとも言ったりします。
メリット&デメリット
- メリット→打撃が苦手な打者、打ちづらい投手からも出塁を狙える
- デメリット→成功率はさほど高くない、長打は出ない
デメリットとしては、高いレベルになればなるほど成功率が下がることです。
少年野球などで守備側があまり上手くない場合は高い確率で成功しますが、高校→大学→プロになるに従って、成功確率は低くなります。
また、基本的にはシングルヒットになるため、1塁止まりになることが多いです。
ただ、セーフティバントを行うと、相手守備の陣形に変化が生まれるため、次の打席でのヒットゾーンを広げる効果も期待されます。
「こいつ何か仕掛けてくるぞ」と相手に思わせることで、心理的なプレッシャーを与えられることも、セーフティバント作戦のメリットです。
※攻撃戦術全てに言えることではありますが。
よく用いられる状況
- 無死or一死or二死ランナーなし
- 無死or一死ランナー1塁
- 無死or2塁
送りバント(犠打・犠牲バント)
2013パ犠打王 今宮健太 の送りバント(スローあり) 2014.9.7
作戦の狙い
バッターはアウトになりますが、ランナーを先の塁に進めるためにバントをします。
犠牲バントの名の通り、自らは犠牲にして味方を進塁させ、次の打者にチャンスで回す作戦です。
基本的には打力の低い選手や投球の負担が大きい投手が打席の際に、用いられる作戦です。
ランナー1塁のケースでは、併殺(ランナーもバッターもアウトになるプレイ)のリスクがあるため、併殺を避ける狙いもあります。
野球ではランナーが2塁、もしくは3塁にいることを得点圏といいます。
得点圏はワンヒットで1点が入る可能性があるため、得点確率が高まるのです。
また、相手チームにはワンヒットも与えられないというプレッシャーがかかります。
ちなみに、アウトを献上する作戦なので、二死(ツーアウト)の状況では当然使えません。
メリット&デメリット
- メリット→高い確率でランナーを得点圏に進められる、併殺を避けられる
- デメリット→相手にアウトを献上する、大量得点の可能性は下がる
送りバントの場合は、上手い人だと9割以上の確率で成功します。
プロ野球のチーム単位で見ても、チーム犠打成功率は低くところでも7割台で、通常は8割前後。
確実性の高さが魅力の作戦です。
ただ、アウトを相手に与えてしまうため、1イニングに複数得点が入る確率は下がる傾向にあります。
セイバーメトリクスから見る最高の打順の組み方 2番強打者論は最適なのか
よく用いられる状況
- 無死or一死1塁
- 無死or一死2塁
- 無死or一死1、2塁
スクイズ
【神業、スクイズ集!!】ここぞの1点を取りに行くスクイズが上手すぎる!
作戦の狙い
ランナーが三塁にいるケースで、バントで転がして1点を取る戦術。
ランナーは投球と同時にスタートを切ることが基本なので、バッターが転がせばほぼ確実に点が入ります。
ただ、その分バッターが空振り、もしくはフライを上げてしまうと三塁ランナーがアウトになる確率も非常に高いです。
ややギャンブル性の高い作戦でもあり、ハイリスクミドルリターンの戦術でもあります。
最近ではバットが当たるのを見てからランナーがスタートを切る、セーフティスクイズというものもあります(細かい説明はここでは割愛)。
どうしても1点が欲しい、僅差の状況で用いられることが多いです。
いかに相手の意表を突いたタイミングで仕掛けるかが、どの作戦よりも重要になります。
メリット&デメリット
- メリット→転がせば高い確率で1点が入る
- デメリット→リスクが高く、ランナーもバッターもアウトになることがある
ランナーが3塁にいるケースでは、守備側も当然スクイズを警戒します。
そのため、わざとボール球を投げて(ウエスト)、打者がバントをしにくいコースに投球するのです。
外された場合、打者はボールにバットを当てることが困難なため、空振りしてランナーがアウトになるケースがほとんど。
また、バッター自体も確実に当てなければいけないというプレッシャーがかかってしまうこともあります。
通常スクイズの場合、バッターもアウトになるので、成功した場合はランナーもバッターもいなくなることが多いです。
そのため、1イニングに大量得点を奪う狙いの際は、あまり有効な手段とは言えません。
※既にスクイズする前に得点が入っている場合は除く
よく用いられる状況
- 無死or一死3塁
- 無死or一死1、3塁
- 無死or一死2、3塁
バスター
作戦の狙い
打者がバントの構えから、ヒッティングに切り替える戦術。
相手守備はバントだと思ってバントシフトを敷いてくるため、そのシフトの逆を突くための作戦です。
前述した送りバントと見せかけて、用いられることが多くあります。
バントシフトを敷かれた状況でバントを成功させるのは難しいため、相手のシフトを見て切り替える場合が多いです。
スクイズ同様、いかに相手の意表を突くかが重要。
バントシフトを敷いていない状態で行ってもあまり意味がないですかね。
バスターの場合は上手くいけばヒットになるケースが多いので、ランナーを先の塁に進めつつ、バッターも生きることができます。
そのため、一気にチャンスを拡大させられる作戦です。
メリット&デメリット
- メリット→ランナーを先の塁に進めつつ、バッターも生きられる可能性がある
- デメリット→併殺の可能性もある
バスターは分類としてはヒッティング。
ですので、打球の飛んだコースが悪ければ、進塁打どころかゲッツーの可能性もあります。
シフトの逆を突ければ良いですが、そんなにバットコントロールが良い選手なら元々ヒッティングでも良いわけで...
欲をかいた結果、進塁打どころかランナー無しのケースを生み出すリスクもあります。
よく用いられる状況
- 無死or一死1塁
- 無死or一死1、2塁
盗塁
《THE FEATURE PLAYER》 F西川 盗塁成功率9割超の快足まとめ
作戦の狙い
ピッチャーが投球した瞬間に、ランナーが走って先の塁に進む作戦。
犠牲バントのようにアウトを献上せずに、チャンスを拡大させられる作戦なので、決まると一気に得点確率が高まります。
通常足の速いランナーなら盗塁成功率は7~8割、捕手の盗塁阻止率は基準ラインが3割で強肩と言われる捕手で4割超え。
ですので、平均点に10回走れば7回は成功する作戦なので、比較的成功確率は高い戦術と言えます。
投手の投げるモーションが大きい、捕手の肩が弱い場合は積極的に仕掛けたい作戦です。
ちなみに、ランナーが二塁に進む盗塁を二盗(にとう)、三塁に進む盗塁を三盗(さんとう)、本塁に生還する盗塁を本盗(ほんとうorホームスチール)と言います。
難易度的には二盗<三盗<本盗の順で高いです。
本盗(ホームスチール)は非常にレアなパターンで、基本的には二盗もしくは三盗が盗塁のメインになります。
1人のランナーで盗塁するのを単独スチール、複数のランナーで盗塁するのを重盗、ダブルスチールといいます。
メリット&デメリット
- メリット→アウトを与えずに先の塁に進める、7割近い確率で成功する
- デメリット→できる選手が限られる、ランナーがいなくなる可能性がある
相手の隙を突くのが上手い選手なら平均的な走力でも走ることは可能ですが、基本的には、足が速い選手に用いられる戦術。
そのため、サインを出せる選手が限られる戦術です。
また、相手投手のクイックが上手い(投球モーションが小さい)場合や捕手の肩が強い場合はなかなか仕掛けづらいので、相手チームによっては作戦を封じられてしまう(仕掛けづらい)可能性もあります。
それと、7割成功する確率がある分、3割失敗する確率も伴います。
野球はアウトにならなければ永遠に攻撃できるスポーツですので、アウトになる確率のある作戦を実行して、せっかく出たランナーを殺すのは非常にもったいないです。
仮に盗塁失敗の後に二塁打や本塁打が出ると、ランナーがいれば入った得点も入らないというケースも起こりえます。
分類的にはハイリスク、ローリターンの戦術です。
【年間4得点しか変化なし!?】得点期待値からみる野球の盗塁のメリット・デメリット
よく用いられる状況
- 無死、一死、二死1塁or2塁
- 無死or一死1、3塁
ヒットエンドラン
作戦の狙い
ランナーはスタートして、バッターはどんなボールが来ても必ずヒッティングする戦術。
ランナーは走り出している分、先の塁を狙いやすく、通常よりも先の塁に進塁できる可能性が高まります。
また、ランナーがスタートを切ると、二塁手と遊撃手は二塁のベースカバーに入るため、一二塁間、三遊間が広く空いて、ヒットゾーンができます。
そのため、通常なら凡打になるコースを、ヒットゾーンに変えることができるのです。
打つのが上手い選手やバントが苦手な選手の打席、もしくはバントシフトを敷かれている場合に用いられます。
成功すればチャンス拡大、打球のコースとランナーの走力によっては一気に得点が生まれる可能性もあります。
悪くても進塁打になるので、先ほどバントやバスターなどと組み合わせて、チャンスを拡げるたい際に使い勝手の良い戦術です。
メリット&デメリット
- メリット→チャンス拡大、もしくは点を取れる
- デメリット→バッターがバットに当てられなかった場合に盗塁死の可能性がある、ライナーやフライが飛んだ際に併殺のリスクがある
ランナーはスタートを切るため、バッターがバットに当てられなかった場合は、ランナーが盗塁死する可能性があります。
通常の盗塁と違って、ランナーはバッターの反応を見ながら走る(打球コースを確認するため)ため、若干二塁到達速度が下がります。
ですので、当然リスクが伴うのです。
また、バットに当たった場合も、打球がライナーやフライでキャッチされた場合は、ランナーが帰塁出来ずに併殺になるリスクもあります。
盗塁よりもハイよりの、ミドルリスクミドルリターンの作戦といえるでしょう。
よく用いられる状況
- 無死、一死、二死1塁or2塁
- 無死or一死、二死1、2塁
待て(ウェイト・粘る)
作戦の狙い
シンプルな戦術なのですが、バッターにバットを振るなという指示です。
ピッチャーがストライクが入らずに制球に苦しんでいる、相手の守備位置を確認したい際などに用いられます。
実は一番多く出てるのではないかというくらい、野球では監督やコーチからこの「待て」のサインが良く出されます。
※特に小中学校のレベル
特に投手のカウントが悪い(0ストライク3ボールなどの四球が期待できるケース)場合に有効な戦術。
相手投手に球数を投げさせて疲れさせる目的でも有効です。
また、エンドランや盗塁、スクイズが想定される場合、相手守備はウエスト(わざとボールを投げる)をする可能性があります。
それを読んで、待て(ウェイト)を出来れば、有利なカウントに持ち込むことが可能です。
待てにも色んな種類があり、バントの構えをしたり、バスターの構えをして待つ場合も。
その打者の動きを見て、相手守備がどういう動きをするのかを、確認する際にも使える作戦です。
何気なく見逃しているようで、実はそれも作戦の一つ。
「今のは単に見逃したのか、何か意図があったのか」などと考えを巡らせられるので、ある意味野球の一番奥深いプレイ(作戦)でもあります。
ちなみに小中学校の野球だと、フルカウント(3ボール2ストライク)から待てを出す監督もいます...
メリット&デメリット
- メリット→四球が期待できる、守備側の狙いを探れる
- デメリット→甘いボール(打ちやすい)を見逃す可能性がある
基本的には何も起こらないので、四球か次の投球に結果は持ち越されます。
ですので、ローリスクローリターンの作戦。
唯一この作戦のマズイ点を挙げるなら、甘いボール(打ちやすい)を見逃す可能性。
ボールが先行している場合、投手はある程度甘いコースに投球します。
ですので、バッターとしては本来打ち頃のボールが来る確率が高いです。
絶好球をみすみす見逃すことになるので、もったいないといえばもったいない作戦。
チームによっては、信頼できる打力の高い中心打者の場合は、待てのサインを出さないこともあります。
もし、3ボール0ストライクから打った選手がいれば、その選手はかなりチームから信頼されている場合が多いです。
よく用いられる状況
- 初球やボール先行のカウント(2ボール0ストライク、3ボール0ストライク)
- 無死、一死1塁or2塁
- 無死or一死1、3塁
まとめ
- 野球はなかなか一人で点を取れない
- 様々な戦術を駆使して、複数人(チーム)で点を取るために作戦を使う
- アウトカウントやランナーの有無、打者&走者の能力で戦術は変わる
- それぞれの戦術(作戦)にはメリットとデメリットが存在する
- 次の戦術は何かを読み合う、予想するのも野球の楽しみ
チームによっては様々な戦術を試合中に何度も使うところもあれば、全く使わないチームもあります。
監督の思考タイプや選手の能力で使える、有効な作戦も変わってくるので、それを見るのも野球の醍醐味。
守備側の対応も含めて、両チームの思惑が見えてきますので、攻撃戦術の意図を考えられるようになったら、野球の魅力が一気に深まります。
「なんでバントするかな~」とか、「そこは積極的に盗塁仕掛けろよ!」などと、采配に注文をつけるようになったら、あなたも立派な野球マニアの一員です(笑)
野球の打順に興味がある方は「【初心者向け】野球の打順の決め方記事まとめ【セイバー、戦術、役割、ジグザグ】」の記事も参考にしてください。
それでは、さようなら!
野球関連記事
・【MLB初心者向け】メジャーリーグと日本(NPB)の違いまとめ【ルール、制度、常識】
・【野球初心者向け】ピッチャーの変化球を種類別に簡単に解説【YouTube動画付き】
・【初観戦向け】初心者が最低限知っておきたい野球ルールと理解する方法5選
・野球の盗塁阻止率で捕手が評価される違和感と求められる必要な阻止率