どうも、はろーぐっばい(@jubenonz)です。
本日は2018の春の選抜甲子園に出場している選手の中で、ドラフト候補になりえる選手の評価を語っていきます。
甲子園1回戦~3回戦の戦いぶりを踏まえて、今秋の2018ドラフト会議で指名されるレベルに達しているのか、されるとして何位なのか。
私の独断と偏見で寸評と順位予想を語っていきます。
基本的にドラフト候補になり得るのかを基準に選出していますので、ここで取り上げなかった選手はドラフト候補ではないと判断した選手です。
大会概要を知りたい方は、下記の記事を参照してください。
速報【2018春の選抜甲子園】出場高校一覧と注目選手!優勝予想と展望も
目次
ドラフト候補一覧(3年)
【投手】
- 市川 悠太(明徳義塾)184cm73kg 右右
- 柿木 蓮(大阪桐蔭高校) 178cm78kg 右右
- 横川凱(大阪桐蔭高校) 190cm84kg 左左
- 細川 拓哉(明秀学園日立) 175cm75kg 右右
- 川畑 大地(乙訓)投手 173cm63kg 右右
- 平田 龍輝(智弁和歌山) 183cm81kg 右右
- 沢田 龍太(富山商)投手 183cm81kg 右右
- 伊原 陵人(智弁学園)投手 170cm68kg 左左
- 増居 翔太(彦根東)投手 171cm64kg 左左
- 大谷 拓海(中央学院高校) 180cm70kg 右左
【捕手】
※候補不在
【内野手】
- 根尾 昂(大阪桐蔭高校) 178cm75kg 右左
- 林 晃汰(智弁和歌山高校) 178cm85kg 右左
- 増田 陸(明秀日立高校) 178cm79kg 右右
【外野手】
- 藤原 恭大(大阪桐蔭高校) 182cm76kg 左左
- 森下 翔太(東海大相模高校) 180cm75kg 右右
- 門叶 直己(瀬戸内高校) 183cm90kg 右右
全体的な感想
- 逸材不足
- 夏までの成長と逸材たちの選手権出場に期待
- 遊撃手は粒ぞろい
- 面白い2年生投手たちの台頭
全体的に逸材不足というのが正直なところです。
元々世代を代表するプロ注目選手たちが予選敗退しており、タレント不足が予想された今大会。
一冬を越えて、大きく成長した選手がいることを期待しましたが、現時点であっと驚くほどの選手はほとんどいませんでした。
かつてヤクルトで名スカウトとしてならした、片岡宏雄氏も今大会を「全体的に不作」と称しています。
かつてヤクルトの名スカウトとして多くの逸材を発掘してきた片岡宏雄氏に、その大阪桐蔭勢の評価も含めて、今大会で気になったドラフト候補をピックアップしてもらった。
「今大会は3、4人はドラフトにかかりそうな大阪桐蔭のメンバーを除くと、全体的に不作。特に投手にいの一番に挙げられそうな力を持ったドラフト候補は見当たらなかった。いわゆるA評価の選手がいないのだ。対照的に野手には、伸び幅に期待のできる好素材が目立った。大会が打撃戦になっていることでもわかるだろう。スカウトから見て投低打高の色合いが濃い大会となった」
引用:投低打高傾向だった春のセンバツ。名スカウトが評価したドラフト候補10人(THE PAGE) - Yahoo!ニュース
ただ、高校生の急成長はここからが楽しみ。
2016年の作新学院・今井達也(埼玉西武ドラフト1位)、2017年の広陵高校・中村奨成(広島東洋カープドラフト1位)、花咲徳栄・西川愛也(埼玉西武ドラフト2位)のように、無名もしくはドラフト中位候補だった選手が、急成長を見せてドラフト上位指名を受けることがあります。
その点では、現時点での実力だけでドラフト候補うんぬんを考えるのはナンセンス。
とはいえ、伸びしろ含めて、今後ドラフト候補に残りうるかの目星を付けておきたいところ。
上記でドラフト候補に残した選手は、伸びしろ含めてドラフト指名候補に残る可能性がある選手です。
逆に言えば、名前が挙がらなかった選手は相当な伸びを見せてこないと、ドラフト指名は厳しく、良くて育成枠かなといったところ。
2016年に高校生投手大豊作だった余波なのか、彼らの在籍と被っていた世代はどうしても登板機会の関係で、育成が遅くなっている印象があります。
逆に豊作世代が卒業した後の世代は、どこの高校もかなり力を入れて育成(登板する機会にも恵まれた?)したのか、楽しみな逸材が多いです。
今大会では、新2年生世代にも逸材が見られ、今年の夏はもちろん、来年の大会が楽しみな選手が何人か見られました。
彼らの成長も、今後注視したいです。
そしてなんと言っても成長が楽しみな、元々プロからの評価が高い春の選抜予選敗退組。
- 野村 佑希(花咲徳栄)
- 野村 大樹(早稲田実業)
- 小園 海斗(報徳学園)
- 太田 椋(天理高校)
- 谷口 嘉紀(神戸国際大付)
- 万波 中正(横浜)
- 山口 航輝(明桜)
- 鈴木 裕太(日本文理高校)
- 直江 大輔(松商学園)
- 山田 龍聖(高岡商)
- 佐野 涼弥(浦和学院)
- 岡田龍生(履正社)
彼らが冬、春を経て夏でどのようなパフォーマンスを見せるのか。
高校生ドラフト前線の活性化、ひいては今年の世代の盛り上がりは彼らの手にかかっています。
残念ながら春の出場はなりませんでしたが、ポテンシャルの高い選抜不出場組の大きな成長にも今後期待したいです。
高校生ドラフト候補の評価観点
- パフォーマンス(結果はあまり考慮しない)
- ポテンシャル(身長と球速、走力、肩力などの身体能力)
- 伸びしろ
- 希少性
- 進路との兼ね合い
高校生、大学生、社会人、独立組らで、評価基準は変わってきます。
高校生ドラフトにおいて最も重視されるのが、伸びしろ。
正直打席や投球結果はあまり大きく影響しません。
たった1試合の数打席、数十球の結果はあまり重要ではありません。
大事なのは今後5年、10年を見た時に、どれだけ伸びしろがあるのか。
実践力が求められるのは大学生、社会人組。
なので、高校生の場合は肩の強さやスピードボール、スイングの強さなどが注目されます。
いわゆる、”鍛えがいがありそう”なのかが最重要ポイントです。
2017年のドラフトだと、北海高・阪口皓亮(横浜DeNAベイスターズ3位)、二松学舎大付・永井敦士(広島東洋カープ4位)あたりは、”鍛えがい”を評価されての指名でした。
そして、それらを加味した上で重要なのが、希少性。
投手なら先発>リリーフ、野手なら捕手>二遊間>三塁手>中堅手>右翼手>左翼手・一塁手
特に打者は守備位置と打力のバランスも重要なポイント。
守備負担が高い捕手や二遊間で打てる選手は、それだけ希少性も高く、ドラフトの順位も上位になります。
※これは高校生に限らずですが
左翼手・一塁手に関しては、プロでは外国人選手と被りがちなポジションなので、指名するプロ側からは指名を躊躇されやすい傾向にあります。
また、高校年代の時点で守備負担の少ないポジションを任されられていることが、つぶしの利かなさと捉えられがち。
捕手や遊撃手なら、他ポジションへのコンバートができますが、左翼手・一塁手だと後は指名打者しかありません。
まだまだ実力が未知数な高校生を指名するリスクを考慮すると、プロ側としてはコンバートの可能性も視野に入れておきたいところ。
そういった意味では、左翼手・一塁手や左利きの外野手は相当な打力を示さないと、指名候補にはなりえません。
それと、高校生ドラフトで一番関係してくるのが、進路です。
まだまだプロでは微妙な選手の場合は、大学や社会人に進んで、才能を開花させた方が良いパターンもあります。
高卒で下位指名されて、3,4年鳴かず飛ばずで終わるよりも、大学で成長してドラフト上位~中位で指名されるレベルになった方がよい選手のパターンです。
まぁ、直接プロの方が良いのか、進学の方が良いのかは判断が難しいところではありますが。
一つ言えるのは、高卒プロ組に大切なのは、絶対にプロで活躍するという気構え。
ここがあるかないかが、一つ大きなポイントになります。
スカウトとしても、プレイと併せて日頃の言動を見ながら、注視している部分。
私の場合は直接接するわけではないのでなかなか見えてきませんが、高卒で活躍する選手には”プロで絶対に飯を食う”ガッツがあります。
最近だと、巨人の坂本勇人選手や、DeNAの飯塚悟史投手などは、その傾向が強いのかなと感じました。
ポジション別寸評
ここからは、実際にポジションごとに個別寸評をお話します。
なぜドラフト候補に挙げたのか、指名されるとしたらどのレベルか、今後期待することを中心に触れていきます。
投手
- 市川 悠太(明徳義塾) 184cm73kg 右右
- 柿木 蓮(大阪桐蔭高校) 178cm78kg 右右
- 横川 凱(大阪桐蔭高校) 190cm84kg 左左
- 細川 拓哉(明秀学園日立) 175cm75kg 右右
- 川畑 大地(乙訓) 173cm63kg 右右
- 土居 豪人(松山聖陵) 190cm80kg 右右
- 平田 龍輝(智弁和歌山) 183cm81kg 右右
- 沢田 龍太(富山商) 183cm81kg 右右
- 伊原 陵人(智弁学園) 170cm68kg 左左
- 増居 翔太(彦根東) 171cm64kg 左左
- 大谷 拓海(中央学院高校) 180cm70kg 右左
正直、高卒プロを意識できるのは市川、柿木投手くらいです。
後の投手は高卒プロより、大学・社会人に進んでスケールアップさせて3、4年後のドラフトで中上位指名された方が良いように感じました。
その市川、柿木投手にしても、現時点では良くてドラフト3、4位前後の投手。
市川投手は、右のサイドハンドから140キロ中盤を連発できるのが最大の魅力。
それでいて120キロ前後のスライダーを打者の打ち気をそらすように投げ込む、クレーバーさも持ち合わせます。
インコースを突く度胸もあり、高校生の中では一つ抜けた存在。
気になるのは、奪三振率の低さと乱調癖。
これだけのボールとスペックを持ち合わせながら、高校生に痛打される場面があるのは、少し気になるところ。
また、トーナメントを勝ち上がるためとはいえ、イニング数よりも少ない奪三振は気になります。
ドラフト中位以上の投手なら、高校野球段階では奪三振率が9.00以上は欲しいところ。
フォームや球質に致命的な欠陥があるのかと、疑いたくなるほどのスペックを持つ投手なので、夏までに凄みを増してくれるのに期待です。
柿木投手はスケール感やタイプ的に、昨年の大阪桐蔭のエース徳山壮磨(早稲田大学)のように、大学に進学する気がします。
昨年のドラフトの高卒投手組と比較しても、田浦 文丸(秀岳館高⇒ソフトバンク5位)の左のチェンジアップ、清水 達也(花咲徳栄⇒中日ドラゴンズ4位)の右の剛腕のような、一芸がないのが微妙なところ。
よく言えば安定感がある実践型、悪くいえば大きな伸びしろと長所を感じない選手です。
これから夏に向けて全体的にスケールアップできれば高卒プロもあり得ますが、現時点では高卒ドラフトは微妙なところ。
その他の投手は名前を挙げてみましたが、高卒プロはあまりイメージできません。
ただ、高校卒業後の伸びしろはかなり感じる投手が多いので、3、4年後はかなり楽しみな素材です。
特に一番驚かされたのは、乙訓の川畑 大地投手。
140キロ中盤のスピードボールをガンガン投げ込める馬力はかなり魅力。
身長173㎝の上背のなさと、引き出しの部分で伸びしろにやや不安がありますが、短いイニングなら十分いけそう。
元日本ハムの武田久、現中日の谷元投手のような、小柄なリリーバーとして、将来的にプロで活躍する可能性を残しています。
恐らく関西の大学に進学するでしょうが、150キロを連発するタイプに成長してくれると楽しみです
素材と伸びしろという点では、今大会最高の逸材と言えるのが土居 豪人(松山聖陵)投手。
まだ線の細さがあり、投手としての技量はまだまだですが、身長190cm、大会最速の148キロを計測するなど、ポテンシャルは本物。
高校の先輩であるアドゥワ誠(広島2016ドラフト5位)と同様、ポテンシャルを買われて下位指名があり得る逸材です。
それと個人的に一番注目しているのは、横川 凱投手。
190cmの左腕ということでかなり期待していますが、現時点では微妙な成長曲線を辿っています。
はっきり言って、望む形では成長していないです。
恐らく進学が濃厚なのでしょうが、いっそ高卒でプロに預けるのも面白いのかなと。
大学で小さくまとまるよりは、左腕育成が上手い中日あたりでじっくり鍛えるのも手なのかと。
もちろん、選手の人生がかかっているので無責任なことは言えませんが、野球選手として大成することを考えるとプロの指導を仰ぐのが一番いいかもしれません。
一番怖いのは勝利を求められ過ぎて、大学で小さくまとまることです。
それ以外で進路に注目集まるのが、京大志望の増居 翔太投手と、二刀流の大谷 拓海選手。
増居投手に関しては、二年の夏の段階ではプロを意識するほどの投手ではありませんでしたが、3年春で変貌。
下半身がどっしりとして、速球の威力が増していました。
進学校の下級生から甲子園で活躍した左腕ということで、大竹耕太郎(済々黌⇒早稲田⇒ソフトバンク育成4位)投手とどこか被る部分があります。
その大竹投手は高校2年から3年の成長は微妙でしたが、増居投手は学年が上がって更に成長していました。
身長182 cmの大竹投手と、身長171㎝の増居投手ではポテンシャルの部分で違いがありそうですが、増居投手も今後の成長が面白い存在。
十中八九大学進学ですが、4年間の成長を見守りたいところ。
そして、もう一人別の意味で進路が注目なのが、大谷 拓海選手。
投手なのか、野手なのか。高卒プロなのか、進学なのか。
現状は両方高卒プロレベルではないのかな、というのが正直なところ。
近年の似たタイプだと、秋山拓巳投手(西条⇒阪神ドラフト4位)、飯塚悟史投手(日本文理高⇒横浜DeNAドラフト7位)、センバツ優勝投手の平沼翔太内野手(敦賀気比⇒日本ハムドラフト4位)らの名前が挙げられます。
どの選手も大型の右投げ左打ちで、投打にポテンシャルが高かった選手。
高校時代を見る限り、投手のセンスは平沼>飯塚>秋山という印象がありましたが、プロでは平沼投手が野手専念、秋山、飯塚が投手として大成しかけています。
彼らと比較した時に、プロ側がどういう評価を下すのか非常に気になるところ。
現状”投手大谷”投手にそこまでのポテンシャルは感じられません。
球速は130キロ後半、変化球もこれといったものがなく、投球のテンポも単調な印象。
現時点では打撃に専念した時にどこまでやれるのかが、気になります。
勝俣翔貴(東海大菅生⇒国際武道大3年)のように、大学で野手に専念するパターンが濃厚なのかなと。
プロからも、打者・大谷を評価する声が聞こえてきています。
一方で、“二刀流”として話題になった中央学院(千葉)の大谷拓海はスカウトによって評価が分かれた。
「スタイル、バランスを見て、野手で鍛えた方がいいように感じた」(A氏)
「打者として魅力。野球選手としてやっていくなら野手じゃないかな」(D氏)
「ゆったり投げるから、打者はタイミングを外される。もっと体ができてくれば、ピッチャーとしてよくなる」(B氏)
「高校時代の飯塚(悟史/DeNA)に見えた。プレーのコツを知っている選手。今は体力もないし、出力が低いけど、体ができてくれば面白い存在になる」(C氏)
引用:センバツ地獄耳。プロ球団スカウトがささやくドラフト候補のナマ評価(webスポルティーバ) - Yahoo!ニュース
平沼選手のように遊撃手を守るほどのセンスがあれば、可能性は大いにひろがるのですが。
後は本人の中で、どこまで何にこだわりがあるのか。
秋山投手のように、投手にこだわりぬいて結果を残すケースもあるので、本人が納得する形で野球人生を歩んで欲しいです。
捕手
残念ながら、捕手では高卒プロを意識できる選手がいませんでした。
同じ感想をいだいた、記者の方もいたようです。
捕手は例年だと「二塁送球1.9秒台」クラスの強肩が数多く顔を揃えるが、今年は少なかった。センバツ前に開催されたの社会人野球のスポニチ大会でも同じような傾向があり、今年は強肩捕手が少ないのかもしれない。
引用:ドラフト視点で選抜ベスト9を選出。やはり2018年はショートが豊作だ。(Number Web) - Yahoo!ニュース
元々高卒プロの捕手は、かなり高いハードル。
過去の歴史を見ても、よほどの強肩や強打がない限り指名候補にはなりえません。
【平成以降の高校生捕手ドラフト1位】
- 城島健司(別府大学付属→福岡ダイエー)
- 原俊介(東海大相模高→巨人)
- 中谷仁(智辯和歌山高→阪神)
- 實松一成(佐賀学園高→日本ハム)
- 前田章宏(中京大中京高→中日)
- 白濱裕太(広陵高→広島)
- 炭谷銀仁朗(平安→埼玉西武)
- 荒川雄太(日大高→ソフトバンク/高校生ドラフト1巡目)
- 山下斐紹(習志野高→ソフトバンク)
- 森友哉(大阪桐蔭→埼玉西武)
- 中村奨成(広陵→広島)
下位指名でもどうかという選手も、現状はいない印象です。
あって大学進学後のプロ入りでしょう。
後述しますが、下級生には何名か面白い捕手がいたので、捕手は来年以降が楽しみです。
もちろん、夏に去年の中村選手のようなインパクトを残す選手もいますが...。
去年の中村奨成、福永奨(横浜→國學院大学)、猪田 和希(神戸国際大付属→JFE東日本)、古賀 悠斗(福岡大大濠→中央大学)と比べると、全国的に小粒な印象を受ける世代です。
内野手
- 根尾 昂(大阪桐蔭高校) 178cm75kg 右左
- 林 晃汰(智弁和歌山高校) 178cm85kg 右左
- 増田 陸(明秀日立高校) 178cm79kg 右右
高卒プロを意識できるのは、この3人までですかね。
根尾選手は育成方針が非常に注目されますが、果たしてプロ側がどう評価するのか。
三遊間の深い位置からの矢のような送球は、お金を取れるレベルなので、遊撃手・根尾を個人的には観たいところ。
グラブさばきや守備の動きはまだまだ改善の余地がありますが、守備はプロで十分鍛えられるでしょう。
それ以上に気になるのが、攻撃面でのセンス。
左打席での大きなスイングは魅力ですが、コンタクト能力はやや微妙。
かといって長打力があるかと言われると...
高校時代は格の違いを見せつけて長打を連発していた、今宮健太(明豊→ソフトバンク)と比べると、やや劣るのかなと。
かといって、プロレベルで足で魅せるほどの脚力があるのかというと...。
現時点では攻撃面の能力が、ドラフト1位”野手”としては物足りなさを感じます。
ただこの選手の最大の魅力は、ある意味つぶしの利く部分。
投手としては球速以上にスライダーのキレが魅力。
田中将大(駒大苫小牧→楽天)、佐藤 由規(仙台育英→ヤクルト)らはストレート以上に、スライダーをプロに評価されていました。
彼らと同様、スライダーをプロが唸るレベルまで昇華できれば、投手・根尾の評価も高まりそうです。
大阪桐蔭の西谷監督も、最近は投手・根尾の可能性も高まってきたと発言されています。
いずれにせよ、ドラフト2位前後で消える逸材であることは間違いないでしょう。
後は今後の成長で1位レベルまでになれるか。
夏に向けての楽しみな部分です。
同じ大阪桐蔭の注目選手、中川卓也と山田健太の両内野手は、現時点では高卒プロは厳しいかなと。
よく言えば三拍子に破綻がないですが、悪くいえば特徴がない。
プロに混ぜた時に、何をセールスポイントとしていくのかが、ちょっと見えてこないです。
実際プロのスカウトからも、二人に対する伸び悩みの声があがっています。
大阪桐蔭には、このほかにも柿木蓮、横川凱(かい)、小泉航平、中川卓也、山田健太とドラフト候補が並ぶが「藤原と根尾以外は伸び悩み」という声が多く、現時点で指名確定の評価は得られていない。
引用:センバツ地獄耳。プロ球団スカウトがささやくドラフト候補のナマ評価(webスポルティーバ) - Yahoo!ニュース
ただ、中川選手の場合は、似たタイプの香月一也(大阪桐蔭→ロッテ5位)選手が高卒プロ入りをしているので、本人が高卒プロを強く望むならワンチャンあるのかなと。
【2017年版】大阪桐蔭高校野球部OBの現役プロ野球選手で打線を組んでみた
山田選手に関しては、やや伸び悩みを感じます。
こちらも浅村栄斗(大阪桐蔭→西武3位)のように、夏に覚醒して一気にドラフト候補になるケースもあるので、現時点では高卒プロはないと断言できません。
夏までにどれだけ成長できるかでしょう。
そして、楽しみな内野手がもう二人(林 晃汰(智弁和歌山高校) 、増田 陸(明秀日立高校) )。
両選手とも、野性味溢れるタイプで、自分の世界観を持っている選手です。
高校生の中に混ぜると、格の違いを遠目からでも感じさせてくれるタイプ。
プレイに粗さものぞかせますが、高校生野手はこれくらいでも十分でしょう。
林選手はセンターからレフト方向への長打力、増田選手は巻き込んで引っ張れる長打力と右にも軽打できる上手さ。
増田選手はややショートとしては肩に不安は残しますが、フットワークは軽快。
林選手はハンドリングに難を残しますが、地肩の強さと積極的な守備が魅力。
センスはある選手なので、プロで揉まれれば、上手くなっていくでしょう。
性格的にも負けん気が強く、熱いタイプで、魅せてやろうという目立ちたがり屋な性格はまさにプロ向き。
一、二年目から勝負できるタイプではないですが、高卒4、5年目が楽しみな選手です。
進学だけはやめてほしい...
その他では、プロを意識できる選手はいませんでした。
ただ、遊撃手には大学、社会人で長くアマチュア球界を沸かせてくれそうな逸材が数多くいました。
中には大学以降で化けて、プロで活躍するタイプもいるかもしれません。
京田陽太(青森山田→日本大)、源田壮亮(大分商業高→愛知学院大→トヨタ自動車)のように。
外野手
- 藤原 恭大(大阪桐蔭高校) 182cm76kg 左左
- 森下 翔太(東海大相模高校) 180cm75kg 右右
- 門叶 直己(瀬戸内高校) 183cm90kg 右右
外野手でドラフト候補と感じたのは、上記の3名。
藤原選手は間違いなくドラフト2位前後で消えるでしょう。
現状1位レベルの12名に入ってくるかと言われると、微妙なところ。
左投左打の外野手という、一番つぶしの効かないポジション。
俊足、強肩、強打の三拍子揃ったタイプなので、打撃専ではありますが...
高卒左投左打の外野手を1位指名するのは、かなりリスクが高いです。
2017年のケースをみても、高校生1位指名野手の清宮、安田、中村、村上はいずれも圧倒的な長打力を有していました。
加えて右投げの内野手、もしくは捕手とポジションのつぶしが利きました。
ドラフト2位の西川、3位の増田(横浜→ソフトバンク)にしても、右投げだったためプロ入り後は三塁手挑戦。
可能性の幅広さが評価されての順位です。
それだけに、圧倒的な長打力があるわけでもない、左投げの藤原に対してプロがどこまでの評価をするのかは疑問が残ります。
藤原選手の打撃センスは誰もが認めるところですが、現状圧倒的な格の違いをみせているかは微妙なところ。
よく比較される高校の先輩、森友哉選手と比較しても、正直物足りないです。
西武森友哉選手は平成甲子園最高のスラッガー その才能は清原、松井にも劣らない!
2017年の甲子園で、無双した西川愛也クラスの輝きを最後の夏で見せて初めて、ドラフト1位が見えてくるでしょう。
怪我の影響もあるのでしょうが、現時点では競合必至のドラフト1位レベルではないかなという印象です。
残す2人の選手は、現状ではドラフト下位レベル。
森下選手の比較対象となるのが、2017年の増田(横浜→ソフトバンク3位)選手。
両者とも下級生時から神奈川の名門でレギュラーを張る、野球エリート。
走、守も悪くなく、プロでライトは任せそうなレベル。
後は持ち前の打撃でどこまで真価を発揮できるか。
現状はまだ持ち前の長打力が発揮できておらず、微妙なところ。
増田選手の場合は、最後の神奈川県予選で本塁打を連発して、そのポテンシャルをプロにアピールできました。
森下選手も同様に打撃でアピール出来ないと、高卒プロは厳しいかもしれません。
ポジションは内野と外野で異なりますが、高校の先輩・大田泰示が最後の神奈川大会で5本放ったような輝きを見せて、アピールして欲しいところです。
森下選手ほどの守備力はありませんが、それ以上のパワーを持つのが門叶 直己選手。
甲子園では不発で姿を消しましたが、その存在感と腕っぷしは高校生レベルでは抜けた存在。
意外と言っては失礼ですが、選球眼もよく、どちらかという待球型の選手という印象。
ブンブン振り回すのではなく、打てる球を見極められる我慢強さを感じました。
加えて脚力も加速すればそれなりで、肩もそこそこ強肩。
ひょっとしたらプロでもライトを、レフトなら問題なく任せられそうな選手。
2017年のケースだと、永井敦士(二松學舍大学附属→広島4位)が指名された例もあるので、夏のアピール次第では高卒プロもあり得ます。
永井選手の場合は、強烈な打球速度と、高校生レベルの甘い球は絶対に逃さない鋭さがありました。
門叶選手も永井選手ばりのキレやスピード感がついてくれば、夏を騒がせる存在になっていくでしょう。
それ以外の外野手だと、長打力が魅力の左右の大砲が印象に残りました。
- 上田 優弥(日本航空石川)左翼 185cm97kg 左左
- 谷合 悠斗(明徳義塾)左翼 179cm81kg 右右
ただ、両者ともに守備面では高校生段階でレフト専。
相当な格の違いを見せなければ、プロは厳しいです。
3年の甲子園で、春に2本、夏に3本打って強烈な印象を残した鵜久森淳志(済美ドラフト8巡目→日本ハム→ヤクルト)ほどの打力がないと、高校生左翼手の指名はないでしょう。
個人的に気になった選手
”ドラフト”の観点を外せば、今大会も素晴らしい選手が多数いました。
その中で気になったのは、3年生遊撃手の充実と2年生バッテリー(投手と捕手)の台頭です。
夏が楽しみな3年生内野手たちの急成長を期待
- 芳賀 大成(明秀日立)二塁&捕手 170cm69kg 右左
- 新保 利於(瀬戸内)遊撃 178cm67kg 右左
- 日置 航 (日大三)遊撃 176cm76kg 右右
- 近藤 翔真(国学院栃木)遊撃 171cm71kg 右右
- 小幡 竜平(延岡学園)遊撃 180cm73kg 右左
- 宮尾 翔 (慶応)遊撃 169cm64kg 右左
挙げればきりがないほど、好守の内野手の存在が目立ちました。
元々この世代は遊撃手の人材が豊富で、春の選抜不出場組の中にも、小園 海斗(報徳学園)、太田 椋(天理高校)、田中幹也(東海大菅生)といった選手がいます。
同学年遊撃手の活躍が、彼らの刺激になって相乗効果が発揮されることに期待です。
中でも一番のサプライズは、芳賀 大成選手の左打席からのパワフルなスイング。
高校時代の森友哉選手を彷彿とさせるフルスイングと、威圧感は大会屈指。
守備は二塁手を基本としながら、捕手もこなすユーティリティー性。
気になるのは、今後どういうタイプの選手になっていくかですね。
現状は左のスラッガーとして役割を担っていますが、今後高いレベルでもその役割を担えるポテンシャルがあるのか。
左の身長170㎝で、プロでスラッガーとして活躍したのは門田博光(通算567本塁打)さんくらい。
アベレージヒッターだと若松勉(通算2173安打)などいますが、現役選手でスラッガーと言えるのは森友哉、吉田正尚くらい。
高校卒業後のプレイスタイルが非常に気になる選手。
同時にプロがどんな評価を下すのかも、気になるところです。
それ以外で個人的に好みなのは、新保 利於選手。
三遊間の深い位置からの矢のような送球、二塁正面のゴロであわや内野安打にする脚力、左中間に放った三塁打。
現時点ではまだ非力さが目立ちますが、身体が出来上がってくる4年後以降が非常に楽しみな選手です。
門叶選手も含めて、瀬戸内高校は夏もまた観たいチームでした。
来年が楽しみな2年生投手&捕手
- 井上 広輝(日大三)投手 180cm73kg 右右
- 奥川 恭伸(星稜)投手 182cm82kg 右右
- 黒河 竜司(英明)投手 180cm75kg 右右
- 渡部 雅也(日大山形)捕手 182cm82kg 右右
- 善波 力 (慶応)捕手 168cm73kg 右右
- 東妻 純平 (智辯和歌山)捕手 172cm74kg 右右
大会出場全選手の中で、一番インパクトがあったのは井上広輝投手。
いきなり146キロを記録した大型右腕の出現に、非常にワクワクさせられました。
三重高校戦で打たれはしましたが、そのポテンシャルは本物。
更には同じ二年生右腕の奥川 恭伸投手も、最速146キロを誇るスピードボーラー。
順調に育てば、150キロ超えもあり得る素材です。
予選から通して、ストレートを痛打されやすいところを観るに、まだ球質やフォームに問題がありそうなのが気になるところではありますが...。
順調に育てば、両右腕とも2019年のドラフトの目玉になりえる逸材。
この世代では、及川 雅貴(横浜)、宮城大弥(興南)らの左腕が一足先に全国の舞台にデビュー。
しかし、ここにきて右腕にも好素材が台頭してきました。
英明の黒河投手も、現状は130キロ中盤のボールが中心ですが、これから身体が出来てくれば140キロ台を連発しそうな肉体的ポテンシャルは秘めています。
投手の逸材が出てくると、その世代は盛り上がる印象があるので、このまま投手豊作の世代と言われるまにでなって欲しいです。
また、楽しみな2年生捕手の台頭も面白いところ。
特に注目は渡部 雅也捕手。
甲子園デビューとなった智弁学園戦では、先制のフェンス直撃タイムリー。
追いつかれ5回には、1死三塁から左投手の外の低めのチェンジアップをセンター前に軽打の勝ち越しタイムリー。
私はこの試合を観戦していたのですが、てっきり3年生かと思ってました。
【2018春の選抜】7年ぶり3回目の甲子園観戦記&初めて行く人へのアドバイス【Youtube応援動画付き】
既に182cm82kgの堂々とした体格で、4番捕手を任される逸材。
順調に伸びれば、世代を代表する捕手になっていくでしょう。
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まとめ
- 春の選抜出現組にドラフト候補は少なかった
- 高校生が一番化けるのは春~夏にかけて
- 夏の予選→甲子園の活躍次第では指名順位が伸びる
- 今年の3年生世代は遊撃手が豊富
- 2年生世代にも逸材がチラホラ出現
高校ドラフトの一番の面白さは、伸びしろ。
ノーマークだった無名選手が急成長して、ドラフト前線をにぎわすことが往々にして起こりえます。
注目選手の成長はもちろんですが、無名選手のシンデレラストーリーにも期待です。
2018年の夏の甲子園の注目選手につきましては、「プロ注目のドラフト候補出場選手一覧!プロとスカウトの評価【第100回記念大会】」の記事もご覧ください。
それでは、さようなら!
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