どうも、はろーぐっばい(@jubenonz)です。
このページでは、甲子園2018春から導入が決まったタイブレークのルールと導入背景のまとめを紹介します。
いよいよ導入が決定したタイブレーク。
高野連=日本高校野球連盟は、選手の負担軽減を図るため、来年春のセンバツ高校野球から、延長戦でランナーを置いた状態から攻撃を始めるタイブレークを導入することを正式に決めました。
選手の負担を考慮して、常々議論されてきたタイブレーク導入。
人為的に決着をつけさせることに対して、賛否両論がありますが、選手のケガ防止のために採用されることになりました。
導入が決まった背景やメリット・デメリット、賛成・反対派の意見をまとめてみました。
私の意見も最後に記載していますので、高校野球ファンの方には是非読んで頂きたいです。
目次
- タイブレークのルール
- 導入した背景とルール改正の歴史
- タイブレークのメリット・デメリット
- タイブレーク導入の賛成派と反対派の意見
- タイブレーク導入に対する私の意見と3つの賛成理由
- まとめ
- 2018春の選抜甲子園
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タイブレークのルール
2017年9月19日に高野連=日本高校野球連盟から発表されたタイブレーク導入。
まだ不確定事項があり、細かいルールは2017年11月までに決めるとのことです。
2017年9月19日発表時点の決定事項と不確定事項は以下の通りです。
決定事項
- 2018年センバツから導入
- 延長13回からタイブレーク(延長12回までは従来通りのルール)
- 決勝戦の導入は未定
- 夏の甲子園でも導入見込み
今後の検討事項
- アウトカウント
- 打順
- 走者
- 決勝で導入するか
- 今後(2018夏以降)も導入するか
導入した背景とルール改正の歴史
なぜタイブレークが採用されるに至ったのか。
高野連の竹中雅彦事務局長は以下のようにコメントしています。
高野連の竹中雅彦事務局長は「成長途中の高校生の体を守ることや日程上の問題、それに、18歳以下のワールドカップなど国際大会でもタイブレークが導入されているため、それらのことを総合的に考えて導入を決めた」と説明しました。
ルール改正を重ねてきた高校野球の歴史
今回のタイブレーク限らず、高校野球は今までルール改正を重ねてきました。
その背景には、社会現象になるような”球児の酷使”問題がありました。
【甲子園の主なルール改正】
- 第40回(1958年) 延長18回で打ち切りにし、再試合制を導入
- 第60回(1978年) ベンチ入りを14人から15人に変更
- 第75回(1993年) 出場校投手の「肩・ひじ検査」開始
- 第76回(1994年) 「肩・ひじ検査」検査で重い故障と診断された場合は投球禁止、ベンチ入り15人から16人に変更
- 第82回(2000年) 延長15回で打ち切りにし、再試合制を導入
- 第85回(2003年) ベンチ入り15人から18人に変更 準々決勝2日制で4連戦なくなる
あまり酷使という言葉は使いたくはないですが、有名どころでは第73回(1991年)の沖縄水産・大野倫の決勝まで4連投や、第80回(1998年)横浜・松坂大輔が延長17回を250球を一人で投げぬきました。
沖縄水産時代は2年連続で甲子園準優勝に貢献しました。3年夏はエースとして、痛めた右肘をかばいながら1人でマウンドを守り続けました。
しかし、大会後に病院で検査したところ右肘は骨折していました。投手生命は甲子園で絶たれ、悲劇のヒーローと呼ばれました。
引用:悲劇のヒーロー沖縄水産・大野倫氏 21日から連載 - 野球の国から 高校野球編(取材後記) - 野球コラム : 日刊スポーツ
後にプロに進んでない選手の中にも、甲子園での連投の影響で肘・肩を悪くしてしまう選手もいます。
平成に入ってからは特に選手の健康問題に警鐘を鳴らす声があがっていました。
延長イニングを短くしても、ベンチ枠を増やしても(投手の数を増やせる)、再試合制度を導入しても、一人のエースにかかる負担は依然として重いものです。
どんなに強豪校でもエース級を複数揃えているチームは少なく、結局はエースが延長戦や連戦を投げるケースが後を絶ちませんでした。
タイブレークのメリット・デメリット
メリット
- 試合の決着がつきやすくなる
- 選手の負担減の可能性が高まる
- 延長の場合の試合時間短縮
デメリット
- タイブレークは後攻が有利(諸説あり)
- 試合が大量得点によって壊れる可能性がある(攻撃力が高いチームが有利?)
- 高校野球ファン離れの可能性(タイブレーク反対派)
タイブレーク導入の賛成派と反対派の意見
タイブレーク導入に関しては、当然賛否両論があります。
その賛否の比率の正確な数字はありませんが、全国の都道府県連盟のアンケートでは賛の声が多かったようです。
ことし5月に全国の都道府県連盟に対して行ったアンケートでは、半数以上の38の連盟が導入に賛成だったということです。
47都道府県中、38都道府県(約8割)の都道府県連盟が賛同しています。
私の友人の野球ファンやネット上にあがっている賛成と反対派の意見は概ね下記のようなものが多かったです。
賛成派の意見
- 選手の負担減になる
- タイブレークの戦略性が楽しみ
- 延長はだれるから賛成
反対派の意見
- 他に先にやるべきことがある(投球制限、試合日程緩和、連投禁止、etc)
- 10から即タイブレークでも良い
- 高校野球の面白さが失われる
- 選手は納得できないのではないか
両者の言い分はわかりますし、人それぞれ意見はあるでしょう。
ただ、大方の意見としては「選手の負担軽減は賛成だが、そのやり方に疑問」。というものが多かったです。
延長15回制になって以降18年間で、延長13回以上になった試合の割合は約16%。
10試合に1、2試合あるかないかの割合でしかなく、「根本解決策でにはなりえないのでは?」というのが反対派の意見に多かったです。
以降の18年間で、春夏の甲子園で延長戦は計131試合あった。そのうち十二回までに決着がつかなかったのは、21試合。十三回からタイブレーク制にすると、適用される延長試合は2割に満たない。
その他にも、「タイブレークでは選手たちが割り切れないのではないか」という意見もあり、肝心の選手たちにとってこれで良かったのかというのが議論の焦点になっているようです。
タイブレーク導入に対する私の意見と3つの賛成理由
私個人としては、タイブレーク導入は賛成です。
特に春の選抜に導入するのは大賛成。
いかに私がなぜ賛成なのか3つの理由を述べます。
3つの賛成理由
春の選抜は選手の身体ができていない
春の選抜では新2~3年生のチームですので、選手の年齢は主に17と16歳。
いくらフィジカルエリートの甲子園球児といえど、まだまだ身体は出来上がっていません。
特に下級生はこの段階で高校野球を1年間経験した程度。
まだまだ筋力などが不十分です。
体力的にも連戦を戦うのは高い負荷がかかります。
加えて選抜大会は3~4月に行われます。
日によっては気温10度近い時もあり、寒い環境でのプレイは故障につながる恐れもあります。
そういった時期での長時間のプレイを避ける意味でも、選抜での導入は賛成です。
春の選抜は打力が低い
「春は投手力、夏は打力が高いチームが甲子園を制す」。
通常高校球児の打力が伸びるのは春以降。
秋~春まではチームとしても、選手としても出来上がっていないため、春の選抜は得点が入りづらい傾向にあります。
従ってロースコアのゲームが多く、僅差の試合が増加します。
そうするとどうしても点差が開かず、エースが連投するケースが増えます。
野手はもちろん、投手もまだまだ出来上がっていないので、自ずとエースに頼らざるを得なくなりますので。
それらのことを考慮すると、タイブレークを導入することで、点が入りやすくなるケースを作ることは悪くないです。
国際試合でも既に導入されているタイブレーク
2017年に行われたU-18W杯で、日本代表はスーパーラウンド第1戦のオーストラリア戦でタイブレークを制して勝利しました。
タイブレークは国際大会では2008年の北京オリンピックから導入され、WBCでも8年前の第2回大会から、導入されています。
もし日本野球界が今後”国際舞台で勝利する”ことを目指すなら、若年層の段階からタイブレーク慣れするのは悪いことではありません。
むしろ、タイブレーク制こそ、日本のお家芸である「スモールベースボール」の真価が発揮される状況。
甲子園の舞台で、緻密さと戦略性を要求されるタイブレーク制は、甲子園の魅力を更に高める側面もあります。
ちなみに、タイブレーク制度は高校野球を除くカテゴリーでは既に導入されています。
【野球タイブレーク】
- 社会人野球の公式戦(都市対抗野球大会等)で2003年から採用
- 大学野球では2011年の全日本大学野球選手権大会(第60回全日本大学野球選手権記念大会)から決勝を除く全試合で採用
- ボーイズリーグでも採用
私は小学生の時にソフトボール、中学生の時に軟式野球を経験しており、両競技にはタイブレーク制があります。
タイブレーク制の末に優勝したこともあれば、接戦を落として悔しい思いをしたこともありました。
その私の経験上、「タイブレークでは納得できない」という気持ちはありませんでした。
むしろ両チームの戦術の違いやもつれる展開を楽しんだ記憶の方が強いです。
もちろん、高校野球の甲子園と小中学生を単純に比較することは出来ません。
ましてや元々タイブレークありきだったカテゴリーと、そうでなかった甲子園とを比較すること自体ナンセンスかもしれません。
ただ、高校野球以外のカテゴリーや大会でタイブレークを実施している現状を考えると、タイブレーク実施もやむなしではないでしょうか。
私の意見
肝心の選手たちはどう思ってるのか
今回のタイブレーク導入に関して、私が一番気になっているの現場の声です。
選手を預かる監督・コーチ、選手を見守る保護者はもちろんのこと、当の選手たちがどう考えているのか。
選手の声こそ一番重要。
今回高野連や世論を主導にタイブレーク導入が決まったわけですが、プレイするのは選手たち。
肝心の現場そっちのけで議論が進んでいるのが気がかりでなりません。
もちろん若干15~18歳たちに全てを委ねるわけにはいきませんが、大人の理想に選手が振り回されるのは些か不憫。
タイブレーク導入、ひいては酷使問題に関する選手の声をもっとメディアや高野連には汲み取って欲しいです。
導入するなら早くルールを決めて選手・監督に伝えるべき
今回の決定で私が一番気になったのはタイブレークに関する最終決定が11月までかかることです。
高校野球の世界には対外試合禁止規則があります。
そのため、各高校は12月1日から3月7日までは練習試合が出来ません。
春の選抜の開幕は3月末。
つまり、選手たちはタイブレーク対策練習を11月中の数週間と3月中旬の2週間しか出来ないのです。
試合の勝敗を大きく左右するタイブレークの練習にあてられるのは約1ヶ月半の間のみ。
もちろんその期間全てタイブレークの練習をするわけにはいきませんから、練習に費やせる時間は限られます。
練習時間が限られているチームになると、もっと短くなるでしょう。
しかも、2018年春以降の大会では採用するか未定。
これでは現場の練習スケジュールやチーム作りに影響が出かねません。
タイブレークを導入するならするで良いのですが、もっと現場のことを考えた動きをして欲しいです。
高校野球はあくまで選手たちのものなのですから。
まとめ
決まってしまえばルールに従うだけ。
選手・監督らの現場サイドは切り替えて、精一杯練習に取り組んでくれます。
ただ、 今回導入するにあたって、やや現場への配慮が足りない印象を受けました。
全員が納得して、満足するルール改正などありませんが、最も配慮されるべきは現場の選手たち。
選手たちに悔いと迷いがない方向に進んでいくことに期待しています。
それでは、さようなら!
2018春の選抜甲子園
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