第99回全国高校野球選手権大会(朝日新聞社、日本高校野球連盟主催)の地方大会は25日、広島大会で決勝があり、木更津総合が習志野に4―3で勝ち、3年ぶり22回目の選手権代表を決めた。
これで広陵高校は広島商業が持つ、広島県の夏の甲子園最多出場記録に並んだ。
目次
スタメン
広陵
打順 守備 名前 年 出身中学
1 遊 高田桐利 2年生 倉敷ビガーズ
2 中 谷口秀斗 3年生 -
3 捕 中村奨成 3年生 大野リトルシニア
4 左 加川大樹 3年生 -
5 右 高田誠也 3年生 -
6 一 大橋昇輝 3年生 -
7 二 吉岡広貴 2年生 ヤングひろしま
8 三 松岡直輝 3年生 -
9 投 平元銀次郎 3年生 西日本スコーピオン
広島新庄
打順 守備 名前 年 出身中学・出身高校
1 遊 古川智也 2年生 山陽小野田市立厚狭中
2 二 西山塁士 3年生 広島スターズ
3 三 河内恭英 2年生 府中広島2000
4 右 高野智裕 2年生 府中広島2000
5 左 石井芳樹 3年生 -
6 捕 沖政晴也 3年生 広島ボンバーズ
7 中 新宅真弥 3年生 -
8 一 脇本尚幸 2年生 広島新庄
9 投 有村綜留 3年生 都城リトルシニア
試合結果
高校名 1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
広陵 0 0 0 6 0 0 0 0 3 9
広島新庄 0 0 0 0 2 0 3 0 0 5
4回表に広陵が中村奨成の先制本塁打を皮切りに、一挙に6得点をあげる。
5回裏には広島新庄が2点を返す。
7回裏に広島新庄は無死満塁の好機から、河内の2点タイムリーと内野ゴロの間に3点を返した。
9回表に広陵は高田誠也のレフトへの2点タイムリー、吉岡広貴のライト前タイムリーで待望の追加点をあげる。
最後は7回からリリーフした山本が締めて、試合を制した。
総評
近年の広島県を代表する強豪高校同士の決戦。
雨により試合開始が1時間遅れ、試合途中にも雨で試合が中断するなど、調整・集中力の維持が難しい試合となった。
それでも両校の選手は集中力を保って、試合に臨んだ。
さすがに決勝まで勝ち上がってきただけあって、精神力もさすが。
試合の方は、初回に両校大きなチャンスを迎えるものの、無得点。
広陵は無死1・2塁、広島新庄は1死1・2塁のチャンスを併殺でチャンスを潰してしまった。
高校野球なら送りバントも考えられるケースだが、私は両監督の采配に好感がもてた。
日本の高校野球はあまりにもバントを多用し過ぎる。
確かに、高校生の長打力、守備力、確実性などを考えると少しでも先の塁にランナーを進めた方が得点の確率は高まる。
また、負けたら終わりの試合が続く中で、手堅くいく気持ちもわかる。
ただ、強豪校の強打者でも送りバントをするのはどうだろうか。
もっと打者を信頼して、打たせた方が選手の成長につながると私は思う。
何より得点効率も高い。
決勝戦の大舞台で広陵、広島新庄の中井、迫田両監督が強硬策をとったのは今後の日本の高校野球界のセオリーを変えるものとなるのではと密かに期待したい。
試合は4回に広陵が大量6得点を奪ったものの、広島新庄は全く諦めなかった。
プロ注目の好投手・平元から5得点を奪って試合をわからなくした。
序盤から多く球数を投じさせて、中盤から終盤に攻略。
このあたりはさすが試合巧者・広島新庄。
ただ、追い上げられた展開でエース・平元をスパッと交替させた広陵・中井監督もさすが。
8回に迎えた1死・2塁のチャンスではライトにまわっていた平元に躊躇なく代打を送るなど、攻め気を失わなかった。
両監督の積極的な采配、それに応える選手のレベルの高さ。
激戦区広島の決勝戦にふさわしい内容となった。
両校で目立った・印象に残った選手
試合の中で私の印象に残った選手の雑感を語っていく。
広陵
平元銀次郎 (投手) 3年 背番号1
プロ注目の左投手。
サイドハンド気味の速球は145キロを計測するなど、コンスタントに140台の速球を計測。
球速以上にキレを感じさせるボールは、同世代のサウスポーの中でも屈指。
腕の位置がサイド気味の分、ボールを低く制球できる点も魅力。
球数が増えたことで、ボールに威力がなくなり、球が浮き始めたところを広島新庄打線に捕まえられた。
それでも投げているボールは間違いなく素晴らしい。
今後の高いレベルでも非常に大きな可能性を感じさせる内容となった。
中村奨成(捕手) 3年 背番号2
二塁への送球タイムは最速1秒75。
遠投120m、 50m6秒0、通算38本塁打と3拍子揃った捕手。
強豪・広陵高校で1年夏に正捕手の座を掴んだ逸材。
初戦(2回戦)の崇徳戦で右手首に死球を受けた影響で打撃不振だったものの、徐々に復調。
準決勝の広島商業戦、決勝の広島新庄戦で2試合連続の先制本塁打を放った。
同校OBの小林選手同様、決勝で本塁打を放つなど、勝負強さも持ち合わせる。
持ち前の強肩で、ランナーに隙あれば牽制球を送るなど、抑止力は抜群。
まだまだ線の細さがあるので、今後身体が大きくなれば、高いレベルでも十分通用する選手になる。
高校即プロもありだが、広陵高校の方針を考えると、大学進学が有力か。
山本雅也(投手) 3年 背番号10
この試合、1点差に迫られた7回裏2死・3塁の大ピンチでリリーフ登板。
先頭のバッターに四球を与えたものの、その後は低めにスライダーを集めてピンチを脱した。
その後は牽制球でランナーを誘い出したり、低めにボールを集めて、凡打の山を築くなど冷静な投球が光った。
エース平元に疲労があったとはいえ、中井監督が平元に代打を送れたのはこの山本が信頼できる投手だったからこそ。
9回には先頭打者でライトフェンス直撃のツーベースを放ち、その後貴重な追加点のホームを踏むなど、攻守に大活躍となった。
広島新庄
竹邉聖悟(投手) 2年 背番号10
この試合で、両校の中で最も活躍し、評価を高めた選手。
エース有村がノックアウトとなった後に、リリーフ投手として登板。
そこから最速142キロの直球を強気に内角に集めて、流れを広島新庄に引き寄せた。
中学3年から投手を始めたそうだが、それまでは内野手。
その素質は攻撃面でも発揮された。
途中出場ながら3安打。
7回には反撃の口火を切る安打を放った。
終盤は疲労から3点を失ったが、広島新庄がこの試合で好ゲームを演じたのは間違いなく竹邉のおかげ。
古川、河内、高野、脇本とチームの中心には2年生が多い。
来年は頼もしい同級生とともに、今年の悔しさを晴らして欲しい。
河内恭英(三塁手) 2年 背番号5
一年夏から甲子園に出場した逸材。
この試合でも広陵のエース平元から2点タイムリーを放ち、勝負強さを見せた。
初回の打席でも平元からレフト前に運ぶなど、非凡なセンスが光った。
来年以降も広島新庄、広島高校野球界の中心としての活躍が期待される。
甲子園で期待すること
超高校級バッテリーを擁するだけに、甲子園ベスト8以上を狙える戦力を有する。
また、2番手にも好投手山本が控えているので、連戦にも耐えられるのもポイントが大きい。
西村-白濱、野村-小林らのバッテリーでもなし得なかった、広陵高校悲願の夏の甲子園制覇に期待したい。
まとめ
雨順延を乗り越えて、素晴らしい試合となった。
好投手・有村を攻略した広陵の集中打、6点差を一点差にまで縮めた広島新庄の粘り、それを再度跳ね返した広陵。
息をのむような一進一退の攻防は見事十分。
来年以降も両校が広島高校野球界を席巻していくことに期待したい。
それでは、さようなら!
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