全ての人にとって正しいフォームなんてない。
どうも、はろーぐっばいです。
今日は初心者が一度は悩むマラソンのフォームについてお話します。
「自分の走り方って正しいのかな?」、「自分のランニングフォームは他の人と比べてカッコ悪い」
そう感じているマラソン初心者の方は非常に多いでしょう。
私はよくマラソンを始めたばかりの友人からフォームに関する問い合わせを受けます。
私の結論は、
マラソン初心者はランニングフォームなんて気にしなくてよい!
です。
マラソン初心者でフォームに悩んでいる方に是非参考にしていただきたいです。
教科書通りのランニングフォームを身につけるのは難しい
マラソンのフォームに対する疑問、問い合わせ。
そういったマラソンランナーの悩みに答えようと巷には数多くのランニングフォームについて書かれた本が存在します。
そこで書かれていることは大体以下の通り。
【教科書通りのランニングフォーム】
- 肩甲骨を意識する
- 背筋を上手く使う
- 前傾姿勢はよくない
- 顎を引く
- 肘を曲げて、腕を引く
- つま先はまっすぐ踏み出す
- かかとから着地する
- 初心者はピッチ走法がおすすめ
挙げればキリがないほどチェックポイントがあります。
正直これだけのことを意識しながら走るなんてかなり難しいです。
ただでさえ筋力も体力てもないマラソン初心者がこんなことを意識しながら数十分、数kmを走るのは相当しんどいことです。
体力以上に精神的に疲弊してしまって心も身体も持ちません。
また、確かに理想のフォームを取得出来れば、高い効果を得られるかもしれません。
しかし果たして教えられたフォーム通りに走れる人がどれだけいるでしょうか?
教えられたフォーム通りに走れるならまだしも多くの人はその通りには走れません。
マラソンに限らず、人間が思ったように身体を動かすのは非常に難しいことです。
百獣の王でおなじみ武井壮さんはよくパーフェクトコントロール理論なるものを語っています。
詳細は下記の動画(約6分)を観て頂ければわかるのですが、簡単にご説明します。
タモリ × 武井壮 武井壮に運動能力を簡単にあげるコツを学べ!!
皆さんは目をつぶって、腕を真横に上げることはできますか?
今目の前に鏡がある方は実際に試してみてください。
恐らくほとんどの方が多少上下するはずです。
ようは自分が思った通りに身体を動かすのは非常に難しいのです。
なので、野球もゴルフもマラソンもなんのスポーツにしたってそもそも身体を思うように動かす能力がなくては正しいフォームを身に付けるのは非常に難しいです。
たかだか腕を真横に上げるという単一動作ですら出来ない人が腕、肘、肩甲骨、脚、肩、視線、脚、つま先、かかといった全身くまなく思った通りに動かすことが出来るでしょうか。
恐らく非常に難しいですし、何よりストレスになります。
理想のフォーム通りに身体を動かすだけでも相当な時間がかかるでしょうし、それを身体に覚えこませるとなると尚更です。
もちろん中には運動センスがあって、すぐに綺麗なフォームを身につける人がいるでしょうが、それはほんのひと握りの人です。
大多数の方は挫折します。
実際私も何度かランニングフォームについての本を参考にしてフォームを矯正しようとしましたが、挫折しました。
そもそも真似するのが難しく、なにより走っていて楽しくなかったです。
正しいフォームがあったとして、それを体現するのは非常に難しいことなのです。
マラソン初心者はランニングフォームを気にしなくてよい三つの理由
自分は正しいフォームを身につけられないからと落ち込む必要はありません。
なぜなら、そもそも初心者がフォームを気にする必要がないからです。
フォームを気にしなくて大丈夫だと専門家も言っている
有森裕子 、高橋尚子、千葉真子選手らを育ててきた名伯楽である小出義雄氏はマラソンフォームは気にする必要はないとおっしゃっています。
マラソンの名門実業団のコニカミノルタを率いる磯松監督もランニングフォームは深く気にする必要がないとコメントしていらっしゃいます。
こんにちは。
ランニングフォームについてあまり深く考なくて良いと思います。
他のことでもそうですが、あまり頭でっかちになってしまうと体は動きません。
いろいろなことを考えるよりは一つのことに集中してみましょう。
たとえばリラックスするだけとか、視線だけとか。
全ては連携していますので、何か一つ自分のポイントを掴むことで、結果的に他のこともできるようになると思います。
実力がつくことで自然に良いフォームへ変化していきますから、フォームのみに固執することなく、全体的なレベルアップを図ってみて下さい。引用:フォームについて - コニカミノルタ陸上部磯松監督のQ&A - ランナー必見!ランニング知恵袋 - ランニングのためのトレーニング&サポート | コニカミノルタ
専門家の方々が気にする必要がないとおっしゃっているのですから素直にその言葉を信じましょう。
日本には型を重んじる伝統作法が多く存在します。
書道、華道、武道から果てはお箸の持ち方などまで多くの”型”が存在します。
その結果、何事もフォームを大事にする人が多いです。
型の美しさを競う、大事にするものならまだしも、ランニングフォームまで意識し過ぎる必要はありません。
人と異なるフォームをしていると笑ったり、極度に気にしてしまうなども要因の一つかもしれません。
トップレベルの選手ならまだしも、初心者の段階ではフォームを強く意識せず、自分が楽な走り方で走れば良いです。
人それぞれにあったフォームが存在する
フォームを気にしない理由の一つに、人それぞれにあったフォームがあるからというものがあります。
皆さんは4スタンス理論というものをご存知ですか?
4スタンス理論とは、人間にはそれぞれ生まれつき決まった身体特性があり、それを4種類に分け解明しようとする理論のことです。
簡易チェックで自分の身体のタイプを診断できます。
電車のつり革の持ち方やコップの持ち方など、誰もがすぐにできるものばかりです。
走り方は1種類ではありません。
走り方の種類だけで4つも存在します。
そのタイプごとに合わせた走り方こそ一番自分のパフォーマンスを高められるのです。
2003年に女子マラソンの世界記録を樹立(今でも破られていない)したポーラ・ラドクリフ選手は非常に特徴的なフォームをしています。
Paula Radcliffe,Marathon Gold:2005 World Championships,Helsinki
首を縦に振りながら、肩をいからせ、脇を開けてぐいぐい腕を振り、ガニ股気味。
お世辞にも綺麗とはいえないフォームで数多くの記録を打ち立て、世界大会でも結果を残してきたラドクリフ選手。
一見効率の悪い走り方をしていますが、実は理にかなっている部分もあります。
運動科学の第一人者である高岡英夫先生によるとラドクリフ選手の走り方はエリマキトカゲの動きに似ているそうです。
それによって常人では考えられないほどのパワーを生み出しているのです。
彼女は、このようなトカゲの動きをベースに私が「片漕ぎ走法」と呼ぶ動きを加えています。「片漕ぎ走法」とは、片側(彼女では左側)の上体と頭を落としながら腕を後ろに振る動きで、対側脚(彼女では右脚)に強い水平推進力を生む一方、同側脚ではより強い垂直方向への支持力を発揮する走りです。
引用:ポーラ・ラドクリフ研究
一見ぎこちないフォームでも自分が走りやすいフォームを追求した結果、とんでもない結果が生み出せる。
教科書通りのフォームもいいですが、つまるところ自分にあったフォームが人それぞれあるのです。
ですので、あまり理想のフォームを意識する必要はありません。
フォームを気にする必要があるのは中級者以上
先ほどの武井壮選手の件とやや重複しますが、フォームを気にするのは中級者以上になってからで大丈夫です。
中級者の定義は色々ありますが、サブフォー達成者もしくは1年以上マラソンの練習をした方です。
それ未満の方をここでは初心者とします。
初心者の段階では筋力がまだまだ弱いです。
そのため身体の動かし方やフォームにかなり制限が出てきます。
具体例を上げるなら大きな歩幅で走るストライド走法。
女子マラソンのアテネオリンピック金メダリストの野口みずき選手が得意とする走法です。
引用:「メダル候補たちの武器」野口みずき - 北京オリンピック : nikkansports.com
ストライド走法は見た目がカッコイイフォームなので憧れるのですが、実はものすごく筋力を必要とする走法なのです。
野口選手のような強靭な足腰があって初めて成り立つ走り方で初心者が簡単に真似できるものではありません。
仮にやっとしても非常に負荷がかかるので、怪我のもとにもなります。
フォームを意識するのはある程度のベースとなる身体を作ってからです。
フルマラソン初心者が筋トレすべき2つの理由と3つのおすすめトレーニング
土台となるフォームがあって初めて技術が活きてきます。
なので、まずは日々のランニングと筋力トレーニング、栄養面を考えた食事としっかりとした休養。
これらを積み重ねた後にフォームを矯正しても遅くはありません。
それでも気になる方へのたった一つのポイント
それでもどうしてもフォームが気になる方に私が一つだけアドバイスをするなら、それは姿勢についてです。
具体的には背筋を伸ばして、猫背にならないようにしましょう。
猫背は多くの身体の不調の原因になりますので、走る時以外も常に背筋を伸ばすことを意識してください。
猫背の人は頭が前に出ている体勢をしています。体重の10%の重さがあるとも言われる頭を支えるために、筋肉が緊張し、肺の容量も減少。その結果、頭痛や肩こり・腰痛、便秘などの胃腸の不調、呼吸が浅くなる、憂うつな気分になる、といった症状が現れるのです。
リンパの流れが滞るので、老廃物が上手く排出されず、新陳代謝も悪くなります。疲れがなかなかとれない、免疫力が落ちて病気にかかりやすくなる、といった慢性的な症状にもつながります。
金哲彦先生の言葉を借りるなら、紐人形が釣らされるような感覚です。
わかりにくいかもしれませんが、力を入れて背筋を伸ばすというよりはやや力を抜いたリラックスした状態で背筋を伸ばすイメージです。
その際、まっすぐと約5メートル先を見るようにするとなお良しです。
視線を下にして、足元を見るように走ると、頭の重さで、体が前傾になります。
前傾姿勢は膝が上がらず、ブレーキをかけるようになるので非常に膝に負担がかかります。
逆に、あごが上がってしまうと、胸を前に出してしまうと、腰が反るので腰を痛める原因にもなります。
おまけに歩幅も小さくなるので良いとこ無しです。
まっすぐと約5メートル先を見ることで猫背になるのを防げるので、出来るだけ前を見つめましょう。
よく言われるのは5メート先を走っているランナーの足元を見るくらいがちょうど良いとされています。
是非練習で試してみてください。
まとめ
- 教科書通りのフォームを身につけるのは難しい
- 正しいフォームは存在しない 人それぞれあったフォームがある
- 猫背は注意 視線をまっすぐにして背筋を伸ばす
難しく考えずに自分が走りやすいフォームで練習を続けましょう。
そのうち自分に合った走り方が身に付きます。
そのために普段から猫背にならないように気をつけてください!
それでは、さようなら!
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