モチベーションが維持できない。
女子ゴルフで、世界ランク1位も経験した宮里藍(31)が29日、都内で引退表明会見に出席。
今シーズン限りの引退と引退理由について語った。
一部で噂された結婚報道は否定。
あくまで、選手として高いモチベーションを維持できなくなったことを引退理由とした。
先日のフィギュアスケートの浅田舞選手の時にも思ったのだが、日本では未婚の女性アスリートの引退が決まるとすぐに「結婚」を絡める。
私はこの報道姿勢に対して些か疑問が残る。
端的に言ってアスリートに対して失礼なように感じるのだ。
目次
宮里藍選手引退
宮里藍選手の引退が発表されたのは5月26日。
シーズン中の突然の引退発表となった。
年齢的にもまだ31歳。
今シーズンも試合に出場していただけに周囲は驚きを隠せなかった。
かつて共に凌ぎを削った、申ジエ(韓国)選手は驚きと共に宮里藍選手の人柄の良さを振り返った。
2010年にその宮里と世界ランク1位を競い合った申ジエ(韓国)が当時を懐かしそうに振り返った。
「藍プロは日本だけでなくアジアの選手のロールモデルとして素晴らしい選手でした。成績だけでなくマナーも素晴らしかった。アメリカのゴルフファンにもとても愛されていました。日本の先駆者として淡々とやるべきことをこなしている姿が印象的でした」
引用:申ジエ、世界1位を明け渡した宮里藍の引退表明に「成績だけでなくマナーも素晴らしかった」 (ゴルフ情報ALBA.Net) - Yahoo!ニュース
その一方で昨夏には親しいゴルフ関係者、親族には引退の意思を伝えていたとされる。
実際、今シーズンのスケジュールは日米のスポンサーやゆかりのある土地での試合が組まれている。
元世界ランキング1位。
日米通算24勝を誇る女王も、米ツアーでは12年まで4年連続優勝を果たしたが、13年以降は勝利から遠ざかり、最近は世界ランキング100位台。
成績が伴わないシーズンが続いていた。
引退発表後は結婚が理由ではないかとの報道も飛び交った。
維持できなくなったモチベーション 意思あるところに道はある
引退発表から3日後の29日。
正式な引退記者会見で、宮里藍選手は自らの口で引退理由を語った。
一番の大きな引退理由はモチベーションを保てなくなったこと。
引退理由については「モチベーションの維持が難しくなったのが一番の決め手。感じたのが4、5年前でして、自分の中でもそこをどう消化していいのか手探りで進むしかなかった」。第2の人生については「決まってないのが現状」とした。
引用:宮里藍が会見、結婚は「ないです」 引退理由はモチベーション維持の難しさ (デイリースポーツ) - Yahoo!ニュース
苦しい練習やトレーニングを全盛期ほど追い込めない自分が現れはじめた。
実際宮里選手がモチベーションを維持できなくなったと言っている4、5年前から成績が伴わなくなっている。
観ている側からすれば、練習するのは当然のように見える。
しかし、身を削るようなハードなトレーニングをして自分を極限の状態に追い込むのは肉体的にも精神的にも辛いものがあったのだろう。
ましてやメジャー通算9勝、世界ランキング1位と結果を残した宮里選手にとっては中々モチベーションの維持が難しかったことが想像に難しくない。
宮里選手の座右の銘は中学1年生の時に学校の先生から教わった「意思あるところに道はある」。
実際この言葉通り宮里選手は常に強い信念と意思を持った人物だ。
日々のトレーニングや試合中の立ち居振る舞い、表情やインタビューの受け答え。
一つひとつの行動に強い意思が現れていた。
いわば宮里選手にとっての長所だったのだ。
逆に言えば、その宮里選手にとってモチベーションが保てないことは重要な問題。
長所であるパターの不調など他にも様々な理由はあるが、モチベーションを保てなくなったことが最大の引退理由だったのだ。
女性アスリート引退と結婚をすぐに結びつけることへの違和感
引退会見で記者から結婚の予定を聞かれた宮里選手はきっぱりと否定。
結婚については「それは今のところはないですね」と笑顔で語った。
この質問及び報道姿勢は一人のアスリートとして真剣にゴルフに向き合ってきた宮里選手に対してあまりに失礼ではないだろうか。
もし男性のアスリートが引退するとなってプライベートなどの私生活の影響を果たして聞くだろうか。
「お子さんが生まれる時期なので、子育てに向けて引退するのか?」
なんてことは聞かないだろう。
なぜ女性のアスリートが引退するとなるとすぐに結婚について尋ねるのか。
結婚を理由に引退と関連づけるのか。
テニスの杉山愛選手、フィギュアスケートの浅田真央選手らの日本のスポーツ界を牽引してきた偉大な選手に対して、些か敬意を欠いた質問に感じる。
もちろん本人の口から結婚したいなどの話が出れば深掘りしてもいいだろう。
ただ、一人のアスリートとしてモチベーション、体力、技術的な不調を理由に引退する人に対して結婚がどうだこうだいうのは非常に遅れた考えのように感じる。
もし自分がアスリートだとして、引退会見でスポーツとは関係のない理由で引退するのかと問われたらどう思うか。
もっと日本のメディア、特に男性の偏ったものの見方を改めるべきではないか。
まっすぐにゴルフに向き合ってきた宮里選手の思いを無下にするような報道姿勢であったように感じた。
まとめ
史上初の高校生プロとしてデビューしてから現在まで。
常にゴルフに身を捧げてきた宮里藍選手。
第二人生プランはまだ未定とのことだが、まずはゆっくり身体を休めて、新たな道に進んで欲しい。
現役復帰の可能性はないとしながらもゴルフ界への恩返しを考えているという。
―十数年後、電撃復帰の可能性は?
「100%ない、と今は思っています。この4年間で、もっといろんなことができる可能性を感じています。4歳からゴルフを始めて、20年以上ゴルフを通じて色々な人にお世話になりました。違った形で恩返ししたい」
そのときはまた、あの素敵な笑顔と芯の通った人間性で、多くの人を魅了して欲しい。
まずはまだ残っている6月8日開幕の「サントリーレディス」を含めた現役生活で、有終の美を飾って欲しい。
それでは、さようなら!