世界から日本人はどう思われているのか。
テレビなどの日本のマスメディアが報道する内容は基本的に日本人に対して好意的な発言ばかり。
しかし、日本語以外のメディアの中には日本に対して辛辣なことが書かれていたりします。
日本のケースではありませんが、オーストラリア人に対して「おバカ」と称して、けなすような内容を書いた日本語の書籍があります。
私はこの本を読んだ時、「日本語以外の言語で書かれた本では日本はどう紹介されているのか?」というのが気になるようになりました。
日本人の知らない日本の良さ、逆に日本人が知らない日本人の悪さなど、日本語メディアにはない日本の側面を見てみたいと思うようになったのです。
そこで、私が手にとったのが、世界一読まれている旅行ガイドブック『ロンリープラネット』日本版。
英語による旅行ガイドブックのシェア率25 %を誇る、世界で一番読まれているガイドブックです。
よく海外で出会う、見かける外国人の方は必ずと言っていいほど、ロンリープラネット、通称「ロンプラ」を持っています。
この本は旅行に関する情報だけでなく、歴史や文化、マナーや風習などまで詳細に書かれています。
ロンプラの日本語を読めば、世界で一般的に日本がどう紹介されているのか。
また、外国の方が日本に旅行する際に何を意識するのかを知ることができます。
本来は旅行ガイドブックなのですが、世界から日本人がどう思われているのかを知るには最適な本なのです。
そこで今日は私がロンリープラネットを読んで、面白いと感じた外国人の日本に対するイメージについてご紹介します。
ロンリープラネットとは
旅行ガイドブック。
2004年現在、118の国と地域で650タイトルを発行している。
英語による旅行ガイドブックのシェアは25 %で、世界一。
英語のほかに、フランス語、ドイツ語、日本語、朝鮮語版など15言語版が存在する。
名前の由来は「スペース・キャプテン(英語版)」という歌詞の一節に由来する。
ガイドブックの創始者であるトニー・ウィーラーが"lovely planet" の部分を "lonely planet" と間違えて歌っていた。
間違えとわかった後も、響きの良さと、誰もが一度聞いたら忘れない名前ということで、タイトルとなった。
一切の広告やタイアップ記事は存在しない。
執筆者は、現地在住者や該当地域を旅する者が、複数人で共同執筆を行う。
執筆者は、ツアー会社・ホテル・レストランなどから、便宜や賄賂を受け取った場合には解雇の対象となる。
ロンリープラネットの特徴
ロンリープラネットの最大の特徴は文字の多さ。
写真は数えるほどでほとんどが文字によって構成されています。
また非常に分厚くて重いです。
日本のガイドブックに慣れている人にとっては違和感でしかありません。
日本のガイドブックはどちらかというと写真が多めで、文字情報はあまり多くありません。
よく外国人の旅行者の方がロンリープラネットを持っているのを見て、「どうしてこんな重たい、文字ばかりのガイドブックを好まれるのか」と不思議でしょうがありませんでした。
ロンリープラネットの内容は、国や地域の歴史・文化・気候・言語情報です。
日本人のガイドブックとの違いは移動手段や滞在方法がかなり多種多様なことです。
高級ホテルからドミトリー・ユースホステルなどの安宿・キャンプなど。
お金がなかったら、ラブホテルに泊まるのも一つの選択肢として紹介されています。
ただしいかがわしいものだから入る時は覚悟してねとも紹介されてありまました(笑)。
また、団体向けだけでなく、個人旅行者向けの情報も豊富に掲載されています。
日本のガイドブックで言えば、『地球の歩き方』に近いです。
日本のガイドブックにはない情報として、ゲイやレズビアンといったLGBT向けの情報や、タトゥーや刺青をした人の温泉の入り方などが紹介されています。
新宿二丁目はLGBTの人々がよく集まる場所として紹介されていました。
ロンリープラネットで紹介されている日本
ここからはロンリープラネットで日本がどのように紹介されているかをお伝えします。
日本人の英語力はアジアでも下位クラス
残念ながら日本の英語力はアジアの他の国と比べて低いと紹介されています。
よくシンガポール英語をシングリッシュ、インド英語をヒングリッシュなどといって訛りの強さが話題に上がります。
しかし、ロンリープラネットではインドやシンガポールと比べて日本はかなり英語力が低いと紹介されています。
基本的に英語は通じないが、どうしてもの時は英語を書いて見せようと書かれています。
理由は日本人はスピーキングとリスニングは苦手だが、リーディングは比較的得意だからだそうです。
受験英語で英語を読むのは慣れている人が多いですからね。
また、若い世代は比較的英語が通じる。
特に女性は英語が得意な人が多いと書かれていました。
アラサー男性の私に耳が痛いことですが、事実でもあります(笑)
基本的に日本人は英語が出来ない認識のようです。
ですので、旅館や観光地の説明の中に英語が通じる人がいるかどうかの情報が逐一掲載されています。
日本の物価はめちゃくちゃ高い
日本に住んでいると中々実感がわきませんが、日本の物価は高いと紹介されています。
実際、別の統計で世界各国の物価水準を一目瞭然にした世界地図の中で日本は物価が高い国の上位にランクしています。
引用:MoveHub - International Relocations Experts | Save Up To 70%
カラーバーの左側:茶色 = 物価が高い
カラーバーの左側:緑色 = 物価が低い
私が会う外国人の方も『日本に行きたいけど、物価が...』とよく嘆いています。
そのため、日本に安く滞在する方法が数多く紹介されています。
先ほど紹介したラブホテルに泊まるのもその一つの手段です。
日本は治安が抜群 ただし、痴漢と六本木&新宿には気を付けろ
日本は非常に治安が良い国として紹介されています。
ただし、電車に乗る際は痴漢に気を付けようと書かれています。
また、東京は比較的安全だが、六本木と新宿には気を付けようとも書かれています。
もちろん危険なイメージだけでなく、六本木と新宿、渋谷のナイトライフの魅力についても紹介されています。
堅い情報ばかりじゃない ドン・キホーテの楽しみ方
ロンリープラネットはお堅い情報ばかりではありません。
いわゆる”いかがわしい”ことに関する情報も掲載されています。
例えば、今や訪日外国人に大人気となったドン・キホーテ。
日本にやってくる外国人旅行者は2014年に1300万人を超えた。そしてそのざっと半数がドンキホーテにやってくる。外国人たちも、きっと日本の文化の一つとして、ドンキホーテを“消費”しているはずだ。
引用:ドンキホーテはなぜここまで強くなったのか | 世界の(ショーバイ)商売見聞録 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
ドン・キホーテの紹介では大人の玩具に関する記述もあります。
これもまた日本のガイドブックにはない特徴の一つです。
東京と東京タワーはエッフェル塔を模倣している
ちょっと驚きだったのが、東京と東京タワーはエッフェル塔を真似しているという記述です。
私が今まで読んだ日本の教科書にこのようなことは書かれていませんでした。
しかし、ロンリープラネットにははっきりそう書かれています。
エッフェル塔を真似したことで戦後目覚まし進歩を遂げたとも。
このことについて日本語で検索をかけてもあまり情報が出てきません。
唯一それらしいのがヒットしたのはスタジオジブリの宮崎駿監督の発言くらいでした。
高度経済成長にも僕の中ではどこかクエスチョンマークがついていた。東京タワーも大嫌いで、エッフェル塔の貧乏なマネをしやがって、と屈辱感しかなかった。昭和30年代が懐かしいなんて、ちゃんちゃらおかしい。あのころがよかったというのが僕にはない」
気になって私の韓国人の友人に「東京タワーがエッフェル塔をモデルにしたって知ってる?」と聞いてみると、「知ってるよ! 日本人は知らないの、なんかおかしいね(笑)」と言われました。
戦後日本の復興の象徴とも言われる東京タワーが戦勝国の真似ということを伏せたかったのか。
それともただ偶然似ているだけか。
はたまた私の知識不足か。
あまり、この件に触れると右翼だと左翼だと言われかねないので、深堀は避けます。
しかし、日本語以外の媒体で日本がどう語られているかを知ることで、自分が知らない日本の一面を知ること手掛かりになりそうです。
意外な観光名所が紹介されている
意外といっては失礼ですが、メジャー所ではない観光名所も紹介されています。
例えば、最近の日本のニュートピックスというページで、円安傾向、築地移転、消費税率引き上げなどが紹介されているのですが、その中に混じって岡田美術館が紹介されています。
正直他の有名な美術館と比べると知名度は低い岡田美術館。
恐らく、中国や韓国の古代から現代までの美術品を展示している点などが考慮されてロンリープラネットで紹介されたのでしょう。
その他にも日本のトップ25という箇所で温泉や日本食、城、歌舞伎、富士山、広島、相撲と「これぞ日本!!」という日本の特徴が紹介されている中に、嬬恋&馬篭のハイキング、上高地の美しい風景などが含まれていました。
私の見識の範囲内の話ですが、外国人に日本の魅力を紹介するために特徴を25個あげろと言われると上高地などはぱっと思いつかない部分です。
ただ、実際私の友人のオーストリア人の中には上高地を訪れた人が多いです。
ロンリープラネットの影響なのか、外国人の方は上高地を好むのか、それとも私の見識不足かは定かでありませんが、少なくとも外国人の方が興味をひく観光スポットのようです。
今、外国人の方に日本の何が人気なのかを知る上で、ロンリープラネットは非常に役立ちそうです。
ロンリープラネットは英語学習と文化理解に役に立つ
ロンリープラネットはご紹介した通り、非常に文字が多いです。
また、観光地や歴史、交通機関、食事、文化について書かれていますので、実際の英会話に役立つフレーズが非常に多く含まれています。
また、英語で何と説明してよいかわかりづらい日本語の説明が出てくるので、外国人の方に日本について話す時に非常に役立ちます。
例
・お盆→Festival of the Dead
・精進料理→ Buddhist vegetarian cuisine
・露天風呂→outdoor bath
・おみくじ→paper fortune
・牛丼→sliced beef on rice
・ラーメン→egg noudles
・そば→wheat noudles
・食い倒れ→eating until you drop
また、ロンリープラネットでは日本人はあまり意識しないけど、外国人の方が意識することについて説明されてあります。
例えば、建造物については必ずと言っていいほど、建築家の名前が紹介されます。
日本だと司馬遼太郎記念館などを設計した安藤忠雄さんや江戸城を築いた太田道灌などの超有名人や建造物であれば、説明されることはあります。
ただ、それ以外で建築家や設計に携わった人がガイドブックで紹介されることは珍しいです。
日本人はあまり意識しないけど、外国人の人には気になる情報。
こういった情報を知って説明出来るようになれば、英会話がスムーズかつより楽しくなります。
ロンリープラネットの日本版を使えば英語力と日本文化への理解が深まります。
まとめ
日本が世界にどう思われているのか。
そのことは日本語の情報だけでは計り知ることはできません。
また、日本のどんな文化が世界に好まれるのかも、日本語メディアだけでは全てを知ることはできません。
ロンリープラネットに掲載されている情報が全てではありませんが、日本を知る上では非常に役立つガイドブックです。
また、ロンリープラネットにしかない情報もたくさんありますので、次回海外旅行をする際は是非手にとってみてはいかがでしょうか。
それでは、さようなら!