プロ野球開幕から一ヶ月が経ち、埼玉西武ライオンズは12勝10敗引分1の貯金2。
戦前の予想を良い意味で裏切る戦いぶりを見せた。
点数をつけるならずばり80点。
今日は4月の振り返りと5月の展望について語っていく。
- パ・リーグ順位表(2017/4/30時点)
- 先週(2017/4/25~4/30)のライオンズ
- 四月の投手陣 防御率12球団1位の好調投手陣
- 野手陣 リーグ2位の得点数 上位打線はリーグトップクラスの破壊力
- 5月の展望
- まとめ
パ・リーグ順位表(2017/4/30時点)
ライオンズは首位楽天と4.5ゲーム差の3位。
同じ貯金2のソフトバンクを勝率の差で僅かに上回っている。
消化試合数は少ないながらもリーグ最小失点が光る。
現在下位に沈む、ロッテ・日本ハムファイターズは四月終了時点で首位と10ゲーム差以上離される厳しい戦いとなっている。
先週(2017/4/25~4/30)のライオンズ
先週のライオンズはオリックスと3連戦、ロッテとの3連戦。
2017年初となる6連戦となった。
先々週の4連勝から一転、4連敗。
目標の五分とはいかず、1勝4敗1分で負け越し3と苦しい1週間となった。
オリックス3連戦
オリックス戦ではまさかの3連敗。
これで今シーズンのオリックス戦は0勝5敗となってしまった。
ただ今回の3連戦はいずれも1点差。
- 第一戦 ●4-5
- 第二戦 ●3-4
- 第三戦 ●2-3
圧倒的な力の差はなかった。
ただ言い換えれば接戦を取れない勝負弱いチームとも言える。
いずれの試合も序盤にリードを奪われる苦しい展開だっただけに、先発投手が立ち上がりを含めて粘りきれなことも敗因の一つ。
苦手を作らないためにも、次回のオリックス戦(5/12~14のビジター)では是が非でも勝ち越しをする必要がある。
ロッテ戦
オリックス戦の連敗の嫌な流れを引きずったのか、現在不調のロッテとのホーム3連戦でまさかの勝ち越し失敗。
1勝1敗1分という結果は負け越しに等しい結果となった。
特に菊池、野上、ウルフの表ローテだっただけにこの結果は非常に痛い。
四月の投手陣 防御率12球団1位の好調投手陣
4月終了時点の投手陣の防御率は12球団トップの2.46。
先発防御率は12球団2位となる2.92。
救援防御率は12球団1位の1.48。
救援陣は質・量・種類とトップクラス。
牧田(0.00)、シュリッター(0.00)、増田(2.35)の7・8・9の勝ちパターン。
大石(0.00)・武隈(1.50)の左右の好投手は同点などの僅差要員。
左のワンポイント野田(2.45)、右のロング要員福倉(2.25)。
非常に安定した陣容を抱えている。
先発投手が早い回に捕まった先週のオリックス戦で接戦を演じられたのもリリーフ投手陣が持ち応えてくれたおかげ。
間違いなく現在のライオンズ武器の一つがこの強力中継ぎ陣だ。
先発投手のコマ不足、野手のけが人続出のしわ寄せがリリーフ投手陣に来ないことを祈る。
そのためには試合展開によっては捨て試合を作る覚悟も必要だ。
ここまで10敗の内訳は以下の通り。
1点差負け試合:4
2点差負け試合:4
3点差負け試合:1
4点差負け試合:1
10敗のうち8試合が2点差以内と非常に接った試合が続いている。
そのため捨て試合の作り方は難しいが、先発が早々に崩れた試合は勝ちパターンの温存も考慮に入れて欲しい。
先発投手もここまでリーグ2位のQS率65.22%と好調。
開幕当初に話したQS率目標55%越えをここまでは果たせている。
2016年の両リーグの平均QS率がパ53.8、セ54.5%を考えればここまでは出来すぎの感はいなめない。
しかし、先発陣が安定しなければ、そのしわ寄せは徐々にリリーフ陣にきてしまう。
先発陣がどこまで安定できるかが2017年のライオンズの浮上の鍵を握りそうだ。
QS率55%を超えられるかが、ライオンズAクラス入りへの一つの条件になると私は睨んでいる。
しかし、喜んでばかりいられてない。
なぜなら表ローテと裏ローテでQS率にかなり開きがあるからだ。
【埼玉西武ライオンズローテ投手QS率】
※()内は登板試合数
- 菊池(5):100%
- ウルフ(5):80%
- 野上(5):60%
---------------------------------------
- 高橋(3):33%
- 多和田(4):25%
- 十亀(1):100%
表ローテの3人で平均80%。
対照的に裏ローテの2人(十亀投手は1試合登板のみなので除く)平均は29%。
ここまで6連戦が1回だけと試合日程に救われた部分がある。
今後裏ローテ投手の登板が増えるとライオンズは厳しい戦いになる。
更に不安なことに多和田投手が右肩の違和感で登録抹消。
変わりに未知数の助っ人両右腕が1軍に加わる。
多和田真三郎投手(24)が29日に右肩の違和感で出場選手登録を抹消されたことに伴い、キャンデラリオが5月2日ソフトバンク戦(ヤフオクドーム)に初先発。
同投手は外国人枠の関係で登板後に抹消予定で、ガルセスが先発起用も視野に入れながら、ブルペンに加わる。
どんなにリリーフ陣が良くても先発投手が踏ん張らなければ試合にならない。
ましてや今のライオンズは野手陣に怪我人続出で打線が下降気味。
多和田、森、金子不在の5月に失速しないためにも今月は先発裏ローテ投手の奮起が必要不可欠だ。
先発投手不調→リリーフ登板過多→リリーフ不調→チームも不調
という負の連鎖が起きないようQS率55%のキープを最低保って欲しい。
その心配な裏ローテとは裏腹にエース菊池雄星投手は絶好調。
QS率100%、防御率1.22、投球回数37回、奪三振38はいずれもリーグトップ。
勝ち星こそここまで2勝止まりだが、その投球はまさにエースそのもの。
「エースとはどうあるべきか。答えはすぐに出さなくてもいいのかもしれません。1年通してきちんと働くことができれば、おのずと答えが見えるはず。そう思うようになりました」
菊池選手の離脱=ライオンズ終戦と言っていいくらい必要不可欠な選手になった。
プロ6年間で規定投球回数に達したのは1度だけ。
故障のリスクを抱える投手だけに十分なケアを心がけて欲しい。
そして、その菊池投手と共にローテを支えるのがウルフ投手。
リーグ最多タイの4勝、防御率もリーグ3位の1.74と安定した投球を披露している。
先発のウルフが7回2安打無失点で4連勝。昨年7月の西武加入以降の連勝を8に伸ばした。
今シーズンのライオンズは日曜日の試合で5戦5勝。
それを支えているのは間違いなく”サンデーウルフ”の存在が大きい。
彼がこのまま6番手の位置で回ってくれれば大きい。
逆に彼がカードの頭で投げるようになればウルフ自身ここまで勝ちは稼げないだろう。
裏ローテ投手の奮起がウルフ投手の成績にも関係してくる。
今月の投手MVP:ウルフ
選定理由:月間4勝、連敗を4で止めた
野手陣 リーグ2位の得点数 上位打線はリーグトップクラスの破壊力
試合消化数に差はあるもののここまでリーグ2位の得点数。
それを支えたのは秋山(.992)、浅村(.874)、中村(.902)、メヒア(.846)の上位打線。
※()内はOPS
4選手の調子に浮き沈みはあるものの、それぞれがお互いはカバーしながら4月は戦うことが出来た。
月序盤は浅村、メシア、月中盤は中村、終盤は秋山といった形で、上手く調子の波を分けることが出来た。
この調子で主軸がカバーしあいながら、怪我なくシーズンを乗り切ってくれることに期待したい。
また彼らの間を打つ源田選手がここに来て絶好調。
通算打率.287、2番に起用されてからの打率.309、OPS.716と及第点以上の活躍を見せている。
盗塁数もリーグ2位の5個と持ち前のスピードは存分に発揮している。
一年目、ショートの負担を考えると年間通して今の状態を戦えるかは微妙。
栗山、森、金子が復帰して負担の少ない9番を任せられるようになると源田選手、チームにとっても大きい。
ただ、その肝心の主力の怪我人3人はまだまだ復帰に時間がかかりそうだ。
辻監督は「100%になるまで使わない。ムリさせると後々キツくなる」と中村、栗山を当面先発から外す考えを示した。
森友哉:復帰までは1ヶ月から1ヶ月半を要するようで、片手でティーを始めたところです。手術を避けたため、骨折の診断直後のスケジュール通りとのことです。
金子侑:疲労骨折の形のようで現在は歩行のみ。ジョギングすると痛むそうです。軽いティー打撃を行う程度で、前半戦の復帰は厳しいとの見方です。
髙橋朋:キャンプ時点での予定通り5月下旬か6月にイースタンで投げるプランです。現在は、力を入れての立ち投げ(捕手を立たせて)投球を行っています。
愛斗:イースタンの試合で1塁ベースを回ったところで足を滑らせ転倒し、左ヒザを痛めました。当初、十字靭帯の損傷も心配されましたが違ったようです。現在は、ジャージ姿での歩行訓練中で、復帰までは1ヶ月ほどかかる見込みです。
栗山選手が5月、森選手が6月、金子選手が7月以降の復帰となりそうだ。
現在右翼と左翼が弱点となっているライオンズ。
PFを考慮した2017年パリーグwOBAとRSAA(4月28日時点)https://t.co/6AVSLXfC7s
— sami (@RCAA_PRblog) 2017年4月28日
2017年戦力状況の概観。
楽天が球団史上最高のペースで打撃得点を積み上げています。
特に遊撃手の茂木栄五郎、右翼手のペゲーロの活躍は驚異的。 pic.twitter.com/TeLTCJpZt5
森、栗山、金子不在がそのまま弱点となっている形だ。
代わりに起用されている木村選手の状態も中々上がらず、苦しい台所事情となっている。
3月31日に開幕したプロ野球は前日4月30日で1カ月が終了。同日現在で、パ・リーグの打率ワースト(規定打席到達者)は西武木村文紀外野手で1割3分3厘だった。
5月も引き続き怪我人有りの状態が続くだけに、田代、山川、外崎らの中堅の活躍に期待したい。
4月の野手MVP:浅村栄斗
選定理由:攻守に渡る活躍、4/19のサヨナラ打、キャプテンシー
5月の展望
5月は合計24試合。
5/30からは交流戦に突入する。
目標は13勝11敗で貯金2。
欲を言えば、14勝10敗で貯金4、最低限が12勝12敗の五分。
ただ首位楽天と6試合、2位オリックスと3試合、復調気味のソフトバンクと6試合、現在セ・リーグ首位の広島と2試合。
24試合中17試合が強敵との戦いであること考えれば、13勝11敗でいければ十分。
注目試合
5/7本拠地メットライフでの楽天戦で元エース岸投手の先発が濃厚。
2017年日曜日負けなしのライオンズが首位楽天の現エース岸投手を打ち崩せるかに注目。
注目カード
5/12~14オリックス戦(ほっと神戸&京セラD大阪)
ここまで5戦全敗のオリックス相手に勝ち越せるか。
ビジターとは言え、西武は好調な表ローテ。
ここらで勝ち越して苦手球団を作らないようにしたい。
5月注目選手
投手:高橋光、十亀
何度も言う通り肝となるのは裏ローテ。
今月の裏ローテはビジター、本拠地開催ながら大宮、前橋で試合が続く。
投手は普段異なるマウンドになるが、結果を残して欲しい。
二人平均QS率50%越え&二人で合計4勝以上が目標。
野手:外崎、山川
ここまで揃って打率1割代と不振にあえぐ二人。
栗山選手の左翼、中村選手が怪我がちであることを考えれば、この二人の出場機会は増えることが予想される。
何よりやってもらわないと困る存在。
山川選手は2013年のドラフト2位、外崎選手は2014年のドラフト3位。
二人共年齢と期待値、何より実力的にもっとやってもらわなければならない立場。
富士大コンビの活躍がチーム浮上の鍵を握る。
山川選手は月間3本塁打とOPS.800越え、外崎選手は月間出塁率.350越えを目標にして欲しい。
まとめ
12勝10敗引分1の貯金2は80点は上げられる結果。
怪我人続出したことで、若い選手が数多く試合をこなしたのは長いシーズンを見ればプラスになる。
5月は13勝11敗で貯金2を目指して、上位勢との戦いを切り抜けて欲しい。
主力級はもちろん、裏ローテと若い野手の奮起が鍵になる月です。
今月の試合も楽しみにしています。
それでは、さようなら!