テーマは屁! じゃなくて嘘! でも、屁もテーマといえば、テーマ...
まあ、どっちもテーマなんですけどね。
私が観て感じた『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ黄金のスパイ大作戦』のテーマは嘘。
嘘、偽り、騙し、詐欺、裏切り、などなどキレイごとでは済ませられないこの世の中。
クレヨンしんちゃんという子ども向けの作品にしては実はかなり重いテーマを扱っています。
おならを全面に押し出して(本来前面に押し出していいものではない)、実はシリアスなテーマを扱う。
ある意味クレヨンしんちゃんらしいという作品。
子どもがつく嘘に対して、友人はどうすべきか、親はどうすべきか、ということをテーマにしているので、クレヨンしんちゃんという子ども向けの作品にはとても合ったテーマです。
早速、ご紹介します。
『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ黄金のスパイ大作戦』とは
概要
2011年4月16日公開の『クレヨンしんちゃん』劇場映画シリーズ第19作目の作品である。
上映時間は107分、興行収入は12億円
本作から監督がしぎのあきらから増井壮一にバトンタッチ。
あらすじ
いつものように日常を送っていたしんのすけの前に、ある日レモンと名乗る謎の少女が現れた。
彼女からアクション仮面のメッセージを受け取ったしんのすけは、レモンの勧めの下スパイになることを決心する。
レモンとスパイ訓練を開始したしんのすけは失敗を繰り返しながらも徐々にスパイの技術を身につけ、実は子供スパイだったレモンと共にコンビを組む。
そんなある日、しんのすけ達にアクション仮面から「ヘーデルナ王国で悪の博士から正義のカプセルを奪還せよ」との指令が下った。
しんのすけはレモンと家政婦イツハラの助けを借りてヘーデルナ王国へ向かい、「悪の博士」の研究所に潜入する。しかし、そこにいたのは悪の博士ではなくオナラ研究の第一人者であるヘガデル博士という科学者だった。
しんのすけから話を聞いた博士は彼がアクション仮面にだまされていると言い、自分が持っているのは「正義のカプセル」ではなくオナラを大量に出させてしまう「メガヘガデルII」という特殊な芋であること、しんのすけに指令を出したのはスカシペスタン共和国の女王達で、彼女達はメガヘガデルIIを奪うためにしんのすけを利用したのだと説得する。
しんのすけはヘガデル博士の言葉を信じず、「正義のカプセル」を奪って研究所から脱出したが…
意外によかった関ジャニ∞の声優演技
本作では関ジャニ∞さんが主題歌を担当し、メンバーの村上信五と大倉忠義さんがゲスト声優として出演されています。
ヘガデル博士の助手2人組。
小太りのジャガーを村上信五さん、痩身のマッシュを大倉忠義さんが担当されています。
これまでのクレヨンしんちゃんでもゲスト声優の出演というのはあったのですが、出番は非常に短いものでした。
しかも、ほとんどはしんのすけ1人と30秒程度絡む程度。
会話らしい、会話はほとんどありませんでした。
当然、ストーリーの中に絡んでくるようなことはありません。
しかし、今回は10分以上出番があります。
しかも、しんのすけだけではなく、かすかべ防衛隊やレモン、ヘガデル博士、ヘーデルナ王国の傭兵たちとの会話など、かなり出番がありました。
えてしてゲスト声優さんって無理やりねじ込んだ感が強いのですが、今回は違いました。
全く違和感なく、映画の中に入っていたので、芸達者な方々だなと感じました。
曲もクレヨンしんちゃんにあっていて非常に良い曲でした。
さすが、関ジャニ。恐るべし。
テーマは嘘 嘘を許すか、許せないか
この映画のテーマは嘘。
スパイものということもあり、必然的に嘘をつく機会が多くなります。
敵を騙すことを求められるわけですから。
しかし、今回最も重要なテーマは”子どもの嘘”。
このテーマを扱うためにスパイものにしたんじゃないかと私は思ってます。
今回登場する子どもスパイレモンは名うてのスパイ。
彼女にとっては任務遂行は絶対。
レモンは両親からそうやって育てられています。
そんなレモンにとって、任務のために嘘をつくことは全く問題ないこと。
しんのすけと会った時点のレモンはそうでした。
なので、レモンがかすかべ防衛隊を利用するシーンでは、ためらいなく嘘をつく様子が描かれています。
しかし、しんのすけや野原一家と触れるなかで、レモンには変化が生まれ始めます。
子どもの想いを受けとめることこそ親の務め
レモンが厳しい家庭で育ち、親と離れて暮らしていることを知ったひろしとみさえは
「子供だから我慢することはない、会えなくてさびしいと言ってもいい、それでもし怒られたらここに来て言えばいいよ」
と暖かい言葉をかけます。
レモンとしんのすけの育った環境の違い、家族の暖かさが対照的に描かれているシーンです。
そして、ひろしはレモンにこう声をかけます。
「レモンちゃんは物分かりがよすぎる! 子どもはもっとわがまま言って親に甘えるものだ!」
レモンの仕事はスパイ。
一見、普通の子供とは違った状況のように見えますが、レモンと同じような状況の子どもさんは多いのではないでしょうか。
親の言うことを聞かなければ見捨てられる恐怖。
だから、塾にいって勉強を頑張ったり、学校で良い子を演じたり。
そうやって、自分に与えられた役割を演じるうちに自分の本当の気持ちを言えなくなってしまっている子どもは多いです。
そういった子どもたちに向けて、自分の考えを親にぶつけることの大切さをこの作品は訴えています。
今回、野原一家の活躍は他の劇場版と比べると少ないですが、このシーンだけで十分大きな役割を果たしたといえます。
レモンに生まれた変化 自分の本心に向き合う大切さ
そんな野原一家との関わりから、レモンに少しずつ変化が生まれます。
それはしんのすけがレモンにアクション仮面のことを好きかどうかと考えるシーンです。
2人が出会った当初、レモンはこの質問を無視します。
しかし、野原家でのやりとりや、しんのすけのことを知るうちに、レモンに感情が生まれ始めます。
物語中盤でしんのすけから「アクション仮面のどこが好き?」と聞かれて、レモンは「顔? かな。」と答えます。(よりによって仮面かぶっているアクション仮面の顔ってシュールだな!)
レモンは任務中、しんのすけとのやりとりを”無駄”なこととしてとらえています。
それを表すようにレモンは「計画が何秒遅れた」と口にします。
確かに予定通りに物事をすませるのは非常に大切なことです。
しかし、そればかりを優先して、目の前のしたいこと、友達の誘いを無視してもよいのか。
計画と目の前のことのどちらが大切なのかをこのシーンは問うています。
子どもがやりたいことをやるとき親は助けてくれる
物語終盤レモンが嘘をついていたことを知ったしんのすけはレモンに「嘘つき!」と言います。
この言葉が今まで自分の感情を偽っていたレモンに届きます。
友達に嘘をつくこと、家族に想いをつたえないこと、自分の組織がやろうとしていることへの疑念など。
そこから、レモンは自分の信じたこと、やりたいことを全うするようになります。
そのレモンの行動にレモンの家族も次第に動かされます。
当初はレモンを押さえつけようとしていたレモンの両親ですが、最終的にはレモンを助けるために身を挺します。
最終的に野原一家と共闘するシーンは「子どものわがままにも親は協力してくれる」ことを行動で示しています。
YOU、許しちゃいなよ
また、この作品では、嘘をつかれた側がどうするか、というのもテーマの一つです。
しんのすけはレモンに「嘘つき!」と言ってしまいますが、最終的には友だちのピンチを救うために奮闘します。
しんのすけがレモンを助けるために戻ってきた時のレモンの嬉しそうな表情がなんとも胸にくるシーンです。
人を許してあげられることはしんのすけの最大の魅力の一つです。
最後にレモンはしんのすけに「今まで嘘をつくことに何のためらいもなかった」ことを打ち明けます。
しかし、しんのすけに会って、そのことが変わったと伝えます。
最後にレモンがしんのすけにした”ある行動”は彼女がこれから変わっていこうとしているのを表しています。
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まとめ
嘘をつくことに慣れるうちに人の感覚は麻痺していきます、
いつしかそれが当然になってしまうのです。
中毒症状などのほとんどは自分の感覚や感情を失ったことで起きることです。
そうやっていくうちに人は自分の本当の感情を失う。
その危険性と、いつでもやめられること、何より自分の感情に向きあうことの大切さをこの作品は伝えています。
子どもがつく嘘に対して、友人はどうすべきか、親はどうすべきか、という重要なテーマを扱っています。
是非お子さんがいる方は鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
それでは、さようなら!