どうも、はろーぐっばいです。
「もし未来に先回り出来たら?」そんなことを誰もが夢みたことがあるでしょう。
では、「未来に先回り出来たら何をするか?」と聞かれたら、どう答えるか。
様々な答えがあるでしょうが、その中の一つにお金儲けが絡んでくるという人も少なくはないでしょう。
賭け事やビジネス、株など未来に先回りが出来ていれば巨万の富を築くことも容易です。
「未来に先回りするなんて出来ない」とすぐに諦めてはいけません。
少なくとも、今すぐに何か先んじて行動することは可能です。
そんな可能性を感じさせてくれるのが、今回ご紹介する佐藤 航陽著『未来に先回りする思考法』という本です。
この本は多くの書評ブログやレビューで絶賛されています。
実際私がこの本を読むきっかけになったのも私の友人からの勧めでした。
タイトルだけを見ると、何だか自己啓発系のマインドを重視した本に見えますが、内容は極めて実利的で、かなり具体的な例え・実験・実績・論文が出てきます。
正直に言って、全部紹介したいくらい良いことしか書いていなくて、何をどこから話して良いか迷うほどです。
今日はそんな『未来に先回りする思考法』についてお話していきます。
目次
『未来に先回りする思考法』とは
商品紹介
「実際に空を飛ぶ機械が、数学者と機械工の協力と不断の努力によって発明されるまでには、百万年から一万年かかるだろう」
ニューヨークタイムズにこのような社説が載ったのは、ライト兄弟が人類で初めて空を飛ぶわずか数週間前のことでした。
今に生きる私たちも、この話を笑うことはできないでしょう。iPhoneが発売されたとき
「赤外線がないなんて流行らない」「おサイフケータイが使えないなんて不便」
と多くの人が言っていたことを、Facebookが日本に進出したとき、
「実名性のSNSは日本人の気質には合わないので普及しない」
と多くの「知識人」が言っていたことを、私たちは都合よく忘れています。
人間は本来、未来を見誤るものなのです。
しかし、そんな中でもごくわずかな人は驚くほどの先見性を発揮して大きな成果を上げています。その違いは人々の「思考法」にあります。
本書では、株式会社メタップス代表取締役社長の佐藤航陽が自身の体験から培った「どんな状況にあっても未来を見通せる汎用的な思考体系」を、読者のみなさまにお伝えします。
<目次>
第一章 テクノロジーの進化には一本の「流れ」がある
第二章 すべてを「原理」から考えよ
第三章 テクノロジーは人類の敵なのか
第四章 未来に先回りする意思決定法
著者について
佐藤 航陽(サトウ カツアキ)
株式会社メタップス 代表取締役社長
1986年 福島県生まれ 早稲田大学法学部中退
大学在学中の2007年に株式会社メタップスを設立し代表取締役に就任。
2011年に人工知能を活用したアプリ収益化支援プラットフォーム「metaps」を開始。これまで累計57億円の資金調達を実施し、東京、シンガポール、香港、台湾、上海、サンフランシスコ、ソウル、ロンドンの世界8拠点で事業を展開。
2014年より決済サービス「SPIKE」を開始。2015年のフォーブス「日本を救う起業家ベスト10」、AERA「日本を突破する100人」に選出。
全体的な感想と対象者
読み飛ばして良いとこ一つもなし!
最初から最後まで納得させられる面白い箇所ばかりでした。
何件かこの本の書評、レビューを読んだのですが、良い意味で褒めるポイントが分かれていました。
人それぞれによって面白いポイントが分かれるのは当然と言えば当然ですが、ここまで満遍なく偏りがない本も珍しいです。
普通、どんな本でも重要な核心部分は全体の5%前後と言われています。
しかしこの本に関しては5%どころではありません。
低く見積もっても70%以上はあります。
人それぞれ既知部があるかどうかによって、ためになる箇所の割合は異なりますが、大半の人にとっては参考になる箇所がありまくりの良著です。
本の構成は、序章と4つの章にわけられています。
【未来に先回りする思考法の構成】
- 序章:なぜイノベーターたちは未来に先回り出来たのか
- テクノロジーの進化とは何か
- イノベーションが起きた背景には何があったのか(国家、政治、資本主義の変容)
- テクノロジーの進化は人類に何をもたらすのか
- 未来に先回りするには何が必要か
この本がわかりやすい要因の一つに、具体例の多さが挙げられます。
全ての章、パートに置いて具体的な例が数字で示されています。
そして、同時に一般的な人々の考え方やテクノロジーへの怯えなど、人間の心理や思考パターンも交えて語られているところもわかりやすい理由です。
この手の本は、ともすれば具体的な数字だけを挙げて、読者の心情や情緒的な部分が置いてけぼりになりがち。
『未来に先回りする思考法』はそういった読者が理解が薄い、馴染みがないことについても、一般的な人の感じ方を例に挙げて説明されています。
例えば、Facebookの成功を日本人が予見出来なかったエピソードが以下のように挙げられています。
数年前、現在日本では2,000万を超えるユーザー数を誇るFacebookに対して、「日本人には実名で登録するSNSははやらない」と言っていた人は、少なくありませんでした。
「日本人は実名登録を嫌がる」という未来を先回りできなかった人の感覚もわからないでもないです。
なので、当時の人がFacebookの成功に懐疑的だったのも納得できます。
ただ、現在Facebookは結果的に大成功を収めています。
具体的な数字で成功度合いを表しながらも、当時の人々が懐疑的だった理由(現在の人でも納得するような)を交えて、未来を先回り出来た人が少数派だったわけを教えてくれます。
上記の具体的ような、ハッとさせられる教訓のようなものがこの本には数多く出てきます。
読みすすめていけば、自分の発想力や考え方が柔軟でなくなることの危険性を嫌というほど認識できます。
今の世界の常識にとらわれていたら、大きな機会損失になると危機感を抱きます。
これからの生き方について知りたい、迷っている人には大変おすすめの本です。
特に、頭が固くなりがちな20台後半以降の人には是非読んで頂きたい。
私の印象に残ったパート
ではここからは私が心に残った部分についてお話していきます。
「強者ではなく、変化に対応できた者だけが生き残る」
「未来は予想できる」という前提を捨て、変化が起きた瞬間に即座に対応し、修正を重ね、変化していけばいい
よく言われるところのダーウィンの進化論をそのままビジネスに当てはめたようなスタンスです。
「強者ではなく、変化に対応できた者だけが生き残る」という。
微修正を加えながら方向性を加えていく「リーンスタートアップ」。
ビジネスなんて計画が予定通りにならないことの方が多いです。
先の見えない未来を予期するだけ無駄。
ならば、その時その時で最適な策をとるべきだとこの本では主張されています。
そうなると、この本のタイトル『未来に先回りする思考法』と矛盾するようですが、その答えは最終章に書かれています。
『未来に先回りする思考法』では、先回りするために必要なことを列車の『切符』と『タイミング』に例えて説明してあります。
【切符について】
最も遠くに連れていってくれる電車を見つけて飛び乗ることに成功すれば、大きく飛躍できるでしょう。ただし、そのためには「切符」を持っている必要があります。
この「切符」にあたるのが「リソース」です。それは資金だったり、自分のスキルや経験だったり、人脈だったりと、様々です。もしそれらの最低条件を揃えていないと電車に乗ることはできません。もちろん、電車によって切符はすべて異なります。
もしあなたが、何が課題でどうすればよいかがわかっていても、切符を持っていなければ、チャンスに飛び乗ることはできません。
ようは電車に乗りたくても、それに乗る権利・スキルがなければ乗れないよという話です。
例えば英語が出来る人のみを対象としたサービスが世界的にブームになったとします。
その場合、誰もが列車に乗れる(サービスを利用できない)わけではありません。
なので、未来に先回りするには常に自己投資・研鑽が欠かせないのです。
そしてもう一つ重要なことの一つが『タイミング』です。
【タイミングについて】
そして、もうひとつ重要になるのが電車の出発時刻、つまりタイミングの問題です。
ビジネスの世界には、定められた時刻表はありません。自分の予測にもとづいて、電車がやってくるタイミングを読む必要があります。タイミングが、すべてを決めます。
だからこそ、未来が読める「だけ」では価値はないのです。その恩恵にあずかるためには、未来に向かう電車が来るタイミングで、必要なリソースを揃えて、駅のホームで待っていなければなりません。 そのためには、まず自分が持っている手持ちのカードをきちんと把握し、電車が来るまでの残り時間の中で、足りない条件を揃える必要があります。
電車がやってくるタイミングが直近であればあるほど、同じことを考えホームで待つ人は増えますから、一人ひとりが得るリターンは減ります。
一方、そのタイミングが遠ければ遠いほど準備している人は少なくなり、リターンは大きくなります。競争が激化する前に参入障壁をつくり、先行者利益を享受することもできます。
しかし、そのためには長い期間準備するための経済的余裕が必要になります。
どのアクションが最適かは、そのあたりを加味して判断しなければいけません。
必要なリソースを揃えて適切なタイミングでその電車に乗る。
「それが難しいんだよ!」とツッコミを入れたくなりますが、真理でもあります。
なので、何が必要になるか予見出来ない現代社会において、とにかく切符(リソース)を増やして乗れる電車の数と種類(選択肢)を増やしておくにこしたことはありません。
あとはその電車にいつでも乗れる柔軟性を持つ。
これがこの21世紀を生きるコツなのです。
日本でイノベーションが起きない本当の理由
現在イスラエルは第二のシリコンバレーとも言われるイノベーション大国です。
しかしその人口は約800万人。
日本の10分の1にも満たない小国がなぜイノベーション大国となり得たのか。
それはイノベーションを起こすための必要性がどこよりも切実に存在しているからです。
イスラエルは政治的、地理的に非常に危険な状態を抱えています。
対立するパレスチナ軍からロケットが打ち込まれ、国内の都市部にも反政府組織が潜伏していたりします。
そのため自分たちが生存していくには、国際的な競争力を高める必然性があったのです。
この本ではこのイスラエルと同様にシンガポールも例に出てきます。
シンガポールは隣国マレーシアと緊張関係にあり、東京23区ほどの面積しかなく人口は600万人ほど。
常に自国が支配される危険性があり、かつ自国だけを市場にできない背景があります。
そうなるとシンガポールには、必然的に世界で通用する技術力・国際競争力が求められます。
これが本書では日本でイノベーションが起きない要因として語られています。
本当に「イノベーション」が必要なのは、国家や国民単位でしか物事を捉えられない価値観だと、私は考えています。
私が海外在住の方と話していつも感じるのは、日本人は国家や国民単位でしか物事を捉えられない価値観を持った人が多いということです。
『未来に先回りする思考法』では、既に国境は消えつつあると語られていますが、まさにその通り。
これからは自国単位だけで物事を捉える価値観だけでは通用しません。
世界単位で、世界のことを考えられるグローバルな視点を持たなければ、国際的な競争力をもったイノベーションを日本が起こすことはできません。
イノベーションの必要性が迫られていますが、そのためにはイノベーションが起きる土壌を日本に築く必要があります。
パーソナライズの誤謬
今後、テクノロジーが発達すればするほど、ユーザー一人ひとりの特徴に合わせた(パーソナライズされた)サービスが提供されることになります。
ただ同時にそれは危険を伴うものでもあります。
本来ならあったはずの偶然の出会いが排除され、選択肢を狭めてしまうという懸念は、テクノロジーが進化しパーソナライズの精度があがるとともに大きくなってきています。
最近では、YoutubeやAmazonなどで、ユーザーの視聴傾向やプロフィールに合わせた提案機能の精度が格段に進歩しています。
次々と面白そうなコンテンツが提案されるので楽しいことではありますが、同時に自分の可能性を狭めてしまう危険性を孕んでいます。
前項でも話した通り、これからは自分のリソース(スキル)を数多く持っていることがリスクヘッジになります。
しかし、パーソナライズされた情報・機能に頼って思考が偏ってしまうと、幅広いスキルをもたなくなる危険性が生まれます。
その危険性を『未来に先回りする思考法』ではこう語られています。
現時点ではシステムが過去の情報から導き出す「合理的」な答えが、長期的にみれば必ずしも合理的ではない
この問題に対して、Googleで行われている面白い施策が紹介されていました。
それは「20%ルール」というものです。
これは就業時間の20%は、会社から指示された業務以外の自分の好きなプロジェクトなりアイデアに時間を費やしてよいというルールです。
このルールは、Googleの経営陣ですら常に正しい意思決定をすることは不可能であるという考え方から生まれたものです。
どれだけ多くの経験を積んでも。この世界の「不確実性」からは逃れることができないのでのならば、いっそのことそのリスクも理解した上で組織をつくるという理詰めの選択の結果
目標設定や行動計画は極めて重要なことです。
ただ、目標設定の際に設定したものが果たして正しいのか、効果的なのかと悩んだり、不安を抱えることもあるでしょう。
かくいう私も、目標を設定する際は常に不安を抱えています。
ならばいっそ、目標外のことを20%やってみるくらいの余裕を持った方が精神的に非常に楽です。
なので、「先のことはわからないから目標を立てたくない」という人は、目標通りに動くリスクを理解して、20%は別のことをやればいいくらの気構えで目標を設定してみましょう。
まとめ
お話したこと以外にも、下記のような紹介しきれないほど興味深いことが書かれていました。
- プライバシーという概念そのものが変わっていく話
- GoogleやAmazonが進出することによる、アメリカの機関(CIAやNSA)に世界中のユーザー情報が持っていかれる危険性
- グーロバル企業に対する世界各国政府の対策
『未来に先回りする思考法』で扱われた内容が10、20年先にどれだけ当たっているのか非常に興味深いです。
予言の書とも言うべき、『未来に先回りする思考法』が正しかったのか。
時間を置いて、数十年後に読んでみたいです。
『未来に先回りする思考法』が、今の私にも未来の私にも興味深いことを届けてくれる良著であることは間違いありません。
みなさんも機会があれば是非お手にとってみてください。
それでは、さようなら!
※今なら無料の試し読み版もあります。
さらっと眺め読みしてみてはいかがでしょうか。