多くの日本人が大好きな温泉。
それをテーマにして家、家族、心の暖かさなどにテーマを当てた『クレヨンしんちゃん 爆発! 温泉わくわく大決戦』。
温泉がテーマだけあってエロもある一方で拷問シーンで野原一家が敗北するシーンもあるなど、様々な要素が詰まっている今作。
興行収入は振るわなかったものの、他の作品に見劣りしない特徴が詰まっています。
早速『クレヨンしんちゃん 爆発! 温泉わくわく大決戦』についてお話していく。
- 『クレヨンしんちゃん 爆発! 温泉わくわく大決戦』とは
- クレヨンしんちゃん本来のバカバカしさがここにある
- トラウマ級の野原一家の拷問シーン ひまわりの泣き叫ぶ声はちょっと辛い
- 家族衝突、昭和の懐かしさなど『オトナ帝国の逆襲』の原点?がこの作品
- 爆笑必須! 同時上映短編アニメーション映画『クレしんパラダイス! メイド・イン・埼玉』
- クレヨンしんちゃん映画を観るなら!
- まとめ
『クレヨンしんちゃん 爆発! 温泉わくわく大決戦』とは
概要
1999年(平成11年)4月17日に公開された『クレヨンしんちゃん』の劇場映画シリーズ7作目。
上映時間は99分。
興行収入は約9億円。
2016年時点で歴代の劇場版の中で興行収入が最も低く、初めて10億円を切った作品となってしまっている。
あらすじ
ある夜、慰安旅行で秩父に来た、ふたば幼稚園の先生達がゆっくり温泉に浸かっていると、大きな地響きと共に、謎の巨人が通り過ぎて行った。
翌日、散歩をしていたしんのすけは、道の真ん中で行き倒れているおじさんを発見。温泉の精・丹波と名乗り、風呂に入りたいと言うそのおじさんをしんのすけは家に招き、一緒にお風呂を楽しむ。だがいつの間にか、おじさんはいなくなってしまっていた。
数日後、しんのすけ達野原一家は、警官を装った者達の手によって、何処かへさらわれてしまう。
目覚めるとそこは何処かの基地の内部で、そこで一家は隊員らに事の説明を受ける。彼らは、日本の温泉を守る政府直属の秘密組織「温泉Gメン(おんせんジーメン)」と名のり、野原一家に協力を要請してきた。彼らは、「風呂嫌いテロ組織YUZAME(ゆざめ)」が、地球温暖化ならぬ"地球温泉化計画"を実行に移そうとしていることを突き止め、その野望を阻止するために、不思議なパワーを秘めた伝説の温泉"金の魂の湯(略して「きんたまの湯」(この時、みさえとひろしは「略すな!!」と突っ込んだ。)"を探していた。そして、ようやく見つけ出した金の魂の湯は、なんと野原家の地下にあったのである。
そのとき、YUZAMEが突然、Gメン基地を襲撃してきた。辛くも脱出した野原一家とGメン隊員・後生掛と指宿は草津の指示により、奥秩父にあるYUZAMEのアジトへ偵察に向かうことに。だが任務は失敗、野原一家は拷問レジャー施設「不健康ランド」をさせられ、御所掛と指宿は"金の魂の湯"の情報を話してしまう。
ついに YUZAMEは巨大ロボットを動かし、自衛隊の攻撃を蹴散らして、温泉Gメンが"金の魂の湯"の発掘作業を進める野原家に向かってくる。
果して、野原一家はみんなの家を守る事が出来るのか。温泉GメンはYUZAMEの野望を阻止する事が出来るのか。そして、敵の首領・Dr.アカマミレが執拗に風呂を憎む理由とは…!?
クレヨンしんちゃん本来のバカバカしさがここにある
興行収入が振るわなかったことからわかる通り今作品はあまり高い評価を受けているわけではない。
実際各所のレビューを観ると脚本が微妙、温泉をテーマにしているもののイマイチストーリーの本筋に関わっていない、など辛辣なコメントが目についた。
それまでの作品や後の名作『オトナ帝国』などの作品と比較すると特にストーリー性のところで満足できない方がいるようだ。
しかし、私個人としてはある意味クレヨンしんちゃんらしくて良いのかなと思う。
原作のクレヨンしんちゃんにストーリー性なんてものはなくて、原点は一話完結のギャグ漫画。
実際本作は一つ一つのギャグシーンをとってみると、笑える箇所は多々ある。
またクレヨンしんちゃん独特の『人から見たらどうでも良いことに本気になっている人たち』が多数登場。
温泉Gメンの草津、指宿ちゃん、丹波さんはその最たる例。
周りから引かれることなどお構いなしな姿勢こそ、クレヨンしんちゃんの原点なのかなと。
名作と言われる『オトナ帝国』、『戦国大合戦』などにはこういったキャラクターや団体は登場しない。
むしろかなり正当な己の信条を持っている人が目立つ。
ただ、そうではないくだらなさ全開の本作こそクレヨンしんちゃんの原点ではないだろうか。
実際この作品は辛辣なレビューを受けている一方、かなり高評価なレビューもある。
恐らく高評価している人たちは作品のプロットやテーマ性などではなく一つ一つのギャグの面白さ、なんだかわからないけど突き進んでいく感じに惹かれたのだろう。
そのため万人受けはしないけど、くだらないギャグを何も考えずに笑いたいという人にとっては非常に受けが良い作品なのだ。
この辺は温泉をテーマにしているだけに肩肘張らずにリラックスしようというメッセージなのかなと私は邪推してみたりする。
トラウマ級の野原一家の拷問シーン ひまわりの泣き叫ぶ声はちょっと辛い
主にくだらないギャグで笑いを誘ってくる一方で、この作品はクレヨンしんちゃんの劇場版の中でも一番酷い拷問シーンが存在する。
それまでにも拷問シーンはあったがそれは野原一家ではない大人の諜報員が受けたもの。
戦いとは関係がない野原一家、しかもしんのすけ・ひまわり・シロといった子供、幼児、動物にも拷問がされるシーンは正直見ていてあまり良い気持ちがしなかった。
※キラーフィンガー・ジョーの拷問シーンは除く
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特にひまわりが苦しんで泣くシーンは見るに堪えない。
それまでのくだらなさ、当事者意識がない野原一家を一転させて戦いに向かわせるためのきっかけとしてこの敗北シーンがどうしても必要だったのかもしれないが、それにしてももっとやりようがあったのではと思わされる。
恐らく、脚本に対して不満を抱える人の中には、このシーンへの持っていきかたに不満を持っている人が多いだろう。
そもそも野原一家を安全なところにかくまうと言っておきながら、敵のアジトへの偵察に同行させて、その結果関係ない民間人の野原一家を戦いに巻き込んでいる。
最後に温泉Gメンと戦わせることありきで、無理矢理野原一家を敗北させたとしか思えない強引な展開。
野原一家が無理矢理変なことに巻き込まれてしまうのは劇場版のお決まりだが、他の作品には一家の強い意思があったり、どうしても巻き込まれざるを得ない状況があった。
しかし、今回は野原一家が危険をおかす必要があったようには見え難く、それがこの作品の脚本に不満を持たせる要因となっている。
家族衝突、昭和の懐かしさなど『オトナ帝国の逆襲』の原点?がこの作品
この作品を見ていてふと思ったのは名作『オトナ帝国の逆襲』に繋がる点が多々あるということ。
Gメン'75,、丹波哲郎、原田大二郎、長島茂雄に憧れる男、銭湯、ゴジラ、ロボットアクション、巨大ヒーローなどなど、昔懐かしのネタがいくつも登場する。
元々クレヨンしんちゃん自体が子供そっちのけの大人向けのギャグが出てくるものだったが、これまでの劇場版と比べるとのその比率が一気に増している。
前半パートではみさえとひろしが何度も喧嘩をしながらも、最終的には家族が一致団結して、敵に立ち向かう流れはオトナ帝国に通じるものがある。
今作を作った時点では迷い迷いだったものが、きれいに形になったのが、後の名作『オトナ帝国の逆襲』になったのだろう。
爆笑必須! 同時上映短編アニメーション映画『クレしんパラダイス! メイド・イン・埼玉』
この映画には同時上映された短編アニメーションがある。
特にその中の劇中ミュージカル「私のささやかな喜び -A motion for a long time.-」は爆笑必須。
くだらなさと無駄に凝った作りが印象的。
映画好き、クレヨンしんちゃん好きであればあっと思わせるパロディが続出。
妙に耳に残る歌も特徴的だ。
これまでの作品でも素晴らしいミュージカルのシーンがあったが、『クレしんパラダイス! メイド・イン・埼玉』のミュージカルはその中でも群を抜いている。
約4分という長さを感じさせない、あっという間の爆笑ミュージカルをお時間があれば是非見てみて欲しい。
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まとめ
興行収入は作品の面白さを測る一つの判断材料。
しかし、大衆ウケしないからと言って面白くない作品というわけではない。
クレヨンしんちゃん独特のギャグ、しょうもないことに全力な突き進んだキャラ、エロ、アクションシーン、巨大ロボットの戦闘シーン、温泉の素晴らしさなど魅力的な要素がいっぱい詰まった今作品は他の作品に劣らない素晴らしい作品だ。
肩肘張らずにまるで温泉に入るような気分で鑑賞するのにピッタリな作品ですので、機会があればご覧になってはいかがだろうか。
それでは、さようなら!