「クレヨンしんちゃんの映画は泣ける」なんてことが今や驚きではなくなった昨今。
その代表作と言えば、『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』、『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』でしょう。
しかし、これら「劇場版クレヨンしんちゃんの原点となった作品は何か」と問われると実はあまり多くの方が答えられないのではないでしょうか。
その作品こそが本日お話する『クレヨンしんちゃん アクション仮面VSハイグレ魔王』です。
実はこの作品、興行収入的には上記で挙げた泣けるクレヨンしんちゃんの二作を超える作品なのです。(実際に映画館に脚を運ぶ人が少なくなっている今と比較するのはナンセンスかもしれませんが)
第23作『クレヨンしんちゃん オラの引越し物語 サボテン大襲撃』(2015年)が22年ぶりに記録を塗り替えるまでは、劇場版の中で興行収入が最高を記録した作品である(2016年現在は歴代2位)。
公開されたの当時(1993年)私は4歳でしたので、実際に観たのをちゃんと記憶しているのは6歳くらいの時でした。
20年以上も前の話ですが、今でも一番思い出に残るのはこの映画です。
決して懐古主義に走るわけではなく、単純に魅力的な要素が多い作品なのです。
そこで今日は『クレヨンしんちゃん アクション仮面VSハイグレ魔王』の魅力について語っていきます。
- 『クレヨンしんちゃん アクション仮面VSハイグレ魔王』とは
- 全キャラクターの原形がここにある キャラ崩壊前のクレヨンしんちゃん
- あくまでいつものしんのすけ 私が感じる泣けるクレヨンしんちゃんに対する違和感
- オカマを使わせたら日本一!? 今なら許されないかもしれない性差別になり兼ねない表現
- 原作版
- まとめ
- クレヨンしんちゃん映画を観るなら!
『クレヨンしんちゃん アクション仮面VSハイグレ魔王』とは
概要
『クレヨンしんちゃん アクション仮面VSハイグレ魔王』(クレヨンしんちゃん アクションかめん たい ハイグレまおう)は、1993年7月24日に劇場公開された『クレヨンしんちゃん』の劇場映画シリーズの1作目。上映時間は95分。興行収入は22.2億円。
あらすじ
しんちゃんが大好きな『アクション仮面』の撮影中、突然スタジオで爆発が起こる。
混乱の中、何者かがアクション仮面の力の源であるアクションストーンを奪い、どこかへと去っていってしまう。
一方幼稚園の夏休みが始まった日、しんのすけとみさえ親子は買い物の途中古そうな駄菓子屋を見つけ、その店でアクション仮面カードが付録としてついているチョコビを購入する。
そして偶然にも幻のカードだと噂されていたNo.99のカードを手に入れる。
その数日後、海に行った野原家は海辺に建っていたアクション仮面アトラクション・ハウスの中に入り、「時空移動マシン」というアトラクションに乗り不思議な体験をする。
実はその際野原家は気付かずにアクション仮面が本来住んでいる別次元に移動していたのだ。
その後,、異次元の異変を目の当たりにした野原家はそれが地球侵略を企む宇宙人ハイグレ魔王の仕業であることを知らされる。
その侵略の方法はハイグレ光線で無理やりハイレグ姿のハイグレ人間に変えてしまうというもの。
既に東京は制圧され、出動した自衛隊も返り討ちにして支配地域を埼玉・千葉・神奈川へ広げている。
しんのすけが当てたNo.99のカードはこのパラレルワールドからやってきたアクション仮面とリリ子の双子の妹・ミミ子がアクション仮面をこの世界に呼び戻す手助けをするアクション戦士を選ぶために用意したものだったのだ。
このピンチを救えるのはアクション仮面のみ。
果たしてアクション仮面は力を取り戻せるのか、そして、地球の平和を取り戻すことができるのか。
※詳細なあらすじは下記のサイトによくまとまっています。
全キャラクターの原形がここにある キャラ崩壊前のクレヨンしんちゃん
私がこの作品が好きな理由の一つが、キャラクターの原形が保たれていることなんです。
しんちゃんの喋り方や行動がおっとりしていて、とにかくマイペース。
だけど人を傷つけるつもりはなく、とても優しい等身大の変な5歳児。
変にませすぎていないというか、生意気過ぎない感じがとてもほのぼのしていて良いんです。
個人的にですが、ひまわりが生まれる前の三人家族時代のほうが好きなんですよね。
ひまわりが生まれて以降はしんのすけが理不尽に扱われることが増えてしまいます。
野原家が女性天下の家族にシフトし過ぎていて男性陣が理不尽な扱いを受けることが多すぎるのがあまり好きになれません。
もちろん、三人家族時代もみさえが理不尽なことをする時はありましたが、今ほど変なことは言っていなかったです。
そのほかのキャラクターもまだ原型を留めていました。
優しくて気が弱いまさお君、大人ぶっているけど本当はアクション仮面が好きな風間君、みんなの喧嘩を止める優しいネネちゃん、本当に気弱だけど時に覚醒する組長こと園長。
オトナ帝国のあたりからはこの辺のキャラクターはかなり様変わりしており、それはそれで面白いのですが、私はこの頃のキャラクターたちの優しさに溢れたほのぼの感が好きでした。
どうも最近のキャラクター設定は攻撃的で自我が強すぎて違和感しか感じません。
これはクレヨンしんちゃんに限らず、こち亀、サザエさんなどの長期放送かつ登場人物の年齢が変わらない作品にありがちなパターンです。
圧倒的ほのぼの感 最高の前半パート
この作品は前半部分は通常のクレヨンしんちゃんの日常が描かれており、後半部分がハイグレ魔王たちとの非日常の戦いを描いています。
穏やかな日常が徐々に侵食されていくコントラストがこの作品の魅力の一つなのですが、そのコントラストを強くするために欠かせないのが日常シーン。
そのシーンを普段通りに描ききっているあたりにこの頃の映画製作チームの実力の高さが見て取れます。
特に序盤の日常的な出来事は野原家の日常をほのぼのと描いています。
【野原家のとある一日】
みさえとのアクション仮面視聴を巡るチャンネル争奪戦⇒ひろしがしんのすけのためにアクション仮面大百科を買ってきてあげる⇒しんのすけとひろしがお風呂⇒食事⇒野球観戦しながら晩酌中のひろしのうしろでみさえがしんのすけを追い回す
家族愛を押しすぎず、本当の幸せな家庭とは何かを見事に描ききっています。
初期クレヨンしんちゃんならではのほほえましさなのです。
あくまでいつものしんのすけ 私が感じる泣けるクレヨンしんちゃんに対する違和感
前述した項と被る部分もあるのですが、私が最もこの映画を好きな理由はしんのすけがあくまでいつも通りだということです。
ドラえもんなんかにもありがちですが(劇場版ジャイアン、のび太の逞しさ)、劇場版になると急にたくましくなる展開があまり好きになれないのです。
正確に言うとそのあとの通常回(テレビ放送)で元に戻るのが好きになれないです。『えっ!?Σ(゚д゚lll) あの成長した姿はどこにいったの?』という気持ちが沸いてくるからです。
感覚的には通常回とは別に劇場版用に出演しているって感じを受けます。
劇場版が終わったら『お疲れ様でした~』って感じで打ち上げでもしているような。
あくまで別次元の話って感じがするのです。
個人的にそれって本当にその作品の魅力なの?と首をかしげたくなります。
本来の魅力とはかけ離れた魅力をそのキャラクターにつけてしまえば誰だって素晴らしいキャラクターになれるじゃないですか。
そうじゃなくてそのキャラクターが本来持っている力で難題に立ち向かって解決するからこそ、そのキャラクターが魅力的にうつるのではないでしょうか。
この作品のしんのすけで言えば、あくまでちょっと変わった普通の5歳児。
腹巻レディスやTバック男爵を倒した時は北春日部博士の道具の助けがあったからこそ。
その後ひとりぼっちになった時は怯えている様が描かれています。
そしてハイグレ魔王と戦ったのもあくまでアクション仮面であり、しんのすけはそれを見守っています。
ただ所々でシロを置いていけないとバスに乗せてあげたり、機械が故障して空中に落下する敵である腹巻レディスを助けてあげたり、ピンチになったらアクション仮面に救いを求めたりと随所にしんのすけの優しさと幼さが織り込まれています。
最後のシーンでもアクション仮面変身セットを着て調子に乗りすぎたしんのすけをみさえが怒って追いかけ回すシーンで締めるあたりは彼らがこの映画を通して成長したのではなく、あくまで今まで通りであることを表しているのだです。
それこそがキャラクター本来の良さを使った劇場版のあるべき姿なのではないでしょうか。
オカマを使わせたら日本一!? 今なら許されないかもしれない性差別になり兼ねない表現
とここまではちょっとネガティブなことを書いてきましたが、ここからはちょっとポジティブなお話を。
私は個人的に初期のクレヨンしんちゃんほどオカマを使わせたら右に出るアニメはないと思っています。
この作品の敵であるハイグレ魔王、目的のためなら手段を選ばない冷酷非常なホモ(※オカマではない)Tバック男爵を初めとして、クレヨンしんちゃんには魅力溢れるオカマキャラが登場します。
『ブリブリ王国の秘宝』に登場したサリーとニーナ、
『暗黒タマタマ大追跡』に登場した珠由良ブラザーズ、
劇場版ではありませんが、通常回に登場するローラーのこーちゃんなどクレヨンしんちゃんには数え切れない素晴らしいオカマキャラに溢れています。
最近ではLGBTに配慮してか、そういったキャラクターの登場はありませんが、やはりクレヨンしんちゃんで描かれるオカマは最高に面白いです。
大抵のオカマキャラは人とは異なる価値観やポリシーを持っていてそれがとても面白いのですが、同時に情にもろいキャラが多いのも特徴です。
そんな彼ら(彼女ら?)は人からは変人として扱われるしんのすけを異端児とせず受け入れてくれます(時にしんのすけのあまりの異常性に呆れて自分たちの方がよっぽどノーマルだと悟ったりもしますが)。
世間的にまずいからと過度に自粛し過ぎてはしないかとも思います。
ただこの映画の最後にハイグレ魔王からの投げキスをしんのすけとアクション仮面が気味悪がってしまうシーンがあり、それはちょっと今なら問題シーンなのかとも思いますが。
原作版
『アクション仮面VSハイグレ魔王』は原作6巻に収録(内容は劇場版と異なる)されています。
興味がある方はご覧になってみてください。
まとめ
クレヨンしんちゃんの原点を知りたい方にもまだクレヨンしんちゃんのことをよく知らないという方など全ての方におススメできるがこの作品です。
興奮の格闘シーン、笑い、感動など様々な要素が詰まった作品ですので一度ご覧になられてはいかがでしょうか。
それでは、さようなら!
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