3年振りのV奪回に向けてなりふり構わぬ大補強を見せた2016年オフシーズンの巨人。
史上初となるFA選出3人獲り(陽、森福、山口選手)、活発なトレード(2012年パリーグMVPの吉川選手獲得)、大物外国人(マギー選手)の獲得など並々ならぬ意気込みを見せている。
そんな巨人の姿勢に対して、『育成をしろ!』という声があがるのはある意味日本プロ野球のオフシーズンの風物詩。
育成や補強か。
巨人が補強すると生え抜きの若手選手に出番が与えられず、「若手がかわいそう、経験を積ませないと成長はない」などの声をよく耳にする。
今回の補強によって出場機会が中々訪れなさそうなのが2014年のドラ1位の岡本和真選手だ。
今回はこの岡本和真選手の2017年シーズンの起用法について私の持論を述べていく。
目次
岡本和馬選手とは
高校通算73本塁打の超高校級スラッガーとしての活躍が評価され、2014年のドラフト会議で巨人から1位指名を受け入団。
一年目の2015年に一軍デビューすると代打本塁打を放つ活躍を見せ、スタメン出場も経験する。
二年目は一軍での出場がわずか3試合にとどまる。
2017年シーズンは飛躍を期待されている。
2017年の巨人の三塁手事情
2017年の巨人の三塁手事情は熾烈な競争が起こっている。
昨シーズンのセリーグ三塁手部門のベストナイン、ゴールデングラブ賞の村田修一選手。
2013年に楽天の日本一に貢献し、パリーグ三塁手部門のベストナインに輝き、メジャーでも実績があるマギー選手。
岡本和真選手はこの両者との競争に打ち勝たなければ、一軍の出場機会は厳しい状況にある。
現時点での岡本和真選手の序列は三番手。
実績と実力から言えば村田修一選手、マギー選手からかなり離れた位置にいる三番手選手と言える。
もちろん、これは昨シーズンまでの話になるので、シーズン開幕までに岡本和真選手が成長、逆に村田修一・マギー選手に衰えが見られればその差はもっと近いかもしれない。
しかし、実際に練習を見ているわけではない私の立場からは去年までの実績で語ることしかできない。
そして、その観点から見るとその実力差はかなり開きがある。
キャンプイン後の報道によると岡本和馬選手の伸び悩みを指摘する声もあり、その差は依然としてあるようだ。
巨人の新助っ人・マギーに絶賛、岡本和真の伸び悩みに指摘も - ライブドアニュース
育成できる環境と土台があった阿部・坂本選手の時と異なる状況
『阿部と坂本選手だって我慢して育てたんだから、今回の岡本和馬選手も我慢して育てろ』との声もある。
しかし、その両者が若手時代と今の巨人の状況は以下の点で異なる。
- 阿部・坂本選手が起用され始めた前年、巨人はそれぞれリーグ優勝している(2000、2007年)
- チーム戦力が充実していた
- 阿部・坂本選手を使わざるを得ないチーム事象
1.阿部・坂本選手が起用され始めた前年、巨人はそれぞれリーグ優勝している(2000、2007年)
阿部選手が一軍で起用されたのは一年目の2001年シーズン。
その前年巨人は日本一に輝いていた。
また坂本選手が本格的に起用された2008年シーズン。
その前年巨人はリーグ優勝を果たしている。
対して、2017年シーズンの巨人は3年振りのV奪還を至上命題とされている。
また高橋由伸監督の二年目シーズンを何としても優勝させたい思いが球団にあり、勝利を犠牲にしてまで育成をする余裕がないのが現状だ。
2.チーム戦力が充実していた
阿部選手が起用され始めた2001年は松井秀喜選手を中心に、高橋由伸、仁志、清水、江藤、清原、二岡とそれぞれのポジションに球界を代表する選手を抱えていた。
坂本選手が起用され始めた2008年も、小笠原、ラミレス、阿部、谷、李、木村、鈴木などそうそうたるメンバーがいた。
また野手陣だけでなく、投手陣も充実しており、多少阿部・坂本選手が活躍できなくても他の選手でカバーできる戦力があったのだ。
対して2017年の巨人は大型補強をして戦力の上積みがあったものの、もし三塁手の選手が打低に終わると戦力的に厳しい状況にある。
※実際阿部、坂本選手以外が機能せずに打線は苦戦している。
ましてや小林誠司選手の打力と9番に投手が入ることを考えるとなおさらだ。
3.阿部・坂本選手を使わざるを得ないチーム事情
一番大きなポイントここだ。
阿部選手の場合は長年チームを支えてきた村田真一選手の衰えが指摘されており(実際2001年シーズンをもって引退)、阿部選手が試合に出ざるをえなかった。
当時は村田善選手もいたが打力・肩・将来性からみて圧倒的に阿部選手の方が上だったため起用せざるをえなかったのだ。
坂本選手の場合も正遊撃手の二岡選手が故障をし、坂本選手を試合に使わざるを得ない状況にあった。
二岡選手は2009年にトレードに出された。
2008年以降引退する2013まで遊撃手としては僅か14試合にしか出来ないほど衰えがあり、遅かれ早かれ坂本選手を遊撃手として使わざるを得ない状況にあった。
そして、この2人は全盛期と比べれば満足の出来ない数字ではあるものの一定以上の数字を残した。
阿部選手は史上二人目の新人捕手のシーズン2桁本塁打。
坂本選手は史上3人目(セ・リーグでは初)の高卒2年目での全試合スタメン。
それはその時点で2人がチームの中でも既に欠かせない存在になりかけていたことの証明である。
これらの状況と比べて、2017年の巨人の三塁手事情は岡本和真選手をどうしても使わざるを得ない状況ではない。
もちろん開幕前・シーズン中に村田・マギー選手が故障・不振になることも考えられる。
しかし、今の岡本和真選手が村田・マギー選手ほどの成績を残せる可能性は非常に考えづらい状況にある。
競争社会では実力があるものが地位を勝ち取る
2017年の巨人には一塁手に阿部慎之助選手、左翼手にもギャレット選手がいることから岡本和馬選手は他ポジションでの出場も厳しい状況にある。
阿部、村田、マギー、ギャレットといった30代中盤から後半の選手を使わずに若手を使えという声もあるかもしれないが、私はその声には賛同しかねる。
年齢関係なく結果を残せば評価され、結果を残さなければ評価されないシビア世界だ。
ましてや他球団と比べてより勝利(優勝以外は負けに等しい)を求められる巨人にあって簡単にポジションが与えられるほど甘い世界ではない。
FA選手、外国人選手を押し退けてでも試合に出る実力を岡本和馬選手がつければ自然と出場機会は与えられる。
野球の世界に限らず、競争の厳しい企業であればヘッドハンティングや厳しい人事評価は当然のようにおこる。
その中で実力をつけて、結果を残していかなれば評価は得られないし、出番は巡ってこない。
まとめ
21歳の青年に対して厳しい言い方になったかもしれないが、それが岡本和真選手が置かれている状況であり、身を投じている世界なのだ。
私が21歳の時にこんな状況であれば確実に逃げ出していたであろう。
なので私も生意気なことは言えないが、岡本和真選手には是非この状況に打ち勝つだけの実力をつけてほしい。
巨人の高卒ドラ1野手として大成した松井秀喜、坂本勇人選手になるか、残念ながらトレードという形で球団を去った大田泰示選手のようになるか。
岡本和真選手2017年シーズンの活躍に期待しています!
それでは、さようなら!