甲子園春夏連覇のエース、地元関西の阪神タイガースにドラフト一位指名、高卒新人で3年連続2桁勝利、日本代表経験有り、最速160キロ、身長197センチ。
これだけのスペックがあれば普通であれば世代ナンバー1、世代を抜きにしても球界で最も注目される男となっていてもおかしくない。
しかし、現状は同級生の大谷翔平選手の方に注目が向かっている。
また、大谷翔平選手が個人タイトルだけでなく、2016年シーズンにチームを日本一に導いたことでかなり差が付いてしまった印象だ。
まだまだ2人の争いに決着がついたわけではない。
投手として大谷翔平選手を超えるだけのポテンシャルを藤浪晋太郎選手は秘めている。
そこで今日はWBCで日本代表に選ばれた藤浪晋太郎選手について話していく。
目次
藤浪晋太郎選手とは
2012年に大阪桐蔭高校で甲子園春夏連覇を達成。
夏の決勝では決勝史上最多タイの14奪三振、決勝史上最速となる153km/hを記録する2日連続の2安打完封投球で勝利した。
準決勝、決勝で連続完封するのは20年ぶりの快挙であった。
その後行われた国体も含めて三冠を達成。
これは松坂大輔投手擁する横浜高校が達成して以来の快挙であった。
そして、同年行われたドラフト会議で阪神タイガースからドラフト1巡目で指名されてプロ入りする。
高卒一年目から開幕ローテーションに入り、活躍を見せる。
8月には4勝・防御率1.09を記録し月間MVPを獲得。
高卒新人が月間MVPを受賞するのは、セ・リーグでは、1987年8月の近藤真一以来史上二人目。
最終的にセ・リーグでは、1967年の江夏豊以来46年ぶりとなる5人目の高卒新人10勝を記録。
翌年の2014年シーズンもジンクスにハマることなく活躍を見せ2桁勝利を達成。
高卒1年目からの2年連続2桁勝利は2000年の松坂大輔以来14年ぶり、セ・リーグでは1968年の江夏豊以来46年ぶり快挙となった。
その年に行われた日米野球では自身初となる日本代表に選ばれた。
2015年シーズンは更なる進化を遂げて、三年連続となる2桁勝利を達成。
高卒1年目から3年連続の二桁勝利は2001年の松坂大輔以来14年ぶりの史上9人目、セ・リーグでは1969年の江夏豊以来46年ぶりの史上3人目。
また、シーズン200奪三振を達成し、奪三振王にも輝いた。
高卒3年目でのシーズン200奪三振は、ダルビッシュ有以来の快挙となった。
更なる高みを目指した2016年だったが、前年から春季キャンプ中にかけての右肩の炎症の影響から終始精細を欠いたパフォーマンスをみせる。
最終的には前年の半分となる7勝に終わり、入団からの連続二桁勝利は3年で途切れた。
決意の2017年シーズン
甲子園春夏連覇からプロ3年目まで順調にきていた男は2016年に挫折を味わった。
本人とっても悩みが多いシーズンとなった。
また、同級生の大谷翔平選手が活躍したことによって周囲からは辛い比較をされることもあった。
しかし、このまま終わる男ではない。
シーズンオフにはダルビッシュ有投手と共にオフを過ごし、2017年に巻き返しをはかる。
思えば、藤浪晋太郎選手の成長を加速させたのは高校2年生の夏の甲子園をかけた大阪府大会の決勝。
この試合で大量点を守れず、チームを甲子園に導けなかった悔しさが彼を本気にさせたのだ。
自分が三年生になった時にその悔しさを晴らすと。
その結果彼は甲子園で春夏連覇を果たしたのだ。
甲子園春夏連覇、高卒から3年連続2桁、4年目に1桁勝利。
この流れを見ていると松坂大輔選手の球歴と非常に類似している点が多い。
その松坂大輔投手はプロ5年目に自己最多タイとなる16勝、初の最優秀防御率と最多奪三振を獲得している。
藤浪晋太郎選手にも松坂大輔と同じようにV字曲線での活躍を期待したい。
高校時代の藤浪晋太郎選手の印象
私が藤浪晋太郎選手の高校時代で思い出深いのは春の選抜で戦った浦和学院戦の無死満塁からの三者連続三振。
ただポテンシャルが高いだけではなく、チームを勝利に導く勝負強さを見せたのだ。
春の選抜の時点で7回になってもコンスタントに150キロ台のボールを投げるだけでも驚きなのに、その力をここぞという時でしっかりと活かせる技術と精神力には脱帽させられた。
この時、彼は投手として1つの階段を駆け上がった。
あの年の大阪桐蔭は夏は比較的スムーズに勝った。
後にプロ入りするオリックス澤田投手、西武の森選手を初めとした分厚い選手層。
平成甲子園最高のスラッガー森友哉選手 その才能は清原、松井にも劣らない!
なにより藤浪晋太郎選手が既に高校生レベルではなかったため、ほとんどの試合を危なげなく勝ち上がった。
しかし、春はまだチームとして成熟していなかった。
そのため九州学院戦などを含めて、かなり苦労しながら勝ち上がった。
そういった中で見せたチームを勝利に導いた藤浪晋太郎選手の姿は強く印象に残っている。
あの時見せた気迫や勝負強さが藤浪晋太郎選手に戻ってくることを期待したい。
侍ジャパンで求められる役割
現時点で藤浪晋太郎選手が侍ジャパンに選出されるかは微妙なところだ。
また、仮に選出されて先発を任されるケースはあまり考えられないだろう。
そうなると期待される役割は浅い回からのロングリリーフかセットアッパーの役割。
今の侍ジャパンで試合流れを力で断つことが出来る投手は私のイメージでは大谷翔平選手と則本選手の2人だ。
則本昂大選手が1イニングに集中したら全盛期の藤川球児級!? ピンチの芽を断ち切れる男
そのほかの投手も非常に良い投手だが、チームに流れをもたらす力で雰囲気を変えるような投球は想像できない。
そこで私が期待したいのは藤浪晋太郎選手にその役割を期待したい。
ピンチの場面で、160キロに迫るボールと鋭い変化球でピンチの局面を打開する投球を是非見せて欲しい。
それはちょうど藤浪晋太郎選手が高校時代に見せた浦和学院戦のような投球だ。
日本人の中でも希少な流れを変える投球が出来るポテンシャルを持った藤浪晋太郎選手に期待せずにはいられない。
追記
第一次ラウンドの中国戦にのみ1試合に登板して、投球回数2、奪三振4、防御率0.00。
【WBC】侍ジャパン 第三戦は中国に力の差を見せつけ完勝 3連勝で一次ラウンド首位通過! スタメンと選手起用から読み解く首脳陣の意図
首脳陣から信頼を得るまではにはいたらず、 その後の登板はなかった。
まとめ
常に勝利し続けてきたスポーツ選手はいない。
誰もが一度は思い通りに結果を残せない時期がある。
ただ、それらは乗り越えた先に更なる進化がある。
同世代の大谷翔平選手、鈴木誠也選手の活躍。また田中正義選手、佐々木千隼選手などの大卒の同級生が多く入団してくる2017年シーズン。
しかし、その誰もが成し遂げられなかった甲子園春夏連覇という頂。
その頂を勝ち取り続けた男が、同世代の頂をまた奪い取る活躍に期待したい。
それでは、さようなら!