2016年の流行語大賞にも選ばれた『神ってる』という言葉。
これは広島東洋カープの緒方監督が鈴木誠也選手の活躍っぷりの凄まじさを形容したところから飛び出した言葉だ。
この言葉が飛び出した時点ではシーズン序盤の6月。
鈴木誠也選手自身もまだ確かな実績がないレギュラー候補の期待の若手の1人でしかなかった。
しかし、その後鈴木誠也選手は素晴らしい活躍を続け、レギュラーとしてチームのリーグ優勝に貢献。
流行語大賞の受賞式では「『神ってる』と言われるのは『まぐれ』と言われているようで、少し嫌でした。来季(2017年)には『神ってる』ではなく『実力だ』と思われるように頑張りたいです。」発言し、その発言から真の実力者になる決意のほどが伺えた。
その決意の先にあるのは実力で球界を引っ張れる存在への昇華がある。
そこで今日は2017年WBCで侍ジャパンのレギュラーとしての期待がかかる鈴木誠也選手について語っていく。
目次
鈴木誠也選手とは
二松学舎高校時代は投手として活躍するも、甲子園出場はならず。
ただ、その高い素質が評価され、2012年のドラフト会議で広島東洋カープから2巡目指名を受けて入団。
プロ入り後は投手から野手に転向。
また、投手から野手への転向、同姓の鈴木であることから『イチローを目指して欲しい』ということで背番号51を背負うことになった。
高卒ながら一年目で11試合出場、その後は36⇒97試合と年々試合出場数を増やし、存在感を高めていった。
素質開花の機は熟した2016年、春季キャンプ中の怪我で出遅れたものの4月から1軍に定着するとそのままレギュラーに定着。
6月に行われたオリックスバファローズとの交流戦で2試合連続のサヨナラ弾を含む3試合連続決勝弾を放ち、前述したとおり緒方監督から『神ってる』と形容される。
それらの活躍が評価され、2016年の交流戦で同級生の大谷翔平選手と共に優秀選手賞を受賞する。
その後も活躍を続け、終わってみれば自身初の規定打席到達による打率(.335)でセ・リーグ2位、本塁打(29本)でチームトップの成績を残したほか、95打点、16盗塁、長打率.612を記録した。
その活躍から、シーズン終了後にはベストナインとゴールデングラブ賞を初めて受賞した。
オフの侍ジャパンの強化試合ではレギュラー格として起用され、今後の活躍に高い期待が寄せられる。
鈴木誠也選手の圧倒的な身体能力と努力
鈴木誠也選手の凄さはその圧倒的な身体能力とひたむきな努力にある。
前述した神がかり的な打撃。
プロからも絶賛される強肩
加えて圧倒的な走力。
山田哲人選手の活躍でその価値が薄らいだように感じるが『トリプルスリー』を十分に狙えるだけの可能性を秘めた選手である。
本気で打率10割を狙っていると公言するほどの情熱的な努力家。
「僕は10割を目指したい。だから悔しい思いしかないです。グラウンドでニコニコなんてできない。(凡打で)怒っているんじゃなくて、悔しんでるんです。投手との対戦はケンカ。負けたくない」
更には打撃の師と仰ぐソフトバンクの内川聖一選手に教えをこい、自主トレに参加するなどどこまでも野球にひたむきな男なのだ。
このまま努力を続けた結果、どんな選手に成長するのか今から楽しみで仕方ない選手だ。
台頭する大谷翔平世代
どんなジャンルでも特定の世代に優秀な人材が集中することがある。
それは日本の野球界においても例外ではない。
最近だと松坂大輔選手を中心とした80年生まれの松坂世代、田中将大・斎藤佑樹選手を中心とした88年世代など多くの黄金世代が球界の賑わせてきた。
そしてここに来て注目を集め始めたのが、大谷翔平選手を中心とした94年世代。
二刀流で規格外の活躍を見せる大谷翔平選手。
甲子園春夏連覇を達成し、プロ入り後も活躍を続ける阪神藤浪晋太郎選手。
その藤波選手率いる大阪桐蔭と激闘を繰り広げた光星学院出身の阪神北条選手、ロッテ田村選手。
更には豊作ドラフトとして話題を読んだ、今年の大卒ルーキーであるソフトバンク田中正義選手、ロッテ佐々木選手、阪神大山選手など才能あふれる選手がこの世代には多く集まっている。
そして、本記事で取り上げている鈴木誠也選手も何を隠そうこの世代の1人だ。
昨今、大物と言われる選手が次々に現役を引退している。
あの松坂世代も合計で96人がプロ入りしたが、現在ではわずか25人しか残っていない。日本野球界は今まさに大きな転換期を迎えようとしているのだ。
そんな中で今後日本野球界の中心となっているのは88年世代と言っても過言ではないだろう。
しかし、最近ではその下の世代にもスター選手が誕生し始めている。
DeNA筒香嘉智選手、ヤクルト山田哲人選手など若い野手のスター候補が次々と誕生している。
近年の日本球界は松坂大輔選手、岩隈久志選手、ダルビッシュ有選手、田中将大選手、前田健太選手といったメジャーでも活躍する一流投手を生み出している。
その一方で、イチロー・松井秀喜選手に並ぶほどのスター選手はまだ台頭していない。
上記で上げた筒香、山田と鈴木誠也選手らには是非メジャーでも活躍する野手のスター選手となって欲しい。
脱イチロー・松坂大輔 日本球界の次世代を担うスター誕生へ
そんな中で2017年WBCの侍ジャパンの1つのテーマとなるのは『脱イチロー・松坂大輔』。
日本球界・メジャーリーグといった通常のリーグ戦だけでなく、国際試合でも日本球界を引っ張ってきた2人。
日本が連覇した2006・2009年のWBCで中心にいたのは間違いなく彼らだった。
野手のリーダーとしてプレーと言動でチームを引っ張ったイチロー選手。
投手のリーダーとして2大会連続MVPに輝いた松坂大輔選手。
初めて彼ら不在で望んだ2013年のWBC では日本は初めて優勝を逃すことになってしまった。
二人がいなかったことだけが原因ではないが、彼らの不在が与えた影響は少なくなかった。
まだ最終メンバは発表されていないが、2017年WBCも彼ら不在で戦う可能性が濃厚。
そのため、侍ジャパン・日本球界には二人に変わる新たなリーダーの誕生が望まれる。
では、その新たなリーダー候補は誰になるのか。
私の個人的な印象で語って申し訳ないが、現時点で今回の侍ジャパンのメンバーに日本球界のリーダーと言える存在はいないように感じる。
発表されているメンバの中では坂本勇人選手や菅野選手あたりが候補となるが、これといった決め手に欠ける印象がある。
そこで期待したいのが大谷翔平選手・鈴木誠也選手の2人だ。
大谷翔平選手は起用法、鈴木誠也選手はレギュラーとして試合に出られるかどうかといった不確定な要素が多い。
しかし、全体的に不安要素の多い侍ジャパンをこの二人が引っ張って優勝に導いて、同世代の大卒ルーキーたちもプロ野球で活躍となれば2017年は日本プロ野球にとって間違いなく大転換点と言われる年になる。
その新時代の幕開けのためにも大谷翔平選手・鈴木誠也選手には侍ジャパンのリーダー的なポジションで活躍してもらうことに期待する。
まとめ
イチロー・松坂大輔選手がWBCでリーダーとしてチームを引っ張った時、二人は実績・信頼を十分に得ていた。
その時と比べると大谷翔平選手、鈴木誠也選手はまだまだ実績も信頼も足りない。
まだ、チームを引っ張るというよりは自身のことで精一杯な時期かもしれない。
ただ、今はそれでも仕方がない。
今はまだがむしゃらなくらいに自分のことを見つめて、自分の活躍を考えれば良い。
そうやって彼らが個人が活躍することこそが最大のチームプレーになるし、最も信頼を勝ち得る近道なのだから。
そのことは2016年シーズン、それぞれが最高のパフォーマンスを残すことでチームを優勝に導いたことが証明している。
今後の日本球界の勢力を一気に変えてしまうくらいの大活躍に期待したい。
それでは、さようなら!