2016年シーズンに史上初となる2年連続でトリプルスリーを達成した山田哲人選手。
打率3割、本塁打30本、盗塁30というそれぞれ個別でみても十分一流と認められる成績を1シーズンに1人の選手が同時に達成してしまうという偉業。
多くの選手はこれらの成績のどれか一つでも生涯一度も記録できずに引退してしまうほどの難しい数字。
あの2000本安打を達成した元日本ハムの田中幸雄選手ですら、生涯一度も打率3割、本塁打30本、盗塁30のいずれの記録を達成できていないことからもその記録の難しさを物語っている。
そんな難易度の高いトリプルスリーを達成した山田哲人選手は2017年シーズンに三年連続トリプルスリーの大偉業が期待される。
そこで、今回はそんな山田哲人選手への期待について語っていきたいと思う。
目次
山田哲人とは
2010年のドラフト会議で東京ヤクルトスワローズから一位指名を受けて入団。
プロ一年目は一軍での試合出場こそなかったが、中日ドラゴンズとのクライマックスシリーズで史上初となる高卒新人のスタメン出場を果たす。
その後は二塁手に転向して、徐々に一軍での試合出場を重ねる。
転機となったのは2014年。
レギュラーに定着すると史上初の6か月連続となる初回先頭打者本塁打を記録すると、最終的には日本人右打者最多となるシーズン193安打で最多安打を獲得。
ベストナインにも選ばれた。
そして2015年、更なる進化を遂げた山田哲人選手は前年を超える活躍を見せた。
自身初となる本塁打王、盗塁王、最高出塁率のタイトルを獲得し、かつトリプルスリーを達成する大活躍でチームをリーグ優勝に導く。
その活躍が認められMVPにまで選ばれた。
前年級の活躍は難しいとの声があった2016年だったが、山田哲人選手は良い意味でその予想を裏切った。
史上初となる2年連続・複数回のトリプルスリーを達成し、更には2年連続の盗塁王、3年連続のベストナインを獲得し、名実ともに球界を代表するスーパースターとなった。
松井稼頭央選手でも難しかった盗塁数の維持
私はトリプルスリーと言えば松井稼頭央選手のことを思い浮かべてしまう。
それ以前にも現阪神監督の金本知憲氏のトリプルスリー達成を見たことがあった。
だが、個人的に松井稼頭央選手のファンであったことと内野手という負担の多いポジションで達成したことで松井稼頭央選手のトリプルスリーの方が印象に残っている。
松井稼頭央選手自身も2013年に二年連続でのトリプルスリーを期待されたが、33本塁打・打率.305を記録しながらも盗塁13に終わりトリプルスリーを達成できなかった。
その時の心情としてどうしても盗塁をすることに意識がいかなかったそうだ。
怪我のリスクや盗塁以外のことへ意識(打撃など)が向いてしまい、盗塁に意識ができなかったそうだ。
史上8人目のトリプルスリーを達成した楽天松井稼頭央外野手(40)は「打率も本塁打も、2年続けるのは本当に大変なこと。ただ、個人的には30盗塁が特に素晴らしいと思う」と感嘆した。
松井稼 僕の2年目(03年)は打率3割5厘、33本なのに盗塁だけが13で30に届かなかった。走ることが持ち味の選手なのにね。すごく悔いが残りました。
なぜ30盗塁に届かなかったのか。「走る意欲が衰えていました」と回顧する。初の30本塁打超えを果たした翌03年。1番から3番に座る機会も増え、40発への意識が生まれた。「大きい当たりを打ちたくなって、気づけば走れなくなっていました。気持ちの問題です。だから山田君が高いモチベーションを持って走る姿を見るたびに、すごいなと思うんです」。
その松井稼頭央選手と山田哲人選手の対談を見たのだが、そこでも松井稼頭央選手は山田哲人選手が盗塁数を維持出来ている凄さを語っていた。
松井稼頭央選手といえば元々は打撃よりも足でならした選手。
シーズン62盗塁、3年連続盗塁王に輝いた松井稼頭央選手ですら維持できなかったのあだから、いかに盗塁数を維持することが難しいかがおわかり頂けるだろう。
それだけの偉業をいとも簡単にやって見せる(実際は相当な努力をされているだろうが)山田哲人選手の凄さは尋常ではない。
山田哲人選手メジャー挑戦への期待
これまでに山田哲人選手が残した成績をみていると興味の対象はメジャーで通用するのかということに移ってくる。
実際、彼が残してきた数字はあのイチロー選手・松井秀喜氏が同年齢の時に残した成績と遜色がない。
しかもそれを二塁手という過酷なポジションで達成しているのだから驚きと期待はなおさらだ。
イチロー選手や松井秀喜氏、青木宣親選手らは外野手だ。
多くの日本人内野手スターたちが海を渡ったが、その壁は厚かった。
ロッテ・井口資仁から学ぶメジャーへの準備
メジャーで内野手として存在感を見せたロッテの井口選手でも日本人内野手がメジャーで活躍することの厳しさを言及している。
日本の問題点として、井口は二つ挙げた。
「人工芝ではバウンドが読めるし、打った瞬間にどこに来るかわかる。イレギュラーもないですし、その場に待ってでも捕れます。人工芝が内野手を下手にさせているのはあると思います」引用:日本のショートストップは、なぜ、メジャーで通用しないのか。異国を知る者たちが証言する「確実にアウトにするための守備」の盲点【野球考#1】 | ベースボールチャンネル(BaseBall Channel)
また井口選手は日本人がメジャーで通用するには長い時間をかけた準備が大切であると語っている。
「ただ(メジャーに)来るための準備は3年くらい掛けてしたし、セカンドを本業としてきたから(その点は大きい)。他の選手はショートからセカンドに転向した即席。僕は万全にしてきてアレだった。やっぱり甘くないってことだと思いますよ」
引用:日本人内野手がメジャーで生き残るには 井口資仁が語る適応の秘訣 | Full-count | フルカウント ―野球・MLBの総合コラムサイト― - (2)
私は以前井口選手の本を読んだことがある、そこには強い目的意識を感じた。
そして自身のプレースタイルに対する強い信念。
それらが井口選手に貪欲なまでのメジャーへの準備をさせたのだろう。
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山田哲人選手にはこの貪欲さを是非とも参考にして、メジャーで活躍して欲しい。
山田哲人選手のメジャー挑戦への準備は2017年のWBCから始まる!?
では、その準備は具体的にいつから始まるのか。
私は今回のWBCが大きな転換点になる。
現時点で山田哲人選手のメジャーへの関心のほどはわからないが、今回のWBCで海外の選手と対戦する中で外国人と対戦する際の課題が浮き彫りになってくるだろう。
もしメジャーリーガーの投手と対戦すればなおさら。
そこで見えた課題にどう取り組んでいくのか。
私のイメージする山田哲人選手は不安を打ち消すために人並み外れた練習をするというものだ。
もし、今回のWBCで山田哲人選手の中で課題に気づけた時、彼はまたさらに相当な練習を積むはずだ。
その時彼がどんな成績を残すのか。
想像しただけでも興奮してしまう。
簡単にはいかないだろうが、それを乗り越えた先に更なる進化した山田選手が見られるのだ。
※蛇足だが彼の高く足をあげるスタイルが通用するのか、いつまで継続するのかが気になるポイントである。
まとめ
常に周囲の期待を超える活躍してきた山田哲人選手。
昨年行われた侍ジャパンの壮行試合ではシーズン終盤の不調を引きずっていたように見えた。
しかし、私は今回もまた山田哲人選手がその不調を乗り越えて、新たな進化を見せることを期待している。
日本を三度目のWBC制覇、三年連続のトリプルスリー、なんならNPB史上初の40-40(40本塁打-40盗塁を同時に記録)達成なんてものまだ見てみたい。
それだけの期待をかけてもよい男。
それが山田哲人選手だ。
それでは、さようなら!
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