2016年シーズン見事日本一に輝いた日本ハムファイターズ。
その躍進を支えた原動力の1人である西川遥輝選手。
持ち前のスピードを活かして盗塁数41、盗塁成功率.891という驚異的なの成績。
またバットでも自身初となる打率3割越え(リーグ2位)、出塁率.405、OPS.802とバットでも存在感を示した。
そしてプロ入り後なかなか固定出来なかった守備でも左翼手に固定され、UZR+10.1を記録し、文字通り走・攻・守の揃った選手へと変貌を遂げた。
この西川遥輝選手こそ2017年の日本ハムファイターズの連覇の鍵であり、今後のファイターズの未来を担う選手である。
そこで今日はこの西川遥輝選手について語っていく。
目次
西川遥輝とは
高校時代はあの名門智弁和歌山高校で1年春からレギュラーを掴み、5季連続で甲子園に出場。
高校の1学年上には中日岡田俊哉投手がエースとして君臨していた。
優勝こそならなかったものの、その活躍と素質を評価され2010年日本ハムからドラフト2位の高評価を受け、プロ入り。
その後徐々に力を付け、プロ4年目にレギュラーに定着し、盗塁王に輝く。
盗塁王に輝いた走力は12球団を見渡してもトップクラスで、一塁到達速度3秒97を記録することもある。
また、打力にも優れ、ミートだけでなく長打力も併せ持つなどその潜在能力は誰もが認めるところである。
2016年シーズンの飛躍の鍵
今シーズン飛躍したきっかけは2つ。
- 長打を捨てて出塁に徹したこと。
- 2015年シーズン終盤の2軍落ち。
長打を捨てた出塁への意識革命
西川遥輝選手といえば天才的な打力を評価されてプロ入りしている。
西川はホームランとともに世に出てきたバッターだった。
「西川遥輝」の名を初めて聞いたのは、8年前の5月だった。西川が高校野球界の名門・智弁和歌山に入学して間もない頃だ。春の和歌山県大会でいきなり3試合連続を含む4本塁打。「智弁和歌山にすごい1年生がいる」
引用:高校時代に放った大ファウルに西川遥輝のスラッガーの資質を見た|プロ野球|集英社のスポーツ総合雑誌 スポルティーバ 公式サイト web Sportiva
ただ、出塁と長打の両方を期待されたことで、中々打撃のスタイルが定まらずにいた。また天才が故かどこか打撃がたんぱくに映るシーンが目立った。
ところが2016年シーズン、西川選手は長打を捨てて出塁に徹した。
シーズン終盤こそ不振で中々打撃が上向かず、一時打順が9番まで下がった。
しかし、徐々に調子を上げ、最終的に自身初となる打率3割越え(リーグ2位)、出塁率.405、OPS.802という素晴らしい成績を残し不動の1番打者となった。
塁に出れさえすれば持ち味の走力をいかんなく発揮できる。
実際、その結果として自身2年ぶりの40盗塁越えを果たした。
その飛躍の鍵となったのは城石打撃コーチとの二人三脚の取り組みがある。
その城石コーチと西川遥輝が、今年、徹底した二人三脚に取り組んだ。
練習での向き合いはもちろん、顔を合わさない日でも動画のやり取りなどをしながら、コミュニケーションを取ることを欠かさなかったという。
城石コーチはつねに西川の状態をチェックしながら、野球選手として進むべき道を照らし続けた。
引用:日ハム・栗山監督が明かす「西川遥輝の進むべき道を照らし続けたコーチの存在」 | 栗山英樹監督が書く『「最高のチーム」の作り方
とにかく出塁することに重点をおいた打撃ファーム作りに日々二人で取り組んだ。
試合終了後にもトスバッティングなどをして、打撃フォームを固め続けたのだ。
印象的だったのは西川選手が言っていた「ニュートラルに戻す作業」という言葉だ。
曰く、自分が普段の練習で想定している球速があり、それよりも速かったり遅かったりする投手と対戦すると微妙にずれが生じるそうだ。
そして、そのズレを修正せずに残していると、そのズレの積み重なりが大きくなり、調子が悪くなる。
そのズレを修正するために日々試合終了後にも練習を行っている。
その練習を「ニュートラルに戻す作業」と称している。
そういった日々の積み重ねが西川選手を一流の選手に変えていったのだ。
2015年シーズンに味わった悔しい二軍落ちと栗山英樹監督への恩返し
そしてもう一つの飛躍のきっかけは2015年に経験したシーズン終盤の2軍落ち。
その時西川選手は2年連続盗塁を射程圏内に置いていた。
しかし、その一方で打撃の状態が悪く、スランプに陥っていた。
その西川選手を見て、栗山英樹監督が下した決断は二軍降格。
2年連続の盗塁王がかかった状況で栗山監督が下した決断。
それは目先の勲章(盗塁王)にこだわって試合に出しても西川選手のためにならないと考えての采配だった。
その決断を下した栗山監督ももちろんのこと、当の西川選手が一番辛かったはずだ。
その悔しさと監督の期待に応えたい思いが、西川選手の2016年の飛躍の原動力になったのだ。
栗山監督はことあるごとに西川選手を攻撃のキーマンに挙げている。
実際シーズン序盤に西川選手が不調の時期はチームも下位に低迷。
西川選手の調子が上向くに連れてチームの快進撃が始まった。
日本シリーズでも同様のことが言え、シリーズ序盤西川選手が苦しんでいるとチームは連敗。
しかし、大谷選手のサヨナラ打を演出した第三戦の起死回生の盗塁、第五戦のサヨナラ満塁ホームラン、そして優勝を決めた第六戦での大爆発などチームの浮上と西川選手の調子は驚く程連動しているのだ。
西川選手が日本ハムの攻撃の鍵を握っているという栗山監督の言葉を西川選手自身の活躍で証明してみせたのだ。
天才が見せた泥臭い姿勢
私が特に印象に残っているのが9/21のソフトバンクとの天王山だ。
そこで見せた西川選手がなにがなんでも出塁しようという姿勢。
「とにかく逆方向に転がして内野安打でも良いから塁に出ようという姿勢」はかつて天才がゆえにたんぱくにうつった姿とは別物であった。
周囲の期待に応えるために努力をするとこんなにも素晴らしい選手になれるということをまた1人の野球選手から教えてもらった。
2016年は西川選手にとって本当に良いシーズンと言えるものだった。
2017年シーズン以降の西川選手
2017年に連覇を期待される日本ハムだが、その道のりは険しいものになるだろう。
他球団のマークが厳しくなることが予想されるからだ。
また、長年チームを支えた陽岱鋼選手が移籍したことで同じ外野手の西川選手に期待される役割は大きくなる。
再来年シーズン以降も大谷翔平選手のメジャー移籍、中田翔選手のFAなど主力の移籍が噂される。
その中で西川選手には真のチームリーダーとなることも期待される。
近藤健介、中島卓也、有原航平選手らと共に日本ハムの黄金時代を築いて欲しい。
私が個人的に気になっているのは来シーズン以降の西川選手の打撃スタイルだ。
前述の通り今シーズンは出塁に徹したが、西川選手には日本シリーズでもみせた通り長打力もある。
それは栗山監督も認めるところだ。
現在のプレースタイルを昇華させて首位打者を目指すのか、それとも長打も兼ね備えた選手になるのか。
個人的には長打を合わせたスタイルを目指して欲しい。
というのも西川選手のポジション左翼手。
本来ここはある程度長打力が求められるポジションでもある。
前述した主力選手が移籍すれば当然チームの長打力を低下する恐れがある。
その時のためにも西川選手には長打を併せ持った選手になって欲しいのだ。
西川選手、日本ハムの育成戦略にも注目したい。
まとめ
見た目の華やかさとアマチュア時代の実績からどこか軽いイメージをもたれる印象の西川選手。
実際は野球に真摯に向き合える人物だ。
その片鱗は高校生の頃から見せていた。
「あの子が真剣に野球と向き合ったのって、高校になってからやったと思いますよ。それも、ほんとに自分から練習するようになったのは、岡田くん(俊哉・現中日投手)が抜けたあとの、2年生の秋の新チームから。学校から帰ってきてご飯食べて、ちょっとバット振ってくるわ……みたいな感じで。そういう時も、ガラスに映る自分の姿、すごく気にしてね。なにしてんの? って訊くと、イメージ作りや……って」
感性で自分を支えている選手は、乗せたら怖い。
引用:母が語る日本ハム・西川遥輝の天才。「自分のこと一番うまいと思ってる」(3/4) - プロ野球 - Number Web - ナンバー
彼のポテンシャルを考えればまだま伸び代が残されているように感じる。
来シーズン以降の日本ハムを支える存在になることを期待させる西川選手から今後も目が離せない。
それでは、さようなら!
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