死ぬまで生きる問題

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ぶりぶりざえもんに泣ける 映画『クレヨンしんちゃん 電撃! ブタのヒヅメ大作戦』【ネタバレ感想】

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クレヨンしんちゃんに登場するキャラクターで人気投票をとったらどうなるか。

 

主要キャラの野原一家はもちろん、春日部防衛隊のメンバーやアクション仮面、カンタムロボなどお馴染みのキャラクターが上位に名を連ねるだろう。

そして「ぶりぶりざえもん」もまた。

ぶりぶりざえもんは 「ブリブリ王国の秘宝」、「ヘンダーランドの大冒険」などの劇場版、通常放送の外伝「ぶりぶりざえもんのぼうけん」など様々な形で登場する人気キャラクター。

 

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 ※こちらはぶりぶりざえもんではなく顔立ちと名前が似た遺跡や魔人が出てくるのみ

 

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その彼が敵の最終兵器という形で登場するのが今回お話しする『クレヨンしんちゃん 電撃! ブタのヒヅメ大作戦』。

 

個人的にクレヨンしんちゃんの映画の中で一番バランスがとれた作品であると評価している。

笑い、アクション、友情、家族愛、冒険性、そして感動。

 

そしてこの作品を転換点としてクレヨンしんちゃんの劇場版は家族愛を前面に押し出すようになった。

 

家族愛要素が後の名作である『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』、『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』を生み出していくわけだが、それは同時に原作クレヨンしんちゃんと映画クレヨンしんちゃんが別物になっていくきっかけとも言える。

 

とここまで前置きが長くなったが、今からクレヨンしんちゃん 電撃! ブタのヒヅメ大作戦』についての感想とぶりぶりざえもんが体現する「救い」のヒーローの意味についてお話していく。

目次

クレヨンしんちゃん 電撃! ブタのヒヅメ大作戦』とは

概要

1998年4月18日に公開された『クレヨンしんちゃん』の劇場映画シリーズ第6作目。上映時間は99分。

興行収入は約11億円。

 

劇場版クレヨンしんちゃんとしては初となる野原一家以外を主役もしくは準主役として描かれた作品。

マスコット・キャラクターとなっているぶりぶりざえもんも話の重要な役割を占めている。

 

銃撃戦や格闘などはリアリティが追及されており、迫真のアクションシーンが展開するのが特徴。

 

登場する銃器は全て実在のもので、作画用の設定書には射撃時のマズルフラッシュの出方や装弾数まで細かく考証され描き込まれている。

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あらすじ

 国連直属の秘密組織SML(Seigino Mikata Love:正義の 味方 LOVE)の一員、コードネーム・お色気は、秘密結社ブタのヒヅメの飛行船から、ある秘密兵器を動かすために必要なディスクを盗み出し、東京湾へと脱出した。


一方、お台場沿岸を航行中の屋形船では、ふたば幼稚園の先生と園児達が大宴会で賑やかに騒いでいた。するとその場に突然、海からお色気が上がりこんでくる。困惑する一同をよそに、さらに巨大な飛行船が現れ屋形船をわしづかみにする。先生や園児達は釣り上げられた屋形船から脱出するが、トイレに入っていたしんのすけとそれを待っていた風間ら5人の園児、同じくトイレにいたお色気達が残されたまま、屋形船ごとさらわれてしまう。


ニュースでこのことを知ったみさえとひろしはしんのすけが行方不明と知り絶望する。だが、そこに「SML」の一員でコードネーム・筋肉と名乗る大男が現れ、しんのすけたちは生きていると告げ、みさえたちに今の状況を説明する。筋肉は事件は「SML」が解決すると告げたが、しんのすけを一刻も早く助けたいみさえたちは同行したいと言うが、筋肉に却下され、2人は引き下がる。だが、みさえは筋肉に罠をかけ、野原一家を同行させるという誓約書にサインをさせる。けれど、誓約書は反故され、結局みさえたちは取り残されてしまう。


しかし、みさえは、筋肉の持っていた資料で目にした「Hong Kong」の字から香港に手がかりがあると推測。早速支度をし始め、翌日野原一家はシロを残し香港へ発った。その頃、屋形船ごとさらわれたしんのすけ達とお色気は「ブタのヒヅメ」の飛行船に捕らわれていた。屋形船をさらっていった飛行船はお色気を追ってきた「ブタのヒヅメ」の飛行船であった。

 

やがて「ブタのヒヅメ」の三人の幹部、バレル・ブレード・ママとリーダーのマウスが現れてお色気にディスクを返せと迫るが、お色気はこれを拒否。お色気としんのすけたちは「ブタのヒヅメ」の本部へ連れて行かれることとなる。

 

香港に着いたみさえたちはしんのすけを探すが、手がかりは一つもなく途方に暮れる。そんな時、筋肉と再会。二人の同行を認めない筋肉だったが、ひろしの強い意志に押されて同行を許す。こうしてひろしとみさえは筋肉と共にしんのすけ達とお色気を救出しに向かうこととなる。

 

飛行船が本部へ向かう途中、お色気としんのすけ達は独房から脱走。お色気はしんのすけ達を飛行船から逃がすことに成功するも自身は囚われの身となってしまう。そして、しんのすけ達を助けに来たみさえとひろし・筋肉は乗っていた飛行機を「ブタのヒヅメ」の飛行船の攻撃により、地上に不時着。3人は徒歩で飛行船の目的地である「ブタのヒヅメ」本部へ向かう。一方、脱出に成功したしんのすけ達は、とりあえず人のいる場所を目指して歩き出したが、その歩みは「ブタのヒヅメ」本部へ向かっていたのであった。


「クレヨンしんちゃん 電撃!ブタのヒヅメ大作戦」 予告編

ちなみに

お色気役に三石琴乃を起用したのは監督の原恵一であり、当時原が『新世紀エヴァンゲリオン』にはまっていたと言う事もあって、三石が演じていた葛城ミサトを意識させたキャラ設定を行っていたという。

 

なお、お色気がしんのすけのことを「しんちゃん」と呼んでいるのも新世紀エヴァンゲリオン葛城ミサトが主人公の碇シンジを「シンちゃん」と呼んでいることからである。

 

ちなみに三石は次回作から上尾ますみ役でレギュラー出演している。

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野原一家の家族愛押しが始まった瞬間 親が子を想う気持ちとは

この作品を観ていて感じたのは野原一家の家族押しが始まったこと。

これまでもしんのすけのためにみさえ&ひろしが奮闘するシーンはあったが、それは自然に親が子供を守ったり、助けているだけでわざわざ言葉にして親子愛を伝えることはなかった。

 

しかし、この映画では明らかに子供を想う親の気持ちが言葉になって現れている。

 

例えばみさえが「あなたには分からないかもしれないけど、親っていうのは子供のためなら何だってできるのよ!」と言ったりなど。

 

そして言葉だけでなく行動でも子供を想う気持ちを全面に出す。

SMLのエージェント「筋肉」と肉弾戦の攻防をしたり、ほとんど情報がない中で行方不明のしんのすけを探すために海外に飛び出していったりなど。

 

特にしんのすけの居場所を聞き出すために「筋肉」をトイレに行かせないようにする劇画のシーンは子供のためならなりふり構わない両親を表すと同時に作中屈指のおバカで笑えるポイントだ。

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また、この映画の中に登場する悪役キャラに「ママ」というキャラクターが登場するのだが、彼女には出産、育児経験はなく、「ママ」とはあくまで彼女のコードネームである。

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このキャラクターが子を持つみさえ、お色気、筋肉と格闘をするのだが、ママという名を持ちながら子供たちを怯えさせるキャラクターと子を背負う親の対比させているのだ。

 

同時に子を想う気持ちがあればどんな強大な敵、困難にも打ち勝てるというメッセージを初めて強く入れてきた作品である。

 

この作品ではしんのすけが両親と会えないことを寂しがったりするシーンはなくあくまで親からの一方向のみ。

親の純粋な愛を伝えることにかなり主眼を置いた作品でもある。

かすかべ防衛隊が初めて大活躍 それぞれが個性を発揮して生まれた友情の絆

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みさえとひろしたちが心配しながら奮闘している時に子供たちはどうしていたか。

実は結構たくましくやっているのだ。

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※このコンビの危ない関係を見た敵幹部バレルの「最近のガキは結構進んでるんだなって」とこが妙に笑えた(笑)

 

この作品は後の劇場版で大活躍することになるかすかべ防衛隊が劇場版で初めて大活躍するのだ。

これまでも劇場版に登場することはあったが、せいぜい5、10分の登場で物語に深く関わることはなかった。

 

しかし、今回は一転。敵の組織に捉えられ、荒野に投げ出され、再度つかまっても奮闘したり大活躍する。

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恐らくここでかすかべ防衛隊の使い方に映画製作スタッフが手ごたえを感じたのだろう。

 

終盤しんのすけを守るため全員で協力するシーンはそれまでの幼稚園離れした言動とは違って、普通の5歳児が友達のためにも精一杯勇気を示すというところがとても好きだ。

 

風間君:かすかべぼうえいたい、しんのすけを守れ~!!
一同(勇気を振り絞って):おぉー!!
マサオ君:お、おしっこ、もらしそう…
ボーちゃん:もらしたって、かまわない!
ネネちゃん:ひっかけてやればいいわ!!!
風間君:ああ!!!!

 

地味にそれを見たみさえが感動してるところも好きです。

自分の子供が友達からこんなに思われてるところを見たらどんな親で感動ものでしょう。

ぶりぶりざえもんはなぜ正義ではなく救いのヒーローを名乗るのか

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 そしてこの作品で最も重要なシーンがしんのすけがぶりぶりざえもんに本当の姿を教えてあげるシーン。

 

当初世界制服のために生み出されたぶりぶりざえもん。

彼自身も自分の存在意義をそれだと思っていた。

しかし、しんのすけが「違うよ、ぶりぶりざえもん。お前はオラの友達で、『救い』のヒーローなんだよ」と発言したことから彼は自分の存在が何なのか知りたくなり、しんのすけの話に耳を傾けます。

 

しんのすけの話を聞いて人助けとは何か、自分とは何かを知ったぶりぶりざえもん。

しかし残念ながら彼は消滅する運命にありました。

 

せっかくこれから人助けしようと思ったのにと残念そうにしながらも、その運命を受け入れて消えていくぶりぶりざえもん。

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彼が消えた時にしんのすけの頬をそっと涙がつたう。

声を出すでもなく。

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出会ったころから最後の最後まで馬鹿をやっていた二人の別れはとても切ないものになります。


しんちゃん電撃ブタのひづめ 感動シーン

 

この作品にはSML(Seigino Mikata Love:正義の 味方 LOVE)という正義の味方が登場します。

 

それ以外にも親が子を想う正義、友が友を想う正義、悪が信じる正義など多方面の正義が登場します。

しかし本当の正義というものは存在するのでしょうか。

 

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世の中にある政治、国家、宗教間などの争いのほとんどが自分の正義を信じてぶつかり合うものによって生まれます。

 

その中にあってぶりぶりざえもんの行動原理は「救い」自分の信条や信じた正義に基づいて行動するのではなく、困っている人がいたら助ける。

ただそれだけが彼の行動原理。

 

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最後にアジトから脱出するシーンでしんのすけが助けを求めた時に颯爽と現れて消えていくぶりぶりざえもんは最高にカッコ良いです。

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さようならぶりぶりざえもん さようなら塩沢 兼人さん 

実はこの作品はぶりぶりざえもんとのお別れだけでなくぶりぶりざえもんの声優塩沢 兼人さんとのお別れでもあるのだ。

 

 ぶりぶりざえもんの声優を務めた塩沢 兼人さんは2000年に46歳の若さで急逝。

 

2016年に神谷浩史さんが後任に起用されるまでの16年間に渡り、ファンや遺族の申し出もあり、アニメ・劇場版いずれにも台詞付きで登場しなかった。

 

この映画を製作している段階では塩沢さんとの別れの意図はなかったが、結果的にお別れの作品になってしまった。

 

塩沢さんはぶりぶりざえもん以外にも「ブリブリ王国の秘宝」のサリーや「暗黒タマタマ大追跡」のラベンダーの声も担当するなどクレヨンしんちゃんにとっては欠かせない存在だった。

 

どんなキャラでもしんのすけとの息のあった掛け合いをして、多くの笑いをとってきました。

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 この作品を観るとぶりぶりざえもんの声に懐かしさを感じると共に惜しい方は早く亡くしたことがただただ悲しくてならない。

 

原作

原作15巻にぶりぶりざえもんのお話が掲載されている。

興味がある方はお手に取られてみてはいかがだろうか。

 

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まとめ

 冒頭でも話した通りこの作品はクレヨンしんちゃんの映画史上でもかなりバランスが良い作品。

ギャグ、感動、アクションなどどれにも偏らず、それでいて全てハイレベル。

 

古き良き時代の名作であると共にどこかで寂しいラストが妙に物悲しい。

暗黒タマタマが笑いたい時に大勢で観る作品であるなら、この作品は一人でじっくり見るのにちょうど良い作品だ。

 

それでは、さようなら!

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